リスナー全員にとって「家から1分のファミレス」でありたい【風間春菜さん(泣くなよ)インタビュー】
Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『ひとりで泣くなよ』を配信する風間春菜さん(泣くなよ)にフォーカスします。
前コンビ「ラムズ」としてRadiotalkを開始し、 コンビ解散と新コンビの結成という時期をまたぎながら、その間1日たりとも収録トークの更新を欠かさなかったというエピソードを持つ風間さん。そのモチベーションは、いったいどのようにして保たれていたのでしょうか。風間さんのラジオへの思いとともに伺いました。
(取材・文/ねむみえり)
”喜怒哀楽”すべてに寄り添うラジオをしたかった
ーー数ある媒体のなかから「ラジオをやりたい」のはなぜですか?
風間:ラジオはテレビと違って、劇場での距離感に近いなと思ったんです。劇場は、見に行こうと思ったお客さんが来てくれますよね。ラジオも、聴こうと思ってる人が聴くというイメージなんです。
ーー確かに、劇場でのライブもラジオも、ファンが能動的にならないと触れられないものですね。
風間:テレビで見ている芸能人というのは、すごく”芸能人”という感じがするけど、ラジオは声だけを聴いているので、「この人もこういう感情で動くんだ」みたいなことを感じて、親しみやすくていいなと思うんです。そこに魅力を感じて、自分も声で何かを届けるという体験をしてみたかったというのがあります。
ーーRadiotalkを始めたきっかけは?
風間:お世話になっているはまこ・テラこさんのテラこさんから「一緒にRadiotalkでトークをしてみないか」って声をかけてもらい、テラこさんの番組にゲストとして出演したんです。そのタイミングでRadiotalkのことを知って、ユーザー登録しました。
その1ヶ月後ぐらいに、マネージャーから「Radiotalkって知ってる?」と聞かれて。先輩の番組にゲスト出演したこともあると伝えたら、「4月からRadiotalkを始めてみないか」と提案されたんです。最低でも週に1回は必ず配信して、1年間でフォロワー1万人を目指して頑張ってほしいと言われて、ぜひやりたいです、と始めました。
最初はトークのストックがなかったので、1日に16〜17本ぐらい一気に録っていましたね。今でも時間のある限り、1人で録って貯めています。
ーー2022年の1月に『ひとりで泣くなよ』という番組名に変更されましたが、番組名の由来は?
風間:ラムズは2021年の10月20日に解散したんですけど、当時の相方が12月31日までは芸人を名乗ると言うので、だったら1月になったら変えようと思って、そのタイミングで変えました。
”「泣くなよ」と言われて気づく今我が泣いているのは「わたし」のためと”という俵万智先生の短歌があるんです。そこから”泣くなよ”を取って、コンビ名や番組タイトルに拝借しました。
『ひとりで泣くなよ』という言葉は、自分たちが誰かを笑わせるという世界に身を置くなかで、喜怒哀楽のどんな感情のときも寄り添うから、”ひとりで泣くなよ”という思いがこもっているんです。
ーー「リスナーから喜怒哀楽のエピソードを聞き、一緒に共感する」というコンセプトも、ここから来ているのですか。
風間:元相方から、「怒り」を軸にしたらトークを広げやすいんじゃないかと提案されたんです。私が常に物事に対して腹をたてていることが多いので……。
なので、番組タイトルも『怒り大明神』が候補にあって。ただ、怒りにも限度があるので、扱う感情を喜怒哀楽に変えたら、悲しいときは共感してあげられるし、嬉しいときは一緒に喜んであげられるから、そちらの方がいいんじゃないかということでコンセプトが決まりました。
収録トークは「一発録り」にこだわる
ーー収録トークでは、たびたびゲストを迎えたトークをされていますね。迎えるタイミングはあらかじめ決めているのですか?
風間:決まってないですね。ライブの現場で「この人、気になるな」と思った人に「これからRadiotalkで12分トークするんだけど、一緒にどうですか?」と声をかけてトークを録っています。台本も一切ないし、何も詳しいことを伝えずに、よーいスタートで始めるときもありますね。でも面白い人たちばかりなので、しっかり返して盛り上げてくれるんです。
収録トークでは、1人のときも、ゲストを呼んで録るときも、どれだけ噛んで、言葉が出てこなくても、一発録りでそのまま配信しているんですよ。
ーー一発録りというところにこだわりが?
風間:そうですね。テラこさんも一発録りをやっていて、私がゲストで参加するときも、とくに打ち合わせすることなくやってくれてるんです。それって、すごく信頼関係があるからだなと思っていて。
「私がこのタイミングでボケるから、ツッコんで」みたいなのを決めちゃうのって、面白く聴こえるとは思うんですけど、冷めちゃうなと思って。なので、基本的には信頼関係のある芸人を呼んでやっています。言葉がスムーズに出なくても、それもそれで味だなと。
ライブ配信は「生存確認しあう」場に
ーー一方、ライブ配信は、「今日こういうことがあった」ということをしゃべって、30分でサクッと終わりますね。
風間:そうですね。ライブ配信は「話したいことあるから話そう」ぐらいの気持ちでやっています。
ーーリスナー数やリアクションの動きが気になったりしませんか?
風間:ギフトを投げてくれたら嬉しいですけど、投げなかった人がダメなわけではないんです。聴いててくれるだけでありがとうという気持ちなんですよね。「今日は嫌なことありました? 大丈夫でした?」って、お互いに生存確認しあうことが目的というか。
ーーリスナーさんとの関わりが、風間さんがラジオを続けるモチベーションのひとつになっているんですね。
風間:Radiotalkって、バレンタインだったらバレンタインのギフトがあったり、ライブ配信マラソンみたいなイベントがあったりするじゃないですか。そういうのがあると、聴いてくれるリスナーさんが「一緒に頑張りたい」と協力してくれるんです。
あと、Radiotalkって、ギフトに使えるコインを無料で100コインまでもらえるシステムになっているじゃないですか(2022年3月7日取材時点)。それを使って私にギフトを贈ってくれることが、収益云々に関わらず、すごく嬉しいんです。応援してくれているという気持ちが伝わってきて。
ーーファンひとりひとりに、向き合っているのですね。
風間:ファンの方は一対一で向き合うべき相手だと思うんです。でも芸人として暮らしていくなかで、どこか“お金”として見てしまうことに葛藤があって。
ファンの方は、お金を払ってチケットを買って、自分たちを見に来てくださるじゃないですか。じゃあ、自分たちに価値を感じたらお金を使うのか?って思ってしまったときに、お金が全てではないのに、一瞬でもそう考えてしまったことがすごく悲しかったんですよね。
数字を気にすると、自分もつまらなくなっちゃうし、リスナーさんも「やらなきゃ」って気持ちになっちゃう。ランキングで上位に行けたら嬉しいけど、行けなくてもみんなとしゃべれているなら、それでいいんじゃないかなと思ったんです。
ーーたしかに、風間さんはRadiotalkに対してのスタンスがすごく気軽で、友達と電話してる感覚で聴けるので、それが魅力になっているのかなと感じます。
風間:それが一番嬉しいです。「延長したら?」とか、「長時間ライブ配信したら?」と言われたりもするんですけど、毎日必ずやっていて、しかも気軽に聴けるものを配信していた方が、リスナーさんも疲れずに長い目で応援してくれると思っているんです。
メモしないと忘れるレベルの話はしない
ーーちなみに、トークのテーマはどのように決めていますか?
風間:なんにも考えてないんですよね……。ライブの舞台で話を振られたときも、そのとき思ったことを言ってるだけで。
ーー風間さんのようにいろいろ思いつくと、覚えておくのも大変そうですが、メモを取ったりはしないのですか?
風間:全然ないですね。あ、でも決めていることはあります。やりたいなと衝動的に思ったことを、30分、1時間ほどいったん寝かせたり、次の日まで置いておくんです。それで、いざ思い出すときに「なんだっけ?」ってなったことは、全部ボツにしています。
ーーいったん寝かせるんですね。
風間:はい。トークも一緒で、めちゃめちゃ面白いことがあっても、何日か経って「あのときの話、なんだっけ?」ってなったら、絶対話さないです。
ーー強く印象に残った話だけを選ぶと。
風間:メモにストックしてしまうと、そのときの感情で話せないんですよね。「芸人は生きてるだけでネタの宝庫だから、メモしたほうがいいよ」ってよく言われるんですけど、メモをしないと覚えられないレベルのエピソードトークは、どこに出しても面白くないと思うんです。
リスナーの愛がランキングを動かした
ーーRadiotalkをやっていて印象に残っている出来事はありますか?
風間:「収録トーク総選挙」で5位に入れたことですね。あれはすごく嬉しかったです。配信をとても聴きに来てくれてるリスナーさんがいたんですが、その人がものすごく沢山の投票券を投じてくれたんです。
総選挙に参加したトーカーさんには、もともと何年もPodcastをされていて、ファンも固定で沢山ついてるような方もいました。正直かないっこないと思っていたんですが、その方は、私たちがやっているコンテンツを応援したいと思って、すごく応援してくれました。
ーー風間さんのトークが好きだ、みんなに聴いて欲しいというリスナーさんの強い愛の現れですね。
風間:さらに、その応援してくれていたリスナーさんが、最近初めて劇場に来てくださったんですよ。自分に対してお金や時間をかけてくれて、それで私もRadiotalkを頑張ろうと思うきっかけになったような人がライブを見に来てくれたのは、本当に嬉しかったですね。
ーー劇場での話もまた、Radiotalkで披露したり……?
風間:実は私、RadiotalkではRadiotalk向けのトーク、ライブではライブ向けのトークとはっきり分けていて。Radiotalkで話した内容をライブで話すことはないし、逆もしかりなんです。ライブでは楽しそうにしゃべってたのに、Radiotalkではすごい闇みたいな面を出すこともありますし(笑)。なので、ファンの方は、ライブとRadiotalkで二度楽しめるようになっています。
ーーRadiotalkを通じて、風間さんが持ついろんな側面の扉をひらくことができそうです。最後に…… 風間さんにとって、Radiotalkはどういう場所ですか?
風間:深夜のファミレスみたいな感じですね。リスナー全員にとって、家から1分ぐらいで集まれるファミレス。それぞれの悩みはそれぞれにしか分からないけど、その人にもこういう悩みがあるんだって分かりあえるような、他愛もないこともなんでも話せるような、そういう場所ですね。
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