見出し画像

教育と音楽の関係性〜歌唱指導の大切さ


おはようございます!
こんにちは!
こんばんは!

今日はいつもと違って真面目なお話をしたいと思います・・・
(いつもも至って真面目に話しているけど)


現在、日本だけではなく世界中で問題となっている新型コロナウイルス感染症。
問題は教育の場にまで浸透し、現場はもちろん、文部科学省も対応に追われています・・・

本来であれば、2020年度(今年度)から小学校・2021年度から中学校・2022年から高等学校で、新学習指導要領が実施されるはずだったが
今、ランドセルを背負い、または、制服に身を纏い学校へ登校する児童生徒は全国で何%いるのだろうか・・・


そこで文科省が提言した新型コロナウイルス感染症に対する公教育現場の対応として気になる問いを見つけた。

問34   学校再開ガイドラインに示す感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い各教 科等の一部の実技指導とその対応としてどのようなものがあるか。

この問いに対して、文科省は

各教科等の指導においても、学校再開ガイドラインに示す感染症対策を講じることが重要ですが、感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い活動とその対応としては、
例えば、
音楽科において、狭い空間や密閉状態での歌唱指導や身体の接触を伴う活動について、年間指導計画の中で指導の順序を変更することや、歌う際にはできる限り一人一人の間隔を空け、人がいる方向に口が向かないようにすること

(音楽科以外にも家庭科・保健体育科などが例としてあげられている。)

と回答している。

(文部科学省 新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&Aの送付について(4月23日時点)https://www.mext.go.jp/content/20200423-mxt_kouhou01-000004520_7.pdf)


音楽室の換気をこまめに行うことは理解ができる。

新年度が始まってまず、新入生が音楽の授業でやることといえば「校歌」を歌い、覚えることではないだろうか。


これは単に学校の歌だから覚えなさい。というわけではない。


学校の「伝統」を知り、その伝統の一部に自分たちもこれからなっていくこと。そして、伝統の発展と継承を自分たちもしていくこと。
・・・つまりは、「学校」という一つの社会の中にある重要な要素の一部に触れる。「特別な教科 道徳」(小・中学校)でもあり、「総合的な学習の時間」(小・中学校)「総合的な探求の時間」(高等学校)、そして「特別活動」の要素も含んでいる大切な最初の取り組みである。


しかし、「飛沫感染」のリスクを考えると(なるべく避けたいが)年間指導計画の中での順序の変更もやむを得ないことだろう。

また、一人一人の間隔を空けるのも「ソーシャルディスタンス」を守る上では致し方ないことだ。

人がいる方向に口を向けない・・・とは?

お互いの声を聞き合うことで「違い」を発見し、認め合い、受容していく・・・情操教育である音楽科の第一歩である歌唱領域で「人がいる方向に口を向けないようにする」となると一人カラオケとなんら変わりがないではないだろうか?


また、このような記事も見つけた。

新型コロナウイルスの影響で臨時休校が長期化する中、文部科学省は学校再開に向けて、感染防止対策を盛り込んだガイドラインを1日、全国に通知。
(中略)
感染防止の観点から、調理実習や合唱、運動など感染の可能性が高い学習は当分行わないことや・・・(略)・・・などを盛り込んでいます。

(日テレNEWS24   2020年5月1日13:59発表 https://www.news24.jp/articles/2020/05/01/07635670.html )


合唱の授業を行わないとなると、歌唱領域の授業は一体どうなるのだろうか。

「合唱」と言われれば、多くの人想像するのは学内で行った「合唱コンクール」の時の音楽の授業ではないだろうか。ただ、音楽の授業を少しばかり思い出してほしい。

教科書に載っている日本やイタリアなどの歌唱曲(共通教材等)を取り扱うときもみんなで一斉に発声し歌っていたのではないだろうか?

これはただ、同じ旋律をみんなで歌う「斉唱」を行い学んでいるのであって、「斉唱」も「合唱」の仲間である。


・・・ということは、音楽の授業で歌を歌えないということだろうか?

音楽の授業の仕組みとしては、「歌唱」「器楽」「創作」「鑑賞」(中学校)の4つから成り立っている。

また、授業の構成として初めの導入では生徒同士でストレッチや肩を叩き合って身体をほぐしたり、発声で校歌や既習曲を歌う場合が多い。

筆者が教育実習で中学生を対象に実際に授業をした時、鑑賞の授業をするからといって一切歌わずに導入を終わらせ授業に入ったら、「音楽」をやりにきている生徒にとってはとっても不思議であり、メリハリがつきにくいということがわかった。

どの単元を行うにしても、まず最初に歌うことが「音楽を学ぶぞ!」とスイッチの切り替えにつながる。


現在の学校の「音楽」の授業で「歌う」ことは「当たり前のこと」と化しているのではないだろうか。

そこで「歌うこと」が全くできないとなるとどうなるのだろうか。

まず、授業の導入が崩れてしまう。
児童生徒はメリハリをつけにくく、教員を児童生徒のその日の様子を掴むまでに今まで以上に時間がかかるのではないだろうか。

そして、生徒がすでに持ち自由に使える楽器の一つである「歌うこと」は
「歌唱」以外の「器楽」・「創作」・「鑑賞」を行う場合にも簡単に取り入れられるため用いる場合が多い。

それができないとなると、今度は教員が成績をつける際の判断基準が大幅に減ってしまう。
「歌唱」の技術や意欲にとどまらず、授業全体に対する「関心・意欲・態度」を図る際に「歌唱」している姿や口の開き・苦手でも果敢に取り組もうとする姿勢・・・

児童生徒にとっても、また、音楽科の教員にとっても「歌うこと」は「音楽の授業」を形成する上でとても大きな1つの要素である。



約半年前に実習を終え、免許を取得し卒業はしたものの
他の記事にも示している通り、通院治療しているため教壇に立つことや教育現場そのものからは遠ざかっている。
そんな奴が何を言っているんだ!と言われたらそれまでだし、何も言えない。

しかし、ここで述べたことは3週間という大変短い時間ではあるが教壇に立つという経験をさせてもらい、実際に生徒や現場教師の方々から聞いた声や自分で体験したことが元になっている。そして、「音楽教育」を学んできた4年間で学校ボランティアをさせていただいたり、今まで教壇に立っていた大学教授から教えていただいた「現場の声」であるのは確かである。


新型コロナウイルス感染症はきっとそうすぐに終息するものではないだろう。

この臨時休校を逆手にとって世界の多くの国で採用されている「9月始業」を導入するべきだという声も上がっている。(これに関して言及するつもりはないが)


ここで今一度、世界的には珍しく授業として採用され義務教育期間は誰しもが受ける「音楽」の授業の在り方を
新型コロナウイルス感染症と、新学習指導要領導入のタイミングで再検討・再構築してみてはどうだろうか。