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喫茶店の距離感でリスナーと話す心地よさ【新道竜巳さん(馬鹿よ貴方は)インタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『新道竜巳のごみラジオ』を配信する新道竜巳さん(馬鹿よ貴方は)にフォーカスします。

お笑いコンビ・馬鹿よ貴方はのツッコミである新道さんは、「ラジオをやりたい」という気持ちが高じて、2015年よりYouTubeで『新道竜巳のごみラジオ』を開始し、Radiotalkでも同タイトルで2021年4月から配信をスタート。「リスナーからのおたよりにとにかく答えていく」というスタイルで毎日配信を続けています。

新道ピン

Radiotalkはまだまだ手探りな状態といい、「偶然おたよりが届き続けているから、番組も続いている」と話す新道さん。一方、インタビューからは、この”おたより”の存在がキーとなり、リスナーのちょうどいい距離感ができあがっている様子が見えてきました。

(取材・文/ねむみえり

YouTubeにはない、Radiotalkならではの良さ

ーー『ごみラジオ』としては2015年からYouTubeで配信されていますが、始めたきっかけは何だったのでしょう?

新道:きっかけとしては、手持ち無沙汰だったというのはありますね。それと、もともと誰かとしゃべる企画をやりたいなと思っていて。相方みたいな人をずっと探してたんですけど、なかなか見つからなくて。結果的に、仲のいいさかまき。(マッハスピード豪速球)くんに出てもらうことになりました。

ーー番組名に”ラジオ”を入れた理由が気になります。

新道:ラジオがやりたくて、当時一番手っ取り早かったのがYouTubeなんです。ラジオがやりたいから、最初は映像なしでやってたんですよね。でもやっぱり、「YouTubeだから映像があったほうがいいんじゃないか」という意見もあって、いま(YouTube版)は映像ありでしゃべっています。

ーーラジオを聴くのはもともとお好きだったんですか?

新道:実家にテレビが一台しかなくて、姉にチャンネル権があったんですよね。でもラジオだったら自分の部屋で聴けるので、ラジオを聴くことが多かったんです。ラジオを聴くとホッとするというか、ちょっと好きな人が話してくれるだけで安心できたんですよね。

ーー新道さんとRadiotalkとの出会いは?

新道:ラムズ大明神(現・ひとりで泣くなよ)というコンビがRadiotalkをやっていて、収録トークをよく聴いていたんです。彼らと会うことが多かったので、ある日「Radiotalk、やってみてどうですか?」と話を聞いて、自分でも始めてみようかな、と興味を持ちました。

最初は、収録トークの上限時間が12分というのが「よく分からないな」と思って、敬遠していたんですよ。でも仲いい人もやってるし、よくよく考えたら10分ぐらいならなんの負担もないか、と思って。とりあえずやってみようと思って、今に至ります。

ーー実際に収録してみて、12分という上限はいかがですか?

新道:思ったよりも負担には感じませんね。番組で読むおたよりのストックが1ヶ月ぶんぐらいあるんですけど、仮にストックがなくなっても10分ぐらいの一人しゃべりだったらまあできるかな、という感じで。ちょうどいい塩梅だなと思います。

ーーRadiotalkのフォーマットがなじんできましたか。

新道:正直なところ、まだ手探りの部分も多いですね。Radiotalkでしゃべる方向性は決まっているんですが、向き合い方はまだ模索中です。番組フォロワーの増やし方や、モチベーションを保つための収益もある程度は確保したいなと。

もっとも、来たおたよりに答えるという形は、Radiotalkでしかできない形だなと思っていて、そこはYouTubeとの大きな違いですね。応援してくれる人からの質問に答えていると、お互いの距離が縮まる感じがして、すごくいいなと思っています。

おたよりの向こうにいる”人”に気づいた

ーー複数の媒体で発信している新道さんですが、Radiotalkでは他の媒体とは違うコミュニケーションを行っているように感じます。

新道:もともとRadiotalkは3ヶ月様子見でやる予定だったんですが、とくに告知もしていないうちから、おたよりがたくさん届いて。それに答えていたら、またおたよりが来て…… という繰り返しで、今に至っています。

極端な話、ひたすらおたよりに答え続けているだけなんですよ。でも、僕に対して質問してくれるっていうのが嬉しいんですよね。僕でいいんだ、っていう。

ーー収録トークを毎日更新するモチベーションも、おたよりがあるからですか?

新道:おたよりが尽きないからっていうのはありますね。あと、おたよりを送る人も、ちょっと考えてくれてるなっていうのが伝わってきていて。

何通もおたより送ってくれる常連さんがいるんですけど、以前「これ以上おたよりで何を聞いたらいいか分からない」という壁にぶつかったらしくて、僕のところに相談のおたよりを送ってきたんです。

ーーおたよりを送り続けていたら一度はぶつかる壁ですが、直接新道さん本人に尋ねるというのもすごいですね。

新道:それを読んで、「そこまで気にしておたよりを自分に送ろうと思ってくれているのか……」と思って。「こういう話題でもいいんじゃないか」という例を何個か出したことがありました。

なんとなくおたよりを送っているわけじゃなく、どんな質問ならば僕が答えやすいかを、すごく気にしながら考えて送ってくれているんだな、ということがわかって、とても嬉しかったですね。

ーー新道さんとコミュニケーションし続けたい、という思いが伝わるエピソードですね。

新道:寄せられるコメントは、画面の向こうでひとりひとりの人が考えて打ち込んでくれているものですよね。これまでは文字としてしか認識していなくて、その向こうに人間がいるっていうのを意識していなかったな、と。

そんななか、Radiotalkで気持ちの込められたおたよりをもらったことで、「この文字を送ってくれているのも、自分と同じ人間なんだ」ということに気付けたんです。

ーーお互いを想像し合いながら話す、というコミュニケーションが生まれたのですね。

新道:質問が思いつかないからおたよりをやめる、というのではなく、「どんな話題がよいのか?」と直接質問してきてくれたのが嬉しかったですね。僕も、もっと向き合わないといけないなと思わされました。

Radiotalkは「喫茶店の距離感」で一人ひとりに向き合える

ーーずばり、Radiotalkにはどんな魅力を感じていますか。

新道:リスナーさんとの絶妙な距離感ですね。ラジオをやるうえでは、こちらがただ一方的にしゃべるのではなく、リスナーさんとの間にちょうどいい距離を築くことが絶対に必要で。それを考えたとき、いまRadiotalkで得られている距離感は、すごくよい感じなんです。

どれだけ人気が出ても、お客さんとの距離感やコミュニケーションに気を配らないと、絶対1年でファンが減ってきます。今はコロナ禍で出待ちができないので、これまでに変わる交流の手段を常に考えていて。いま、Radiotalkにはそういった役割を求めているのかも知れません。

ーー”目の前”の一人ひとりに向き合う場、ということですか。

新道:そうですね。例えばAKB48だって、握手会で並んでくれるファン全員と握手するじゃないですか。人気ある人が全員と握手しているのに、売れてない芸人が出待ち対応をしないって、意味わかんないな、と。

YouTubeでも配信をしていますが、YouTubeのコミュニケーションって、ちょっと距離があるんですよ。生配信していると、多いときは1000人ぐらい同時に見てくれる時もあるんですが、そうなると一人ひとりへの対応が雑になってきて、コメントも飛ばして読むことになってしまう。そうなると、コメントを読まれることそのものが目的になってしまう。これは、結構距離としては離れているんです。

その点、Radiotalkではいまのところ全員のコメントに答えられているので、距離感的に違いを感じます。

ーーRadiotalkで得られる距離感というのは、具体的にどれぐらいの感覚ですか?

新道:目の前ぐらいの感じはします。喫茶店とかで同席して質問されているのに答えているような距離感ですね。相手の顔が直接見えているかどうかという違いだけです。

人間味が如実に出ているトークは面白い

ーー他の芸人さんのトークをよくチェックしているという新道さんですが、これまででとくに印象に残っているトークがあれば教えてください。

新道:ぱっと思い浮かぶのは、クラッシャースミダさんですね。

彼、すごく“気にしい”で。リアクションの数とかにも露骨に反応するんです。「前まであんなにいいねの数あったんですけど、最近押されなくなったのでやる気がなくなってきました」って、正直に番組で言っちゃうんですよ。これはたまらないなと思って。

いいねの数がモチベーションになってるにしても、モチベーションに現れすぎだろという(笑)。その心境を一生懸命しゃべっているという姿が面白すぎて。やっぱ、人間味が如実に出てるトークというのが好きなんですよね。

つい最近だと、エルシャラカーニしろうさんのトークも面白かったですね。いつも働いているカレー屋が工事中で、家にいる時間が長くなった結果、「2日間でお金を1円も使いませんでした」という話をしていて。

これは嬉しいと思って聴いたらいいのか? 悲しいと思って聴いたらいいのか? どっちか分からなくて(笑)。

ーー(笑)

新道:でも聴いていると、どうも本人的には嬉しそうなんですよね。お金がないから、1円も使わなかったことへの喜びをしゃべってるんだけど、聴く方としては逆の意味にとらえてしまうんじゃないかというのを思いながら聴いていました。

実はさっきまでしろうさんと一緒にカレーを食べていて。自分でお会計を払うつもりだったんですけど、おごってくれたんです。

しろうさん、さっそくその模様をトークで上げてくれているんですが、「2日で0円」で喜んでる人からほんとにおごってもらっていいのかなって。今でも罪悪感があります(笑)

ーー今後、Radiotalkでやってみたいことはありますか?

新道:公開収録は興味があります。あとは一日中色んな人が入れ代わり立ち代わりでやるような、ネットニュースに載るフェスみたいなやつもやりたいですね。

ーー新道さんにとって、Radiotalkはどんな存在ですか?

新道:距離感が一番程よい場所ですね。おたよりが来てそれに答えるという形がちょうどいい。デザインもいいんですかね、距離が近い感じがします。身近な芸人さんが配信しているというのも、心地よさの一つかもしれないですね。

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