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礼真琴を継ぐ者「栄光の日々を今度こそ」

甘えも妥協も一切無い、礼真琴日本武道館コンサート『ANTHEM-アンセム-』が行われた。

枷を取り払ったプロフェッショナルコンサートだ。


コロナ禍以降、初めて「一点の曇りもない」晴れのイベント。連日数えきれないほどのタカラジェンヌが押し寄せ、今までの憂さを晴らすように開演前から大盛り上がり。

丸潰れの110周年を中心に、地獄の5年間を見事に埋め合わせた。


礼真琴はトップ就任確定時から文春砲をくらい、コロナ禍、そして事件まで。今考えると、先んじて「崩壊した夢の世界」に適応していたといえる。

襲い掛かった現実に対抗できる唯一無二の歌声で、実質ワンマンライブを期待され応えてきた。


そんなトップスターとしての礼真琴を象徴する、まさしく集大成。

宝塚歌劇団ライブ公演では定番の、役を振り返るシーンまでも1つの曲として詰めに詰め。短いMC以外は、ノンストップで息をつく暇もない。

本物のコンサートだった。



一方で2番手3番手ポジションでの暁千星と天飛華音は、礼真琴不在時の代わりであった。


暁千星にはバスケ部っぽい場面があり、リアル「ハイスクール・ミュージカル」な美園さくらとの月組時代を思い出す。

いかにも宝塚!なときめきを振り撒きまくり、トップスターへの期待が膨らんだ。


ただ持ち役以外は少なからず、礼真琴を彷彿とさせるための場面であった。

礼真琴が出てくるまで、礼真琴っぽい存在として繋ぐ。するとまるでずっと礼真琴が出ているように感じられたのだ。


唯一無二をアピールしながら、ジェネリック礼真琴を量産するのは矛盾にも思える。

とはいえ組替え早々ポスター入りの暁千星は、月組の時点でもうトップ確定とされていた。

首席ベビーフェイスのアスリート家系で、言ってしまえば月組の礼真琴。

天飛華音に関しては元々、礼真琴のコピーとして頭角を現している。

むしろ星組でジェネリック礼真琴を担ってきた2人がいたからこそ、礼真琴の唯一無二さを痛感したのかもしれない。



暁千星の組替え当初は、コロナ禍の大混乱期。急な公演中止が多発し、不安定な状態であった。

コロナ初期と違いファンも冷静さを取り戻し、劇団側の対応や私設FCが問題視されるようになってきていた。

事件の前兆となる週刊誌へのリークも増え、ギスギスしていた時期でもある。

夢の世界に浸れるような雰囲気ではなかった。


次期トップスター感満載で暁千星の組替えが発表された時、あれほどの事件が起こるなんて想像もしていなかった。しかし当時からすでに、礼真琴時代が「こんなはずでは」で終わる諦めはあった。

つまり暗黒時代に巻き込まれた礼真琴のリベンジを、ジェネリック礼真琴である暁千星が果たすのだ。



リベンジでまず浮かぶのは、大量の公演中止、中断、週刊誌の槍玉に……負のフルコンボだった星組公演 『1789 -バスティーユの恋人たち-』である。

悪いことが起こり過ぎたせいか、暁千星の演目というイメージも微動だにしなかった。

多数同じメンバーでの再演、それも好評だった代役も再現となれば、悲劇も和らぐだろう。


抜群の透明感を発揮していた小桜ほのかも、専科へ異動が発表されている。

ふんわりお嬢様が強面刑事達を振り回す『富豪刑事(ドラマ版)』を、錚々たる顔ぶれの専科公演で見てみたいが。

やはりまずは持ち味、実力、そして立場も最適となるマリー・アントワネット。



ここまで状況が整っている以上、1789はなんとしてもリベンジして欲しい。

そしてその後は、暁千星としての「唯一無二」を期待している。

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