芸人と一般人の同級生コンビで作る唯一無二の場所【『西本・寺井の親ラジオ HYPER』インタビュー】
Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『西本・寺井の親ラジオ HYPER』を配信する西本さん(スーパーサイズ・ミー)と寺井さんにフォーカスします。
吉本興業に所属し、お笑いトリオ「スーパーサイズ・ミー」として活動している西本さんと、一般企業で働くサラリーマンである寺井さん。二人は高校の同級生ですが、仲良くなったのは高校を卒業してからだそう。
2人が音声配信を始めたのは、2013年のこと。当時は個人の音声配信もまだメジャーではなく、ブログに音声データを貼る形で開始したといいます。『親ラジオ』と名付けられたこのラジオは、7年後の2020年、Radiotalkで『西本・寺井の親ラジオ HYPER』として再スタートを切りました。
『西本・寺井の親ラジオ HYPER』の初回を聞いて驚くのは、二人の会話の空気感が、前身の番組から変わっていないこと。お笑い芸人とサラリーマンという肩書の違う二人ですが、『親ラジオ』の面白さがずっと変わらないのは、肩書が関係ない”同級生のノリ”が、番組の魅力として根底にあるからなのかもしれません。
(取材・文/ねむみえり)
最初は友達に聴いてもらえればよかった
ーー2013年、『西本・寺井の親ラジオ HYPER』の前身となる『親ラジオ』が始まりました。お二人のコンビ結成も、これがきっかけで?
寺井:そもそも、西本とは高校の同級生ではあったんですが、仲良くなったのは西本がNSCにいて、僕がまだ大学生のときぐらいからだったんですよね。
西本:僕は養成所に一緒に入ろうって誘ったんですけど、断られて。
寺井:僕は普通にサラリーマンになるわ、って。でも何かやろうよって言ったら、西本からラジオをやろうって提案されました。ラジオだったら顔も出ないし、普通に大学生として過ごして、そのまま一般企業に入るのにも影響がないかなって。
西本:YouTubeもまだそんなに流行ってなかったと思うんだよね。第1世代YouTuberが台頭する前ぐらいで。当時はあまりYouTubeに魅力を感じてなかったし、寺井も一般人でいくっていうことだったから、顔出しなしでできる方法を選びました。友達に聴いてもらえればいいや、ぐらいの気持ちだったんですよ、最初は。
寺井:現に友達しか聴いてなかったですし。
ーー『親ラジオ』という番組名の由来は?
寺井:第1回で雑談しながら、ラジオの名前を考えたんですよね。始めに何個か大喜利的に案が出て、「マジで名前つけるのってむずいな」と。そう考えたら、子どもに名前つける親ってすごいよね、という気持ちが由来だったと記憶しています。
(西本に話しかける)もうちょっと、とっつきやすい名前にしときたかったなって思うよね。
西本:どう考えても怖いのに、それにしてるっていうのが、いかに尖っていたかが分かる。
ーーそこでリスナーの呼び方も決まってましたね。
西本:そうですね、親ラジオだから、チャイルドにしようって。これはいまだに言ってるんですよ。
寺井:僕は音楽のルーツがビジュアル系にあって。ビジュアル系のバンドって絶対、ファンの総称を決めるんですよ。それがすぐ僕の中でパッと出て、じゃあリスナーの名前も決めちゃおうってなったんですかね。
ーーラジオを更新したときはどのように告知してましたか?
西本:どうやってたんだっけな。直接メールしてたと思いますよ。
寺井:してないしてない(笑)ラジオを始めたときは、友達にリンク送ったりしたけど。確か、基本毎週水曜日の何時に更新って決めてたんです。でも、「更新しました」みたいなことは発信してなかったですね。Twitterもまだそこまで重要なツールではなかったので、アカウントはあるものの、宣伝とかもせず。
西本:尖ってたんで、世間が見つけてくれるだろうと信じてたんですよ。内容さえ良ければ誰かに見つかるって。
ーーそもそもお二人が仲良くなったきっかけは?
寺井:高校の時は同じクラスにすらなってないんですよ。西本は、高校生のときは芸人を目指すようなタイプではなくて、ダンスができて、イケメンで、おしゃれで、超二枚目路線だったんです。反対に僕は、比較的影にいる、知ってる人は知ってる面白道みたいなところに生えている草のような感じで。
でも、成人式のあとに同窓会みたいなのがあって、そこで西本に会ったら、おもしろ路線にちょっとずつ寄ってたんですよね。
西本:僕が大学で20kg太ったんで、シフトチェンジしたんですよ。
寺井:西本、面白さを基準に人を見るようになってて。僕の存在がハマったみたいです。
西本:寺井がやってる『ifアニメ』っていうYouTubeチャンネルで一緒に活動してる、ババウロTVの吉田さんが共通の仲いい友達なんですが、彼に同窓会の場で「お前ら、気が合うんじゃないの?」と取り持ってもらうような流れがあったと思います。
同級生だからできる、阿吽の呼吸と悪ノリ
ーーブログ上での音声配信からRadiotalkへ移行したきっかけは?
寺井:実は、『親ラジオ』を1年ぐらいやったら飽きてしまったんですよね。でも聴いてくれてた友達に、「親ラジオまたやらないの」とたまに言われてたので、年1で更新はしてたんです。
ただ、その年1更新を続けているうちに、いろいろ便利なアプリが出てきてて。わざわざ2人でSkypeつないで音声録って編集してアップして…… みたいなことをしなくていいんだって分かったんですよね。交流のあるババウロがRadiotalkで配信しているのも知って、「こういうものがあるなら、俺らも再開するか」と。
西本:最初は対面で収録していました。「12分ってちょうどいいし、これはすごくいいな」と思ってたら、リモート収録に対応したベータ版を使わせてもらえて。(寺井に話しかける)これなら定期的に続けられるね、ってなったんだよね。
ーー毎回の収録は、どのようなタイミングで行っていますか?
寺井:できれば週2回は更新したいなっていうのがベースにあるんです。僕がアカウントを管理してるので、貯め録りのストックがなくなってきてるぐらいのタイミングで西本に連絡して、スケジュールを合わせる感じですね。
録れるときは6本ぐらい、一気に録っておくときもあるんです。でも更新するのは1ヶ月後ぐらいになっちゃうので、「いまさらあのお便り読まれてるよ」なんて思われてるかもしれませんね。まだ読んでないお便りの中に「年末なので振り返りたいと思います」みたいなのもあるし(笑)
西本:僕らのお決まりのくだりで、「親ラジオは半端じゃなくメールが届いている」っていうのがあるんですよね。だから、読みきれないっていうことにしてます。一回、「親ラジオ担当の社員がいる」っていうトークをしたときも……(笑)
寺井:ホントに信じちゃった人がいて、申し訳ない気持ちになりました。
西本:僕ら同級生なので、悪ノリがすぎて、嘘ついてるときにどっちも止めないときがあるんです。
寺井:基本はどっちかが止めるようにしてるんですけど。
ーーフリートークをする時は、事前にトークテーマを共有していますか?
寺井:フリートークは西本発信が多いんですけど、事前の打ち合わせって僕らほとんどしないんですよ。リモート機能を使うと、収録開始前に6分の打ち合わせの時間があるけど、普通にLINE通話してるみたいな感じで話してて、「やべ、始まる」みたいな。
西本:その6分のほうが面白いときが多いです。
寺井:「これを収録でやんなきゃいけないのになぁ」って言いながら収録するっていう。そういうのもあって、トークテーマをあらかじめ聞かないことが多いです。12分のトークの中で聞いて、その場で反応して広げてってことのほうが多い。
ーー構成とかも作らずに?
西本:ないですね。
寺井:「ライブ配信の告知だけ先にやるわ」とか、「おたより何個か読むわ、たぶん何分か残るから適当にしゃべっといて」みたいな感じの共有はしますけど。そこは芸人さんなんで丸投げしてます。
ーー寺井さんは「このお便りを読もう」と決めているけれど、西本さんは収録中に初めて知ると。
西本:それがほとんどですね。本当におたよりの内容が優秀というか、広げやすい内容ばかりで、感謝してます。
寺井:人への感謝で成り立ってるのでね、親ラジオは。それが原動力と言っても過言ではないのかなって。
リスナーの反応で再確認する、トークタイトルの重要性
ーー収録トークのタイトルはどちらが付けているんですか?
西本:これは、僕です。
寺井:そんな嘘ついてもバレるんだよ(笑) さっき「更新してるのは俺」っていう話をしたんだから。ブログで配信してたときは二人でタイトルを決めてたんですけど、今は僕が更新作業を担当してるので、僕がやってます。
西本:タイトルが結構人気なんですよ。チャイルドのみなさんが「あのタイトルがいいよね」「タイトルが収録トークのどこで出てくるのか、楽しみで聴いている部分もあるよね」ということを言ってくれたりして。
寺井:公開収録をやったときに、その場に来てくれたチャイルドの方から後日DMが来たんですよ。「公開収録で話していた内容のどこがタイトルになるのか、予想しながら更新を待ってます」って。
西本:マニアック!
寺井:かなり狭い楽しみ方をしてるぞと。それだけ、やっぱりタイトル重要なんだなって。
ーータイトルをつけるときは、一度録った内容を聞き直したりしますか?
寺井:基本的には、収録をしているときに、大体このへんがタイトルにできるかな、って目星をつけておくんです。貯め録りをしているので、公開するトークのなかで目星をつけておいた部分を聞き直して確認して、タイトルをつけて公開してます。でも話してて「平坦だったな」っていうときは、タイトルに悩むので、全部聞き直してからつけます。
ーー目星がついているときは、どこかにメモしているんですか?
寺井:僕は人より記憶力が著しく高いので、大体何分ぐらいだったなっていうのを覚えてるんです。なのでメモったりはしてなくて。下書きの最初の3秒ぐらい聞いて、「これ、あれの話をしたときか。ということは大体この辺だったな」と探して、フレーズを聴き直してタイトルをつけてます。
ーー収録トークを更新し続けるモチベーションは?
西本:投げ銭ですね!
寺井:どうしてもプレミアムネギがほしいな、じゃないのよ。違うでしょ。
西本:僕的には、寺井を売りたいっていうのがあるんですよ。というのも、寺井がやってる『ifアニメ』もそうですけど、寺井自身にコンテンツ力があると信じてるので、もっと寺井のフォロワーを増やしていきたいというモチベーションがあるんです。僕がやってるInstagramきっかけで『親ラジオ』に入ってきてもらって、寺井で足止めするという。
ーー寺井さんご自身的にも、自分でもっとコンテンツを発信していきたいという感じは?
寺井:ありますね。昔から僕、目立ちたがりなので、基本ずっと発信してたいし、人目に触れたいと思ってるんです。
でも『親ラジオ』に関しては、西本と一緒じゃないとできないものなので。「じゃあ一人で配信しようか」という気持ちにはならないですね。西本も芸人として順調にいって、インスタもバズってるってなったときに、西本くんと繋がれる唯一のパイプかなと思って。
西本:激イタ野郎ですね(笑)
寺井:西本とやってるコンテンツが楽しくてって、いうのは一番大きいかなと思います。アナリティクスを見るのがすごく好きなんですけど、最近聴いてくださる方も増えて、リアクションも早くついて、再生数も増えてきてっていうのはモチベーションになってますね。
ーーライブ配信も月1ぐらいでされていますが、タイミングはどのように決めていますか?
西本:公開収録するためとか、あと記念日系とかでやったりはするんですけど、基本的に月1で自分たちのタイミングで、レンタルスペースを借りてやってます。
寺井:俺らからすると、二人で会って、お酒飲みながらお菓子を食べてしゃべってるだけなんですよね。準備することもないし。
西本:それがコンテンツになっちゃってるんですよ。
寺井:嫌な言い方するね。「なっちゃってるんですよ」で右上見るのやめてほしい。ないんだから、そっちに何も。
ーー2回ほど公開収録イベントをされていますが、2022年1月22日の公開収録イベントはいかがでしたか?
西本:めっちゃよかったです。来てくれた方が、「満足度が高かった」って伝えてくれましたね。実際に、来てくれた方の人数も増えてたんです。1回目は多分13、4人ぐらいで、2回目は20いくかいかないかぐらい。
ーー公開収録以外に、Radiotalkを使ってやってみたいことはありますか?
西本:個人的には、同期のチェリー大作戦の宗安とかを呼んで、芸人集団イベントはやってみたいと思ってます。僕の先輩だと、男性ブランコの浦井(のりひろ)さんもやってらっしゃるし。
あとは、やっぱり公開収録の現場をでかくしたいという気持ちもあります。50人ぐらいの規模でやりたい。
寺井:僕は、「なんでもやっていいですよ」って言われたら、ババウロとのコラボがやりたいですね。
ちゃんとお金を生み出せるコンテンツにしたい
ーーお二人は、コンテンツと収益の関係をどのように考えていますか?
西本:収益は結構考えていて、コンテンツとしてお金が生み出せて成り立たせるまでやりたいという気持ちですね。キャラクター的にそれを言ってるんで、こいつめっちゃ金の話するなって思われてるかもしれないんですけど、しちゃってるな。
寺井:しちゃってるし、しちゃってることによって、俺はそんなにお金とかじゃなくてほんとに楽しくてやってるよっていう面を見せてるけど、ほんとは一番気にしてる。
ーーそのバランスがすごく絶妙ですね。
西本:性格的にできないんですよね。「みなさんいいんですよ、お金とか。ありがとうございます」っていうのができない。
寺井:それは俺も助かってるけどね。西本がそれやってくれるから。
西本:この前、年末のイベントでMCをさせてもらったときに、有名トーカーさんといろいろお話しをしたんです。
その席で、そんない竹内さんが「Radiotalkで人気があって、収益があるから仕事をやめました」と話していたのを聞いて。やっぱり気合いれてやってるんだなっていうのは刺激になりました。
(寺井に話しかける)それぐらい生み出せるフィールドなんだなっていうのを改めて知った感じだったよね?
寺井:あった。shun☀️くんも仕事辞めたって言ってたし。
西本:だからそこに食らいついていきたいなって。
ーーいま、お二人にとってRadiotalkはどういう場所ですか?
西本:終わりのない、無限に広がる自分たちの土俵って感じですね。
寺井:あまりにもダサすぎる。俺はほんとに、チャイルドの方と繋がりを持てる部分がここなので、そういう意味ではライブ配信やっててリアクションがあるとか、公開収録で「寺井さん会いたかったです」とか言ってもらえると、僕の承認欲求の器にドボドボと承認が注ぎ込まれる感じですね。
西本:僕たち、承認欲求ブラザーズなので。
寺井:嫌な記事になりそうだな(笑)でもほんとに、仲いい友達としゃべってることが発信できて、ファンの方とコミュニケーション取れるのはすごくいい環境ですね。西本は、芸人というよりは友達という感覚なので。
西本:芸人としてトリオでやってるときも自由に楽しくやってるんですけど、舞台だとある程度のお笑いのルールがあって、その縛りの中で戦うみたいなのもあるんです。そこが寺井とやる分にはないので、より自由に表現できるみたいなところはあって楽しいですね。また別のテンションで発信ができる場所みたいな感じなので、楽しくは感じています。
寺井:それは同級生だからこそ出せる雰囲気ってことなんですかね?
西本:そうですね、なかなかお笑いの仲間とじゃ出せないなって。
寺井:付き合いが長いからこそ、10年以上の付き合いだからこそ出せる雰囲気が、Radiotalkではあるのかなってことですかね。
西本:これ、2対1のインタビューでしたか?
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