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天彩峰里は宝塚の斎藤知事となるか

兵庫県議会から全会一致の不信任決議を受け失職した、斎藤元彦前知事が出直し選で返り咲いた。

パワハラが告発され、事実無根と否定し、告発者は自殺と思われる亡くなり方。宝塚の転落死事件と酷似した点が多く「芹香斗亜がいれば手厚く優遇してもらえたのでは?」と思わずにはいられない。

とはいえ宙組公演『宝塚110年の恋のうた』『Razzle Dazzle』の退団者が発表され、ヘアアイロン事件で叩かれた天彩峰里は残ることが分かっている。


そこにパワハラなどが叩かれた知事が再選。

疑惑への対応はこれからだが、職員が一緒に働けないと訴えたのは事実である。当選させ強制的に受け入れさせる、有権者はパワーなのだ。兵庫県民から職員へ、投票を使ったパワハラといっていいだろう。

選挙というシステムの穴ではあるが、合法的パワハラを認めたようなものだ。もう兵庫県は宝塚歌劇団のパワハラについて何もいえない。


勝因にSNSというツールが注目されがちだが、その中身は同情論と陰謀論が目立ったらしい。宙組も参考にすべき(だった)点は多い。

何事も無かったように振る舞うのは、全組で即止めるべきだった。異様な光景で週刊誌が「おかしい劇団」と扱き下ろす説得力、普段から「客に見せてるのは嘘なんだ」という虚しさを増した。

後悔でも反論でもいいから本音で語り、負の感情を吐き出す機会があれば同情論も集まっただろう。


劇団側は一周忌前という喪中公演で

・故人の行動を辿るジャンヌを数十年ぶりに出した雪組『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-

・額に傷を付けられた側が付けた相手に感謝する星組『記憶にございません!』-トップ・シークレット-


つまり宝塚歌劇団は故人に対し

良くなったのだから「上級生のおかげで変われました」と感謝するべきなのに、「こんな火傷付けられた!」と騒いで引っ掻き回した悪役……陰謀論アピールはしている。


しかし兵庫県知事選での、立花孝志ほど効果は無さそうだ。原作を盾にする逃げのせいか、決め手に欠けている。

故人側がリークしていないと成り立たない記事や合意書の内容。不自然に省かれた週刊誌記事の存在。掲載出来そうな状況になってから、下準備~掲載まで迷いの無いスピード感。

現理事長もどうせ悪者になるならせめて響くような、中身のある失言をして欲しかった。



天彩峰里が売上を背負う立場になるかというと微妙だが、宝塚で選挙に勝つ=チケットの売れ行きしかない。宝塚歌劇公式リセールサービスが開始すれば、完全完売のハードルは上がるだろう。

コロナが終わり喪も明け、やっと本当の平時がくる。それは純粋な集客力が明らかにされることでもある。


その場合、やはり参考にするなら礼真琴……というかこうなるならキキじゅりで参考にして欲しかった。

日本武道館コンサートの売れ行きが好調らしい礼真琴も、トップスター就任直前に週刊文春にプライベート流出が報じられた。宙組の転落死事件までは『1789 -バスティーユの恋人たち-』中断中止等最もターゲットにされていたように思う。

早々に「夢を見せる」路線からは降り、ドライに技術力アピールで通していた。


そのせいか文春砲後、オリジナルが決まることはほぼ無かった。『めぐり会いは再び』シリーズさえ(弁護士になれるかで謎に日本中が騒いでいた)小室圭さんを元ネタにしている。

宝塚で歴史オリジナルなんてド定番なのに『ディミトリ』でわざわざドマイナー原作を引っ張ってきた。

宙組のようにIwatani(暁千星)とヒガシマル醤油(詩ちづる)が揃った後は、知名度縛りがありそうとはいえ。礼真琴自身を描く当て書きスタイルは避け、原作という建前は常に用意していた。

そう考えると『Razzle Dazzle』は天彩峰里過ぎて、若干気まずい予感がしている。


ただ「歌売り」は有利だ。

席ガチャのダンス、脚本による芝居、禁句になってきたビジュアルに対し、歌が上手いのは作品や座席を選ばず言及もしやすい。

95期人気により、同期と並んでいれば「宝塚ならでは」もクリアしていた。

天彩峰里の歌唱力はいうまでもなく、宙組に残っていないのが難点だが100期も人気がある。


102期の舞空瞳と天飛華音は予科本科が故人、同期が遺族となった転落死事件の直後に主演公演を強行。事件の隠蔽や矮小化を後押しした。

「使える相手だけが仲間で邪魔なら切り捨てる」ビジネス思考な102期103期の関係は、同期や予科本科の絆というファンの夢を壊した。


その点あれほど叩かれた96期を可愛がり、良い関係性を築いたことは95期人気を加速させたのだ。特にトップスターになった男役は、全員96期がトップ娘役の組にいた。


最も2桁に近い3桁の100期が、どちらに寄るかは微妙である。

また天彩峰里は同期内ヒエラルキーが高いはずだ。故人や遺族、95期からしたら下級生の96期とは違う。リスクを負ってまで「助ける」ではなく「すり寄る」になってしまう。

だからこそ配属の星組でなく、風間柚乃がいる月組に移動させようとしたのだろう。


宙組退団者が発表されたとき、批判しながらも「これで売れなくても天彩峰里のせいにできる」とホッとした様子のファンが目立った。

しかしそんな扱いのために残す劇団や組を本当に応援出来るか?心から「残ってくれて良かった」となることこそ、望むべきである。

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