画材屋
面接に行ったのだけれど、絶対に答えられない質問をされたり、答えたことに対してスッキリしない顔をされてモヤモヤした。どうして雇用される側は、それだけの理由でいちだん低い位置に置かれるのだろうか。おかしい。おかしい。「常識」にいちいち引っかかっているから、生きづらいのだよと心の中で声がする。うるさい。そんなことは知っているのだ。答えがあれば納得するものでもない。
その後に行った違う職場の面接はフラットに進んだので、持ち直す。数年前に受けた圧迫面接の、あの独特な雰囲気を少しでも醸し出す会社には入らない。涙が出てくる。風が強い。黒いパンプスで踵が痛い。痛い痛い痛い。
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画材屋に入る。昔から売っているようなカラー用紙が売っている。古い物が置いてある店に入ると軽くめまいがする。私は私のzineの作り方の本を作りたいのだった。アッパーな真っ黄色の紙に手を伸ばしたけれど工場を思い出すのも嫌なのでクリーム色という、どこからどう見ても黄色の紙を取ってレジに出す。店内の装飾からして、店主は国粋主義のようだ。もしかしたら思想的には相容れないかもしれないが、今そんなことは関係ない。全体的に古い感じのその店の情報をネットで確認したら、良い評価と悪い評価で極端に分かれていて面白かった。変わっているものを見ると安心するのは、自分が変わっているからだと思う。私は黄色の表紙で、きっと自分にしか理解できないものを作れる。そう思うと勇気が湧いてくる。覚えているものを拾ったり捨てたりして、どうせ最初から合わない靴みたいな世界を生きる。