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選手評価の20-80スケールを埼玉西武ライオンズに当てはめるとどんなことがわかるのか

前回のnote(↑)に引き続き20−80スケールを埼玉西武ライオンズに当てはめた下記図について、今回は現状の分析等を行い、図から考えられる強みや弱みなどを洗い出していきます。

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選手評価の20−80スケールを当てはめて見えた現状

20−80スケールに埼玉西武ライオンズを当てはめて、各グレードの位置付けなどを前回簡単に紹介しました。ここからは、20−80スケールに当てはめることによって見えてきた西武の現状を綴っていきます。

あくまで今回作成した図を基にした話になるので、多角的な視点に乏しいものになっている可能性は大いにありますが、チームの大体の戦力分布から見る現状なので、そこまで頓珍漢なものはないと思っています。

投手

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・強み

昨年まで大きな課題となっていたリリーフが現状西武投手の最大の強みと言っていいでしょう。グレード45~55に増田・平良・森脇ら主力リリーフが6人と十分な数が揃っており、次期主力リリーフやロング要員として成長が期待できる若手の田村・伊藤が次点のグレード40にいます。そして、目立つ活躍は少ないが欠かすことのできない小川・佐野の両左腕もグレード40に控え、ソフトバンク程の圧倒的物量&質量とまではならないものの、非常にバランスの取れた構成となっていると言えます。 

・弱み

リリーフが強みならば弱みは先発と見ることができるでしょう。先発の中心を担っているのは髙橋光成1人のみで、ほぼ1本柱状態。高橋もグレードは55で、投手力がある程度ある球団、2番手・3番手でもおかしくないレベルのため、チームの上限値としては少し低いと見ることもできるでしょう。しかしそれ以上に問題なのは、高橋に続く先発が、グレード50を飛ばして45以下となり、決定的に先発の層が薄く、力も弱いという点が問題です。ニールはグレード50でもよかったかもしれませんが、現状先発は下位球団のそれと同等な布陣となっています。

今後グレード45~40で今井や松本、浜屋ら若手がグレードを上げ、今季覚醒の兆しを見せた髙橋が飛躍を果たせば、先発の弱さも解消され、高い投手力を誇るチームとなるでしょう。

野手

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・強み

野手の強みは主力の若さと言えます。グレード55~60に山川・森・源田・外崎と他球団の主力に比べて、まだまだ若いメンツが揃っています。彼らのFAまでは盤石の主力を保持することができ、チームの軸が固まっている状態を維持することができます。

…と言っても、上記4人ではあと1年といくらかで外崎が国内FA権を取得する見込みのため、4人全員を確実に維持できる保証があるのは2年くらいになると思われ、主力が揃った現体制が崩れる可能性もあります。

また、グレード55に栗山・中村のベテラン両名が控えていることも強みの一つと言えるでしょうか。経験と実力のあるベテランがある程度の成績を残し続けて、レギュラーとして君臨していることは、数字以上のものがあると思います。

・弱み

盤石のコアを揃え、昔から野手育成に定評があると言われているのが西武ですが、近年控え野手の薄さを指摘されてきました。しかし、控えと言っても熊代のような守備を武器とする選手や、打力あるメヒアもおり、使える選手が全くいないわけではありません。では、実際に西武野手の何が「控えが薄い」としているのでしょうか。

それは上図にあるグレード45の選手の少なさが1つ挙げられると考えています。プラトーン起用される野手や40よりも優れた控えがこのグレードにあたり、現状西武は木村・メヒア・岡田の3人のみとなっています。本来木村はプラトーン起用されるべき選手ですが、プラトーンで起用するもう片方が現状いないため、スタメンで使い続けざるを得ない状態になっています。また、シーズンや短期決戦で調子を大きく崩したレギュラーがいた時に、変わって起用できるレベルの選手というのもこのグレード45から上の選手だと私は思っており、その点においても西武は主力の代替可能に値するレベルが少なく、スタメン固定せざるを得ない野手運用になっていると言えます。

主力のFAまでにグレード30~40の若手野手が最低でも2人、グレード45以上に上がってくることが弱みを解消する鍵の1つになると考えられます。要は控えのレベルが低いということです。

また、強みとして挙げたベテランの存在は裏を返せば弱みにもなります。昨年山川の不調をカバーした中村、今季の低調な打線を牽引した栗山。彼ら2人がいなかったら、どうなっていたでしょうか?


現状を考慮した弱みの打開策や個人的展望など

ここまで、20−80スケールの図から投打で強み弱みを洗い出しました。最後は現状から考える、来シーズンにむけた短期的打開策や、長期的な方針を個人的展望を交えて綴っていきます。

・短期的打開策

まずは来る来シーズンを見た短期的な弱みの打開策です。前述で挙げた弱みで、来シーズンを見据えた時に、早急に解決が必要&可能だと考えらるのは野手の弱みで挙げたプラトーン起用&控え層の薄さでしょうか。

今季怪我で途中離脱も、ブレイクの兆しを見せた鈴木将平は来年は木村と併用を勘案しても十分な選手と言えます。活躍によってはグレードも45、50と上位階層へステップアップする可能性もあります。

また、トレードでの野手獲得や自由契約選手からの獲得も短期的な解決に向けては現実的な手段となります。例えば、自由契約選手でしたら元楽天のブラッシュも秋山離脱によって空いた外野や栗山・森を絡めたDHの幅を増やすことにもつながっていきます。

投手の弱みで挙げた先発の強化ですが、期待する対象がもっぱら若手のため、こちらは短期的な打開策としては現実性に欠けると思います。また、外国人補強という手段もなくはないのですが、来シーズンからいきなりローテ中心核になる投手を連れてくるとなると、それ相応の金額が必要になり、元々の球団の性質やコロナ禍での減収を考えたら現実的ではありません。

投手補強と言えば、日ハムから金銭トレードで吉川光夫を獲得しましたが、彼はグレードで言えば40、良くて45といったところで小川の手術や佐野の故障具合を考慮したマイナスの穴埋め補強と考えるのが妥当と思われます。

・長期的打開策

続いては長期的視点に立った時の打開策です。そのためにはまず、西武が数年後のどういうチームになっているか定義することが必要かと思いますので、私の考える数年後のチーム像ではありますが、定義させてもらいます。

これまで西武は「山賊打線」と呼ばれるだけあって、野手型のチームでした。しかし、その野手型のチームはスター野手とレギュラークラスの高い野手の総合的な能力で押し切るチームであり、短期決戦では大きく脆さを露呈していました。また、投手力はリーグ最下位レベルで大きく他球団と差をつけられてきました。しかし、山賊打線を支えたトップスター秋山・浅村両名が2年間で完全に抜け、今季は新たに、平良や森脇、田村といった若いリリーバーの台頭や髙橋・松本・今井といった期待のかかる若手先発の存在が目立ちました。

そこから考え、西武は今後野手型のチームから少しベクトルをバランス型のチームになるように修正し、短期長期共に勝てるチームが数年後のチーム像として定義します。

バランス型のチームを目指すために長期的に打開すべき点は以下3つになります。

①先発投手の育成&獲得
②NEXT主力の育成&発掘
③現主力の残留

①先発投手の育成&獲得
こちらは前述の短期的打開策としては現実的でなかった部分になります。主に松本・今井・浜屋の育成と、対外チームからの投手の獲得になりバランス型のチームへ向け、投手力底上げを狙います。ポテンシャルとしては申し分ない3名の実力を押し上げます。そのためには手本となる投手や、彼らが育つための土壌を整えることも重要になり、対外チーム(国内外問わず)から投手を獲得することが必要不可欠だと思います。

②NEXT主力野手の育成&発掘
野手の強みのところで主力野手4人を最低2年はフルで保持でき、活躍衰えぬベテラン2人がいることを挙げましたが、逆に彼ら以降の主力は現在全く不透明です。そして弱みでは控えのレベルの低さを指摘しました。つまり、バランス型のチームを目指す近未来に主戦力となる野手の検討がほとんどついていない状態となります。

今時点で次期主力の可能性が高いのは鈴木将平のみですが、彼は走攻守にハイレベルな現在の源田や外崎らと同格まで成長する可能性があります。しかし、それ以外はほとんど後釜となるような若手の存在はありません。山田や愛斗、川越あたりはそろそろ鈴木並みの兆しを見せても良いのですが、それもないため育成と発掘によって未来の主力を揃える必要があります。でなければバランス型のチームを長期的に成り立たせることは不可能だと思います。

育成では前述の3名に加え川野や綱島、西川をはじめ佐藤や高木などが3年以内を目処に(佐藤に関しては来年でもはやくはない)に出てくることで現在の主力の控えや現ベテランの後釜として課題解決の一端を担うと考えています。

発掘においては、今年のドラフトで野手偏重の指名をしたことが解決への足がかりとなって、育成と合わせて次期主戦力の検討をつけることができるでしょう。

③現主力の残留
これは西武にとってはいつの時も課題なのかもしれませんが、向こう5年はより重要な課題として立ちはだかると思われます。おそらく現在の主力は長くても5年以内に4人全員が国内FA権を取得するため、戦力の維持という点で残留が必須となります。また、シーズンや短期決戦で勝っていくためにはバランス型のチームにするだけでなく、ソフトバンク柳田悠岐のようなトップスターの存在も欠かせないと思います。事実野手特化のチームだった2018年、2019年にも浅村・秋山とグレード70くらいのトップスターが揃っていました。

最低でも森・山川両名プラス1名、願わくば全員残留してもらった上で山川か森にもう1段階上のレベルの選手へと成長してもらうことが②と合わせて野手力の維持・向上へ長期的につながっていくと思っています。

上記3つのポイントで策を講じていくことでバランス型のチームとして2018年、2019年のような連覇、そして日本一が可能なチームになっていくのではないでしょうか。


いかがでしたでしょうか。後半、図から考えられる現状から策を挙げてみましたが、結局どこの球団でも通用するような当たり前のものしか出なかったような気がします。他のデータなどを組み合わせて考えることで、今回のものよりさらに精度と確度の高い分析ができると思います。誰かやってください。

長い目で見たときに、ほぼ確実に選手流出の有無が課題に絡んでくるため、黄金期と呼べるような長期的に強いチームは難しいかもしれません。短いスパンで低迷と上昇を繰り返し、上昇のグラフが頂点にくるところで資本を注ぎ込み選手獲得し、日本一を目指すのが現実的かと思いました。

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