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組織の「秘伝のタレ」にならないように

最近の日記から、自分が特に残しておきたい話をメモしておきます。最近何度か同じ話をする機会があったのですが「組織がなかなか変わらないのは、投入された新しい価値観のはずの人がどんどん組織に同化して『秘伝のタレ』が再生産されていくから」ではないかという話です。もちろん秘伝のタレにも良し悪しがあると思うのですが、ここでは「内向きで変化を嫌う組織」という意味です。

古くて大きな組織が保守的になってしまうのは自然なことですが、新しく来たマネジャーやメンバーが「メンバーと信頼関係を作って俺が不満をなくそう」あるいは「睨まれたら怖いから早く馴染もう」といった対人関係を仕事の「ゴール」にしてしまうと(仮に短期のつもりだったとしても)知らない間に自分自身が組織の見守り役みたいになってしまうことがありますね。そして1~2年経って後からやってきた人から「ここはおかしくないですか」とか聞かれて「お前は組織の歴史をわかってない」という感覚になっている時点で、既に自分が秘伝のタレになりかけていませんかと。

また、保守的な組織は異分子を拒絶して叩いて、牙を抜いてから「それでええんや」と優しく受け入れることもありますね(前にも書きました)。この場合も牙を抜かれた異分子はそこから秘伝のタレになっていってしまうのでしょう。

ではどうやったら自分が「秘伝のタレ」にならずに外から持ってきた価値観を活かせるのかですが、組織が大きくなればなるほど難しくなりますね。自分の経験を通したイメージは「人間関係作りをマネジメントのゴールにしないこと」と、「対外的なアウトプットを念頭に、実務を通した対話をメンバーとし続けること」、「顧客側とのコミュニケーションを取り続けて自分達のサービスに対する客観的評価を把握し続けること」、「小さく変えられることから変えていくこと」等かなと思います。
ただ一歩間違えればただの傍観者(批判者)にもなってしまいかねず、組織の当事者であり続けながら、メンバーを掌握してかつ行動変化を促していくって至難の業だと思います。特に、難しい組織ではマネジメント層が同床異夢だったりするのでこれまた難しいと。一つ追加するとすれば、少なくとも過去にやってきたことがベストエフォートだったという前提で、常に「過去の否定」ではなく「今からこうしよう」ということを話し合ってアクションしていくことかなと思います。

自分ができているとは思わないものの、頼られる場面で逃げないこととか、行き場のない仕事を積極的に受けて解決しまくるようなことを繰り返しているうちにだんだん信頼が蓄積されて影響力が広がってくる(けれど人の顔色はそんなに伺わなくて良い)ような感覚はあります。自分が組織変革を語るなんておこがましいのですが、「人」を変えることを目的とするのではなく、社外の関係者に喜ばれるように自分達の「アウトプット」を変えていくこと、その為にアクションと細かい対話を繰り返していくこと、そんな感じでしょうか。

ちなみに、これまで転勤でいくつもの組織で働いてきたのですが、同じ組織で3〜4年も働いていると自分で「組織に対する根拠のない拒否権を持ち始めてしまったなんかメンバーに気を遣わせてしまっている」と感じる時があり、そんな時「自分は組織の重しになりかけていて、もう出ていくべき時なのかもしれないな」といつもいつも思います(そして幸い、自分が作った秘伝のタレを守るような気持ちになってしまう前には転勤してきました)。顧客志向のつもりの自分自身が知らないうちに新しい「秘伝のタレ」になっていることもあるのだろうと思うと、きっと「保守的な人とか組織」って特定の個人や組織の資質ではなく、組織メンバーの属性のバラツキ具合とか人材流動性とか、そういう客観的な要素で説明できる(そして解決できる)ことなのかもしれないなとも思います。(本文ここまで)

※本の紹介

→ある人が研修や上司との対話で「改善目標」を立てても実際にはそれを守らない行動(=阻害行動)をしてしまう時、実際に取っている行動には「裏の目標(何かを守りたいということ)」とその背景にある「強力な固定観念」があるのでその固定観念と向き合う必要があるという話。
例えば「常にオーバーワークをしていないと自分が周囲から重要と見なされない」という固定観念があれば、いくら権限委譲を誓ったとしてもその人は仕事を抱え込む働き方を変えられない等。「変われない行動の目的と背景にある固定観念は何か」はすごく大事な視点やと思いました。自分自身への内省にもきっと有効ですね。(17.10.9)

※引用は以下。

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