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r >g / 1時間の価値をどう測る? 労働単価で考える消費行動
このお題について、はじめに
事例
すこし昔の話題ですが、「SUPER FRIDAY(ソフトバンク発行)」があったことをご存じでしょうか? 毎週金曜日に牛丼やドーナツが無料になるクーポンを配布したこのイベントは、大行列を生むほどの話題となりました。
無料クーポンをGETし、あとは行列に並ぶだけで手軽に商品がもらえるこの企画。しかし、このようなイベントを巡って「たかが数百円の商品に数時間並ぶのは非効率ではないか?」という議論がしばしば起こってもいました。
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労働単価計算における落とし穴
労働単価を計算する際には、以下の3つの基準がよく使われます。
24時間基準
人生全体の時間の価値を広義に捉える考え方。仕事以外の時間も含むため、時給が低めに見えます。
活動時間基準(睡眠時間を除外)
睡眠を除外し、実際に自由に使える時間を基準に計算します。現実的な「使える時間」の価値を評価するのに適しています。
実労働時間基準
実際の労働時間を基準に、労働に対する金銭的対価を評価します。労働の効率や割に合うかを分析する際に有用です。
これによって計算が大きく変わってしまうので、この定義をしっかりしなければなりません。損益分岐点のギャップがかなり発生するので正しい判断にならないということであり、これが本note でお伝えしたい内容となります。
定義:日本人の平均給与所得 436万円
考察を進めるために暫定的な給与を定義します。
2023年の民間給与実態統計調査によると、日本の民間企業で働く人の平均年収は約436万円です。ただし、この数字は企業規模や業種、地域、年齢、性別などによって大きく異なります。
また、正社員とパート・アルバイトなどの非正規雇用者では大きな給与格差があり、非正規雇用者の平均年収は200万円程度となっています。
ここでは一旦 正社員の 436万円を 基準にします。
年収436万円の手取額 → 約305万円
概算計算(2025年1月現在)
所得税:年収の約5〜15%(累進課税率を適用)
住民税:年収の約10%
社会保険料:年収の約15%
これを合計すると、税金・保険料で約30%(目安)が差し引かれ手取り額は約70%と仮定しておきます。
4,360,000×0.7=3,052,000円
手取り額:約305万円
稼働コストの計算
それでは3つの軸からそれぞれ計算していきます。
①24時間基準 348円
手取 305 万円 ÷(365日 × 24時間)
②睡眠時間 8時間 を除外 523円
手取 305 万円 ÷ (365日 × (24時間 - 睡眠時間))
③実労働時間で換算 1,045円
手取 305 万円 ÷ 実際の年間労働時間(8時間を代入)
※24時間働き続けることは基本的に出来ないので、②か③しか判断材料はないと思います。
判断と考察
活動時間基準 523円/時間
牛丼1杯(約400円)が無料になる場合、稼働コストはトントン。
実労働基準 1,045円/時間
例えば残業や副業で稼ぐ方が効率的。
一方で、年収が高いほど時給換算額も上昇するため、無料クーポンに対する恩恵は相対的に小さくなります。
補足:年収600万の目安
手取りベース計算
活動時間基準 784円
実労働基準 1,567円
まとめ(伝えたい事)
単純なコスト比較だけではない本質
無料クーポンを利用する行為そのものは短期的な満足を得られますが、それが長期的な生産性向上につながるわけではありません。むしろ、与えられるものに依存する姿勢を助長し、自己の生産性や価値を高める機会を見失うリスクがあります。
生産性を改善・拡大から目を背ける行為であること
つまり、『社会活動をせずに果実だけもらう』という事がこの行動の本質であるため、生産する行為が完全に頭から抜け落ちているのです。そのためこのようなバラマキというのは『考えられない人間』が増えるという影響を少なからず及ぼしていると、私は考えるものです。
※ただし、無料クーポンは、企業が消費者との関係を深めるためのマーケティング戦略の一環でもあり、クーポンを使う行為は、企業が設定した「プロモーション」に参加していることを意味し、結果的に消費行動やブランドの認知向上に貢献していることも否めないのでこれも一種の「社会活動」と捉えることはできます。
稼働コストの計算は「時間の価値」を知る上で有用です。しかし、目先の無料や効率に囚われず、長期的な視点で生産性を向上させることが重要です。時間をどのように使うべきかを考え、より本質的な行動を選ぶことが大切です。
筆者紹介
経歴 2025年現在
F&M M16 代表
個人投資家
(株)GLASS マーケティングプランナー
WEB系シニアコンサルタント・ディレクターとして19年以上、プランニング・セールスで13年以上、コンサルタントとして7年以上の経験を有する。対応事業領域はデジタルマーケティング全般(分析、広告、コンテンツ制作、デザイン)、ライティング、ビジネスインテリジェンスなど。対応案件は、プライム市場上場企業(銀行業、投資金融業、ITインフラ業、製造業、飲食業、教育業、イベント業、公共施設など)を含み、営業領域からバックエンドまで多職種を経験。2025年現在、WEB系シニアコンサルタントとして7年目を迎える。広告代理事業では年間1億2000万円規模の運用を3年間担当。個人としても上場企業から案件を受けるほか、個人投資家としても活動しており、金融庁登録事業者からのインタビューも受けるなど、幅広い分野で活躍中。デジタルマーケティング・金融関連のご相談はDMにてお問合せください。
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