『ロクでもないステキなblog』 ― 今年何聴いたのよ 2022 (ジュンヤ)
皆さん、あけましておめでとうございます。お正月はいかがお過ごしでしょうか。気付けば2022年もあっという間に終わってしまいました…。ちょっぴり過ぎてしまいましたが、「今年何聴いたのよ 2022」ということで、2022年に聴いた思い出の曲、アルバムについてロクステ員それぞれ思い思いに書いていきたいと思います。というわけで初回の今回は、幹事長の私じゅんやが今年よく聴いたアルバムの中から迷いに迷ってどうにか選んだ9枚を紹介します。
1. Charles Stepney / 『Step on Step』
まず1枚目は、個人的には文句なしで今年のベストアルバム から。Charles Stepneyは、Earth, Wind & Fireをはじめとする60~70’sのソウルミュージックアーティストの楽曲プロデューサーやアレンジャーとして活躍したミュージシャンです。このアルバムは今年になって発表されたおそらく未発表音源(?)で、ほぼ全曲が60~70年代に彼の自宅のスタジオでレコーディングされたものだそうですが・・・。これまた、無駄も余計な主張も一切なく、シンセサイザーの音色と共にスタジオの空気感すら伝わってくるような、音楽の美しさを溢れんばかりに詰め込んだ至高の1枚なのです。晴れの日も雨の日も、楽しいときも憂鬱なときも、どんな時、どんな気分、どんなシチュエーションにも合う、至極のアルバム、聴かなきゃ損!
2. Donald Byrd / 『Places & Spaces』
続いても同時期に活躍したトランペッター、Donald Byrdより『Places & Spaces』(1975)。
60年代後半から、ジャズと他ジャンルの融合をはかって実験的な作品を多くリリースしていた彼の、その試みが最も成功した作品のうちの一つがこのアルバムと言っていいと思います。R&B・ファンクやフュージョンっぽさ、またゴスペル色の強いコーラスなど、年代を感じさせない曲ばかりの名盤です。彼を中心に結成された「BlackByrds」の楽曲も要チェック!
3. Ronnie Laws / 『Friends and Strangers』
こちらも70年代から活躍したサックス奏者、Ronnie Lawsの77年の3枚目のアルバム。彼は他の兄妹三人もミュージシャンという音楽一家に生まれ、Earth, Wind & Fireのサックスも担当するなど名サクソフォニストでありながら、エレクトロサウンドなども積極的に取り入れたソロ名義ジャズアルバムを数多くリリースしています。その中でも今作は、ジャンルレスでアップテンポなサウンドと彼のサックススキルが融合した名盤。表題曲である「Friends and Strangers」と「Life in Paradise」は必聴です。
最初の3枚の系統からして好みがバレバレですね…。
4. EPO / 『POP TRACKS』
お次は今年一番聴いたLP、EPOから『POP TRACKS』。彼女の他のアルバムとは少し異なり、この作品はオリジナル4曲、山下達郎や大貫妙子、ユーミンなどのカバー6曲を織り交ぜた構成になっていて、らしさ全開のオリジナルはもちろん、カバーも名曲たちを完全に自分のものにしつつ、オリジナルへのリスペクトも感じられる、タイトル通りのポップな仕上がり。バンドメンバーも豪華で、オリジナル曲の『夢見ちゃいなタウン』はギター大村憲司、ドラム高橋幸宏、ベース小原礼、キーボード佐藤博という胸アツ編成・・・(泣) このアルバムはサブスク解禁されていないのがつくづく惜しい…。機会があれば是非聴いてみてほしい1枚。
5. Loyle Carner / 『hugo』
ここまで2022とは思えないチョイスだったのでここらで今年リリースのアルバムから1枚。ロイル・カーナーより『hugo』。ロイル・カーナーはもう毎アルバム最高なわけですが、今作もスケールアップして更にシックなヒップホップでうっとりさせてくれます。個人的には『Homerton』から『Blood On My Nikes』、『A Lasting Place』、『Polyfilla』辺りの中盤から後半にかけての、彼らしいしっとりめで無駄のないビートで聴かせるラップが好み。
6. Arlo Parks / 『Collapsed in Sunbeams』
続いては、昨年発表のこのこのデビューアルバムをひっさげフジロック2022にやってきてくれたArlo Parks。陽の落ちた苗場で、太陽のように眩しい光に満ちたステージでの彼女とバンドのパフォーマンスは、アルバム1枚からとは思えないボリュームと、生身でしか感じることの出来ない、信じられないほどの温もりに満ちていました。1時間弱のステージにもかかわらず今年一のライブと言っても過言ではないくらい、我を忘れて鳥肌立ちっぱなしで踊った、最高の時間でした…。またライブを観るときが待ち切れません。
7. Cleo Sol / 『Mother』
イギリス出身のシンガーソングライター、Cleo Solの2枚目となるスタジオアルバム。アルバム名やジャケットから分かる通り母親となってから制作されたこの作品は、母親としての苦悩などを繊細に、温かみのあるサウンドと合わせて唄っていて、彼女の人間らしさも垣間見える名作。最近ものすごい頻度でアルバムをリリースしている「Sault」のメンバーなのでは、なんて噂も出ていますがそちらもオススメです。
8. 折坂悠太 / 『平成』
『心理』じゃないのかよ、とお思いでしょうが(というか『たむけ』も含めて全て沢山聴いたしどれも甲乙つけがたい)、「さびしさ」が個人的に一番心に残っているのでこのアルバムにしました。2021年キャンセルだったことへの思いもあったのだろうと感じましたが、フジロック2022の彼のステージ、気合いが違いましたね・・・。私も周りで見ていた人たちも号泣しっぱなしでした。見る度にライブのクオリティが上がっているし、今の重奏バンドがすごく好きなのでずっと続けてほしい…。
9. Alfa Mist / 『Antiphon』
締めは年末にたくさん聴いたこのアルバム。耳に優しく、エレガントという言葉がぴったりでいつ聴いても気持ちよくなれる最高のアルバム。先に挙げたLoyle Carnerとも共演しているJordan Rakeiもこのアルバムに参加していて、ネオソウルのエッセンスも加わってちょっぴりムーディーな感じ。他のアルバムとはちょっと毛色が異なっていて、でもどっちも良い!!
という感じで2022年によく聴いた9枚のアルバムを振り返ってみましたが、Loyle Carner、Arlo Parks、Cleo Sol、Alfa Mistと、ジャンル問わず最近のUK音楽シーン大好き人間なのかも…。そして今年こそは新譜も追いつつ、きちんとジャンルなど系統立てて聴いて、留学先で色んなアーティストのライブを観られたら、と思ってます。
また今年はロクステもたくさん企画を打てると思うので、そこで皆さんと会えることを楽しみにしています!
それでは、皆さんにとって2023年が充実した年でありますように。