小学生の頃の思い出シリーズ②
最近の若い人に、
「今日、13日の金曜日だね」
と云っても、
「はぁ、なんすか?それ。」
という態度をとられる。
キリストの・・・とか、
13という数字が不吉・・・とか、
色々、諸説あるのだが、
英語圏の国々では、あまり良い日とされていない
13日の金曜日。
そこから誕生したのが、
ホラー映画「13日の金曜日」である。
その映画に登場する殺人鬼、ジェイソン。
子供の頃、テレビのロードショーで
度々、放送されていた。
よって、僕らの世代にとって、
13日の金曜日=ジェイソン
なのだ。
実際に、日付が13日の金曜日だったりすると、
小学生の間では、ちょっとしたイベントであった。
図工に使う
「画板」(画用紙を固定し、絵を描くときの板)
を抱えての通学途中、体の小さな僕は抱えた画板で足元があまり見えずに、犬のウンコを踏んだ。
ウンコにまつわるハプニングを見逃すほど、昭和の小学生は甘くない。すかさず、
「ジェイソンの呪いだーっ!」
などと、騒ぎ立てられる。
そして、そのあとは、犬のウンコを踏んだだけの僕が、まるでウンコそのもののような扱いを皆から受ける。
それは、約半日続く。
半日、ウンコとなった僕は、
「ジェイソンめ・・・、わざわざ呪いの力まで使ってなんのために僕にウンコを踏ませたのか・・・」
と、改めて、ジェイソンの呪いの力を噛み締めるのである。
そして、子供というのは噂好きである。
学校の七不思議(大抵3つ位しかない)などの話が大好きだ。
そんな噂話も、13日の金曜日を迎えた日には、
当然、ジェイソンを交えた噂話となる。
「ジェイソンは本当にいるらしい」
という話から、
「ジェイソンは蚊取り線香の煙に弱い」とかいう、
遭遇したときの対処法まで、それらは多岐にわたる。
すると、そんな話も、だんだんとエスカレートするもので、
「ジェイソンっぽい人を見た」
というものまで現れた。
彼の話によると、
「ホッケーマスクを被り、でも、ネクタイを締めて、タクシーに乗った」
ということだった。
なんの変哲もない田舎町に、白昼堂々、ホッケーマスクを被ってる時点で、それは、ジェイソンっぽいのではなく正真正銘ジェイソンである。
たとえネクタイを締めていようがスーツを着ていようが、
「部長に会わす顔がないなあ・・・、仕方ない!ホッケーマスクでも被って出勤するか!」
なんていう大人は絶対にいない。
だから、彼の発言にウソがなければ、
それは、間違いなく、ジェイソンなのだ。
そう、子供の頃というのは、
これで良いのだ。
ウソかまことかなどは、どうでも良い。
ジェイソンにまつわるウソなど、確かめようもないのだから、言ったもの勝ちなのだ。
映画の中では殺人鬼。映画の外では、小学生の僕にウンコを踏ませる。
なんて芸の幅が広いのだろう。
ジェイソン・・・、本当は、すごくおもしろいやつなのかもしれない。