時空を越えるライター
清水克行さん著『室町ワンダーランド』。
この本のなかにある「百人一首の秘密」という話を読んでいて、ハッとしたことがあった。少し掘ってみようと思う。
この話は、著者が「末の松山」を震災から8年後に訪れた時の話。
「末の松山」とは、宮城県多賀城市にある小さい独立丘陵のことで、この丘を津波が越えることはない、と古くから言い伝えられてきた。
著者は、末の松山を訪れる前までは、”土地の人から、昔話を聞くということは、こちらの道楽に他者を付き合わせる一方的な行い”だと思って、どこか後ろ暗く感じていたそう。
でも、宮城県の人々から「話したい」という強い思いを感じ、さらにこれまでの調査で、楽しそうに接してくれていた人たちを思い出した。
この経験から
と書いてあった。この部分にハッとしたのだ。
著者は歴史の研究者だ。
私も、卒論を書く時に先生(著者)の本にお世話になったし、卒業した後も著作が大好きなままである。
でも、この気づきは、ライターという仕事にも通じると深く思った。
やっていることが、ライター的な視点でみるとインタビューなのだ。
考えてみれば、
歴史家とライターの仕事がつながった。
私は時空を移動できるライターなのかも?なーんて。