声しかない場所だからこそ、自由に何者にでもなれる【空飛ぶ、わんたんさんインタビュー】
Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『#キャラクター事典 妖怪怪異日本一周の旅』と『もぐもぐちゃんのRADIOSNS』を配信する、空飛ぶ、わんたんさん(以下「わんたん」という。)にフォーカスします。
普段はキャラクター業界で働いているわんたんさん。2020年10月から配信を開始した『#キャラクター事典 妖怪怪異日本一周の旅』では、河童や天狗、鵺などあらゆる妖怪についての濃密な収録トークをメインにし、本棚を作るような気持ちで番組を構成しているそう。
一方『もぐもぐちゃんのRADIOSNS』は、SNSのように気軽に配信できる場所として活用中。2019年5月から欠かさず【今日は何の日】と題したコンパクトな収録トークを配信しながら、定期的にライブ配信も行っています。
もともと声による表現に興味があったというわんたんさんですが、Radiotalkで配信を始めるまでは紆余曲折があったそう。配信を始めてからも、泣くほど悔しい思いをしたり、それをバネに新しいことに挑戦したりなど、様々な経験をしています。
しかし、そんなお話しを聞きながらも不安定さを感じないのは、わんたんさんの中にぶれない軸があるからかもしれません。
自分の夢に再度挑んでいた中での偶然の出会い
ーーRadiotalkで配信を始めたきっかけは?
わんたん:簡潔に言うと、一度諦めたナレーターや声の表現を諦めきれなくて、手軽に配信できるアプリとか音声系のオーディションを探していたら、たまたまRadiotalkに出会ったんです。
ーー今はキャラクター業界でお仕事されていますよね。現在に至るまでの経緯が気になります。
わんたん:学生のときは、ナレーターとかラジオのパーソナリティになりたいと思って、養成所に通い始めました。大学を卒業したあとは、フリーターをしながら養成所に引き続き通っていました。実はラジオ局のアナウンサーの内定をもらっていたのですが、断ってしまったのです。
ーー希望していた職業だと思うのですが、どうしてですか?
わんたん:ナレーターになりたいと思っていたけど、いざ夢が叶う手前になったら、その現実を受け止められなかったんです。ずっと夢のままであってほしかったというか……実際にその世界に飛び込むのがすごく怖くなってしまって。
ーーなんと。
わんたん:自分がやりたいと思っていた仕事が、ラジオのナレーターとキャラクターの仕事だったので、ナレーターはダメにしてしまったからどうしようってなっていたタイミングで、縁があり、キャラクターの仕事を始めました。
キャラクターの仕事はめちゃくちゃ忙しいんですけど、そんな中でもやっぱり声の表現をやりたいという気持ちがずっとあって。それで、配信アプリとかオーディションを探していた中で、Radiotalkでやっていた『オールナイトニッポンi』のパーソナリティのオーディションを見つけて、それをきっかけにRadiotalkを始めたんです。
ーーなるほど、オーディションをきっかけにRadiotalkでの配信を開始したんですね。一度は逃げ出してしまった「しゃべる」ということに、もう一度チャレンジするのは怖くなかったですか?
わんたん :そうですね……。プロじゃなくてアマチュアだからこそできることってたくさんあると思っていて。例えば自分のペースでやれるとか、自分がやりたいことをできるとか。なので、たしかに一度逃げ出したことではあるんですけど、この形だからやりたいって思えたところはあるのかもしれないです。
ーー初回の収録トークを配信したときは、手応えとしてはいかがでした?
わんたん:すごく気持ち悪かったです(笑)。初回ってとてもこだわってしまうタイプなんですよ。配信開始日にこだわりたいとか、最初の配信を適当にしたくないし、クセの強いものにもしたくないみたいな気持ちがすごくあって。ちょうどそのときに、Radiotalkの企画として、RadiotalkのCMを配信してみようっていうのがあったんです。これが一番当たり障りないぞ、と思ってRadiotalkのCMをあげたのが最初ですね。
ただ、自分の声が変だなと感じて、自分が気持ち悪いと思ったら残したくないで、これはめちゃくちゃ録り直しました。
ーー養成所に通って、仕事にもしようとしていた声でも、違和感を覚えてしまうんですね。
わんたん:そうですね。今使ってる「FIFINE」のマイクもそうなんですけど、自分がしゃべっている声をリアルタイムで聞ける、モニタリング機能があるものじゃないとしゃべれないんです。「空飛ぶ、わんたん」の声って素で出てくるものじゃなくて、考えて練習してトレーニングして、努力で作った声なんですよ。なので、自分の声をリアルタイムで聞かないと、どこかで自分が思っている声とずれて気持ち悪くなるんじゃないか不安になるんです。
ーー努力を重ねてたどり着いた声なんですね。
わんたん: 地声はもっと暗いんです。あとは、普段の自分の笑い方が好きじゃないので、笑い声のパターンをめちゃくちゃ作りました。自然に出てくるのは5パターンぐらいはあるんじゃないかと思います。
ーーなるほど。聴いているだけでは気づかないところで多くの努力をされているんですね。
わんたん:私は、ちょっとすごい人みたいな感じでいたいなって思っているところがあるんです。なので、機会があったら企画に参加していて、過去の『オールナイトニッポンi』のパーソナリティ募集企画で優秀賞に選んでもらったり、MBSラジオで放送されていた『深夜教室Q組』で募集していた受験に関するエピソードを配信して取り上げてもらったり、FM-NIIGATAで放送されていた『よしもと住みます芸人のママママンデー』でも2回ぐらい採用されました。やご店長さんがNHK名古屋の取材を受けた際に、私の番組の名前を出してくださって、テレビで紹介されたこともあるんです
ーーすごく積極的ですね!
わんたん:自分のやる気を、人気者になる方向よりも、すごい人になる方向に振っていたんです。色々研究して配信していくところにモチベーションも楽しさもあるので、結果的に配信するもののクオリティも保ち続けられていると思います。
リスナーがいるから「空飛ぶ、わんたん」は存在する
ーー配信を聴いていると、「空飛ぶ、わんたん」という女性が熱く妖怪の話をしていたり、明るくポジティブに普段考えていることをしゃべっているような印象を受けますが、そう感じるようなキャラクターを意識して作っていますか?
わんたん:そうですね。普段の自分と、わんたんの人格は全然違うものだと思ってます。私の中では、わんたんが理想とするしゃべり方をしている人が四人いて、そのうちの一人が映画『アラジン』のジーニーなんですよ。ジーニーの、自分の得意なところだけめちゃくちゃしゃべるんですけど、分かんないところはどうしようもないポンコツみたいな感じが好きなんです。わんたんも、そんなふうに急に饒舌になったりポンコツさが出たりするような、表情豊かなキャラクターでありたいと思っています。
ーーやはり意識的に変えているんですね。
わんたん:私にとって「空飛ぶ、わんたん」っていうのは、唯一自分自身をタレント化してる部分なんです。私自身は表舞台に立つよりは、プロデューサーになりたいと思っているのですが、一度私がキャラクターになって、「人気とは何か?」「活動するとは何か?」っていうのを知ってみようと思って。
ーーなるほど。一度プロデュースされる側を体験してみているんですね。
わんたん: ただ、最初の方はその意識が強かったんですけど、Radiotalkで配信を始めてもう4年目なので、だんだん自分の人格の中にわんたんの人格が入ってきてる感じがあるんです。なので、どんどんナチュラルな感じになってるかなとは思うんですが、自分がわんたんにしてほしくないことはあるし、ちゃんと分けてるところもまだあるかもしれないです。
ーーしてほしくないことと言うと?
わんたん:分かりやすいので言ったら、もともと、わんたんちゃんは恋愛話NGにしてました。
ーーそうなんですか!
わんたん:最近は何かのネタになるかな、ぐらいの感じでしゃべることはあるんですけど。あとは、暗いことを言ったり、ほかの人の噂話をしたりも基本的にNGですね。
ーーそこまでしっかり意識されているんですね。そんなわんたんさんにとって、リスナーはどのような存在ですか?
わんたん:「空飛ぶ、わんたん」を一緒に作ってくれている人たちだと思ってます。「空飛ぶ、わんたん」って、マイクを繋いでヘッドホンをつけてるときにしか存在してないんですよ。なので、理想としては、自分も含めたわんたんに関わる人全員で「空飛ぶ、わんたん」っていうキャラクターを存在させたいなと。
ーーリスナーも「空飛ぶ、わんたん」の関係者なんですね。
わんたん:わんたんの絵も、Radiotalkで得た収益で作成しました。そのときは「空飛ぶ、わんたん」という名前とこの声をキャラクター化してほしいって依頼しました。実際の私に似せないで欲しかったんですよ。私はあくまでも声を作る人で、しゃべり方も絵も妖怪の話のヒントも、色んな人に助けてもらって今があるという感じなので。
ーー色んな人の考えやアイディアが集まって1つの世界を作っているような感じなんですね。YouTubeに上げていた動画もその1つかなと思うのですが。
わんたん:これは2021年の3〜4月に、音声とクラウドファンディングって相性いいんじゃない?と思って、個人的に「Radiotalkクラファン」という企画をして作った動画ですね。
動画内で着てる着物だったり、交通費だったり、カメラマンさん雇ったりっていうのは全部「Radiotalkクラファン」で得た収益から出しています。髪の毛を染めたときの領収書を貰いそこねちゃったので、髪だけ自腹なんですけど(笑)。あの動画は、自分がやりたかったものを、みんなの力で作ってもらったなというのはありますね。
「妖怪」は興味と需要がマッチしたジャンル
ーー妖怪の番組をやると決めたきっかけは?
わんたん:妖怪の番組を始めたきっかけは、大きく2つあるんです。
1つは、 私がキャラクター業界で仕事してる中で、やっぱり妖怪って面白いんじゃないかなって思ったんです。日本には八百万の神々がいて、海にも山にも風にもお米にも魂が宿っていると考えている。それがキャラクター化したのが妖怪だと思うんですね。それで、興味がある「妖怪」というジャンルについて、自由研究みたいな気持ちで勉強して発表していきたいなと思って始めました。
もう1つの理由は、 別の音声媒体で配信していた時期があるんですが、そのときに、そこで配信した日本史についてのチャンネルが割と反応が良かったのを見て、どうやら歴史と音声は相性がいいらしいぞっていうのが分かったんです。
ーーなるほど。
わんたん: 歴史番組は多いし、自分は詳しくないので、同じフォーマットでどの分野ならコンテンツ勝負ができるかを考えた上で、妖怪の話をすることにしたという感じです。
ーー興味の部分もありつつ、マーケティング的な部分も考えられて配信されているんですね。
わんたん:そうですね。YouTubeとか見てても、妖怪の話のチャンネルってそもそも少ないんです。女性が妖怪の話をしているコンテンツとなると、さらに少なくなると思います。なので、 ここでずっと頑張っていたら、一番になれるんじゃないかなと思っているところもありますね。
ーー『#キャラクター事典 妖怪怪異日本一周の旅』は1つの収録トークのクオリティが毎回すごく高いなと思うのですが、収録のための準備にどれくらい時間をかけてますか?
わんたん:時間は、大体平均で4時間ぐらいですかね。ネタを決めてから台本完成までに3時間で、収録に1時間とか。最近は慣れてきたのでそれぐらいですが、1本目の河童の話は8時間ぐらいかかりました。やっぱり自分が納得できないと公開したくなくて。
ーーわんたんさんの収録トークへの本気度が伝わってきます。台本はナレーション原稿のように書いているんですか?
わんたん:たまに箇条書きになるんですけども、基本的にナレーション原稿っぽいかなと思います。原稿は全部残してあって、疲れたときに見返して、「こんなにやってる、すごい」と思えるようにしてます。
ーー全部残してるんですね!原稿の紙をファイリングしているんですか?
わんたん:いや、一番使いやすいのでiPadのメモ機能を使ってます。自分はどこまでもこだわってしまうタイプなので、だからこそ配信のハードルをちょっとでも下げたいんですよね。 なので、台本を書くにしても、メモ機能を使えば、仕事帰りにiPhoneでも書けるし、家でiPadで書くこともできるしっていう状態にしてます。なるべく全部簡略化するように心がけてますね。
ーー収録する前に行うルーティンはありますか?
わんたん:台本にふりがなを振ったり、イントネーションが怪しいもののチェックはしてます。昔、スサノオノミコトのイントネーションが分からなかったことがあって……。でもそういう、基本的なことぐらいですね。
収録トークは本として売れるレベルを目指している
ーーライブ配信と収録トークの使い分けや、コラボするライブ配信と普段のライブ配信でのスタンスの違いはありますか?
わんたん:私の収録トークってとっつきにくいと思っているので、しゃべっている人はこんな人だよ、というのを知ってもらうためにライブ配信はやっているんです。ただ、最終的なゴールは「収録トークを聴いてもらう」なので、隙があれば獏とか龍の話をしてますね。
コラボでのライブ配信は、最初はわんたんのイメージが崩れてしまうのが嫌でやってなかったんです。でもやりたい気持ちはあったし、ここまで来たら崩れていくものもそんなにないし、正直みんながやっているのがうらやましかったので最近は割と参加していますね。心境の変化です。
ーー例えばどのようなコラボライブ配信を行っていますか?
わんたん:今は定期的に2つのコラボ配信をしています。
1つは、経験値🐸🔥さんとやっている「ちゅるりんけろりん」です。2021末に行われたRadiotalkの公式イベント『紅白トーク合戦』にも参加しました。最初決めたコンセプトが、Radiotalk発のアイドルだったので、かわいい雰囲気を作ってます。
もう1つは、「陰気のくせにイキってみた」です。Radiotalkの企画サポートイベントに参加して、ユーザーイベントとして告知してもらったこともあります。DiceKさんもタナカリさんもあらゆる形で音声配信をされているので、トークの幅が広くて笑い声の絶えない番組です。
ーー定期的に2つもコラボでライブ配信をされているんですね。
わんたん:これが大変で、今までは自分だけが頑張ればいいからある意味楽だったんです。でも誰かと番組を作るとなると、打ち合わせをしたり、一緒に内容を考えたり、モチベーションを保ち続けないといけなかったりして、誰かと一緒に番組を作るのってこんなに難しいんだと思いました。ただ、その分楽しさを共感できてすごく楽しいです。
ーー収録トークは最終的なゴールということですが。
わんたん:番組名に「キャラクター事典」と入れているぐらいなので、ゆくゆくは本みたいになったらいいなぁという気持ちでやっています。オーディオブックとして売り物になるレベルを目指しているので、ほかの配信の形とは全然違うものになってるのかなと思います。
悔しさをバネに技術を磨いたら結果が出た
ーーこれまで配信してきた中で、特にこれは忘れられないという出来事はありますか?
わんたん:これはもう、radikoのオリジナルCMコンテストですね。あれは泣くほどめちゃくちゃ悔しかったです。
ーー2020年の1月から2月にかけて行われていた、新しい音声広告を題材にしたコンテストですね。
わんたん:そうです。自分は優秀作品の1つには選ばれたんですが、正直そのときに、自分は選ばれない側だなっていうのを結果を見てすごく感じてしまって、それでめちゃめちゃ悔しかったんです。
それで、もうRadiotalkはやめてやるってなって。そのあとに、別の音声配信サービスがやってる音声配信者養成講座みたいなものに参加して、 表現の仕方とか、台本の構成だったりとか、とにかく面白くてキャッチーなものを作る4ヶ月間を過ごしていたんです。
それが終わったタイミングで迎えたのが、Radiotalkでやっていた『あどりぶラジオ〜月刊Radiotalk〜』(MBSラジオ)の11月オンエア分のパーソナリティオーディションだったんです。
私は一次選考を通過したんですが、多分そのときは結構みんな「誰?」と思ったと思うんですよ。でも私は、技術とかこだわりで勝負できた感じがあって。それも全部ひっくるめて、やっぱり印象に残ってるのはアプリradikoのオリジナルCMコンテストです。そこで悔しかったから、新しいことを始められたので。
ーーある意味そこから始まったというところもあるんですね。
わんたん:そのときのパーソナリティオーデションは、一次選考は収録トークでの審査だったんです。そのために録った収録トークは、面白さが伝わるために一番重要なのは構成だと思い、「一難去ってまた一難」っていう誰でも知ってることわざをなぞった構成にしました。
すてきな3人組さんが2021年の3月に『あどりぶラジオ〜月刊Radiotalk〜』のパーソナリティを務めたときにはゲストで呼んでもらいましたが、そのゲスト出演権を獲得するための収録トークもことわざと結びつけて構成を考えたので、そういうこだわりはあります。
自分が面白いと思うことをやり続けて得た自信とプロ意識
ーーRadiotalkで配信を続けてきて、始める前と比べて変化を感じるところはありますか?
わんたん:昔から、根本的に私は面白くないと思っていたので、例えばこの話がしたいと思っても、私には面白く伝えることはできないと諦めていたんです。でもそう思うことが減ったかなと思います。
ーーいいですね!
わんたん:今でも、私は多分100点満点の中で、頑張っても40点ぐらいしか面白いことはできないと思ってて、それでもその40点をどう伝えたら面白く聴こえるかなとか。色んなことを考えちゃうのは変わらないんですけど、前向きに頑張ってみようって思えることは増えたかなと思います。 あと、結構大きかったのは、 番組に個人スポンサーがついたことですね。
ーー番組にスポンサーがついたことでどのような変化がありましたか?
わんたん:最初にご相談いただいたときは、「やった!個人スポンサーだ!」じゃなくて、不安とか怖さを感じたんですよね。そのときぐらいからRadiotalkで収益が出たりもしていて、お金と趣味の付き合い方がすごく難しかったんです。ただ、オーディオブックとかに興味はあったし、 収益化するためにはどうしたらいいんだって考えながら配信をされてる人も多いし、そういうことを踏まえて考えると、断るのはちょっと違うなと思って個人スポンサーの話を受けたんです。
ーー趣味で始めたことでお金が生まれるようになると、向き合い方などが変わってきそうですね。
わんたん:その話を受けることによって、最初は責任感が強くなったなと思ったんですよ。私が好きな『映像研には手を出すな』っていう作品で、金森さやかが「金を貰って責任を持つのと、金を貰わず責任も取らないのとどっちが健全か言ってみろ」って言ってるんですけど、自分もその考え方にはすごく納得していて。なので、怖いけどこれはお金を貰える作品を作るチャンスだぞ、という思いがあったんです。
個人スポンサーがついた最初の頃は責任感がすごくあったんですが、1年ぐらい経って、今はそれが自信に変わったところがあるなと感じます。最初は不安のほうが大きかったけど、今では「私はこういうふうに頑張ってる」って胸を張って言える1つの理由になったし、頑張りたくないときも、やらないといけないという義務感ではなくて、私は頑張れるんだから頑張ろう、という自信に変わった感じが、人間としてかなり大きく変わったのかなと思います。
ーー 最初はプロじゃないからできることがあるという理由で配信をされていたわんたんさんが、個人スポンサーがつき、ある意味プロのような立ち位置になったことでまた考え方が変わってきているんですね。
わんたん:たしかに、最初はプロだとやらなくちゃいけないことがあるから嫌だと思っていたんですが、自分が好きでやっていることに共感してくれる人の存在は大きいですし、だからこそ頑張れている部分も結構あります。スポンサーの方も、私のスタイルを認めてくれているし、自分がやりたいことをやっているので、奇跡みたいな感じもあるかもしれないんですけど。
お金を貰うことってマイナスイメージが付きがちではあるんですが、逆にお金になるものを作っていこうという意識を持ち続けられる要素になっているなと思います。私はナレーターになりたかった人なので、ゆくゆくは企業スポンサーが欲しいなと思っているんです。
ーーわんたんさんにとってRadiotalkはどんな場所ですか?
わんたん:ちょっとイキったことを言いたいな(笑)。
Radiotalkは「空飛ぶ、わんたん」が生まれた場所です。そして、こういう話をしたらどんな反応があるかな、こういうテンションでしゃべってみようかな、みたいな、いろんな実験を楽しめる場所でもあります。
私は普段、歴史や妖怪の話をしていると、「あ!これ画像で説明したい!」と思うことがよくあるんですけど、音声配信ってこういうときにすごく不自由なんですよね。
ただ、声しかない世界だから私は頭がいいフリもできるんです。
私は声があれば大人っぽくも子供っぽくも、かっこよくも可愛くもなれる。
声しかないこの世界だから私は変形自在で、自由な私でいられると思うんです。
「空飛ぶ、わんたん」が何者なのかは、誰にもわからないようにしたいという思いがあります。
人によってわんたんの捉え方が違って、結局何者なの?みたいな。
声があれば何者にでもなれる。
それに気づいたのはRadiotalkのおかげかもしれません。