【掌編小説】 れいこ
綺麗だねって
言われることは
あるけれど
わたしのことを
かわいい
って
言ってくれるのは
あなただけ
麗子って名前が
昔は好きじゃなかったけど
やっと
違和感なくなってきたかも
褒め言葉は
素直に受け取るように
してるし
ありがとうって思うけど
特に
何の感情もわかない
だいたい
綺麗とか
そうじゃないとか
見る人それぞれの
価値判断であって
絶対的なものではない
他人に
どう思われようが
どうでもいい
ただ
若い頃
生き方が
顔に表れるって
言われたから
その時
妙に納得して
自分の顔
嫌いになる
生き方は
したくないって
思ってた
ただ
それだけ
隙がないって
言われることも
多いし
付き合った人も
それほど
多くはない
1人で
大丈夫って
思われがちだ
だから
あなたに
かわいい
って
言ってもらった時
本当に思ってるって
疑ったりしたけど
それだけ
心を
許せてるって
ことなのかも
確かに
そばに居るだけで
落ち着くし
委ねられる
包容力と
安心感がある
人との
距離を縮めるのに
時間がかかる
わたしにしては
珍しいことだ
あなたの
かわいいね
は
わたしを
幸せにさせる
いつまでも
あなただけの
かわいい
女で
いさせてね
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