うれしかなしさびし日記
胸糞の悪いことがあった。後味がめちゃくちゃ悪い。
スーパーの会計レジに並んでいると、立ち止まって財布を取り出している初老の男性がいた。そのすぐ後ろに並んでレジ待ちをしていた。列が動き出した瞬間の出来事。
「並んでいましたよ」と、その男性はくるりと後ろを振り向き、自分に声をかけてきた。その表情と声音から「自分はちゃんと並んでいたからな」と、やや意地の悪さを含んでいることが理解できた。あなたの後ろに普通に並んでいただけで、なぜあなたから、唐突に、小さいといえども確かな悪意を向けられなければいけないのだ。それは受け入れらない。なので私は「え?」と問い直した。すると男性は無視を決め込んだようで、何も言ってこなかった。恐らく、反応されると思っていなかったのだろう。もう一度「え?」と言っても、男性は二度と振り向かなかった。コミュニケーションとやらをあなたからふっかけといて、その態度はないだろ。
知っている。こういう輩は、ガタイの良い男性(つまり自分より強そうな人間、あるいは面倒事になりそうな状況)に対しては、ふっかけるようなことは一切言わないのだ。ターゲットになるのは若者や、大人しそうな女性。
「マジで舐めんな」とその背中に吐き捨てるように呟いた。心からの言葉である。せめて、振り向いて、正々堂々としていなさい。一方的に話しかけてきた、せめてものマナーじゃないのか。
この状況は何かに似ている、、、と思ったらTwitterのクソリプだと思った。しかしここはバーチャルではなくリアリティだ。怒っているけれど同時に悲しくもある。その男性はカバンにヘルプマークをつけていた。もしかしたら、動作がゆっくりなことでレジ列を抜かされたり、嫌な思いを散々してきたのかもしれない。だからといって、衝動的な八つ当たりに近い言動を正当化できない。負の循環しか生まない。本当はここまで言いたかったが、一方的に言われシャッターを閉ざされてしまった。気づいたらいつの間にか私の言葉の威力の方が強くなっている。とても不本意だ。
私の言動は場合によってはシャレにならないトラブルに発展しかねないのかもしれない。でもクソリプごっこの相手なんか引き受けない。生きているのは現実で、放たれた言葉の向こうに人間がいて心がある。巻き込まれて荒んでしまわぬように。しかしこの後味の悪さよ。