見出し画像

【掌編小説】 ろこ

美味しいもの
いっぱい食べて

ゆったりと
温泉に
浸かる


誰にも
邪魔されない
至福のひと時だ

なんて
幸せなんだろう

日常の
嫌なこと
煩わしいことから
解放されて

何も
考えずに
いられるのが
心地いい

はずなのに…

2回目の
露天風呂に
浸かりながら

本当は
彼と
2人で来たかった

って
思ってる

以前は
感じなかった
寂しさに

気づいて
しまうのも
あなたのせいだよ

1人の
気楽さが
気に入って
いたけれど

2人の
楽しさを
知ってしまったから

前と
同じでは
いられない

最近
忙しくて
すれ違いが
多くなり

一緒に
来るはずの
この温泉旅行が

仕事で
行けなくなったことと

溜まっていた
不満が重なり

けんか腰で

1人でも行くからと
飛び出してきた

わかっている

彼は
何も悪くない

けど

初めての
泊まり旅行だったから

すごく
楽しみに
してたんだよ

もう少し
気づかって
ほしかったな

っていうのが
正直な気持ち


彼の
困った顔が
目に浮かぶ


意地悪したい
わけじゃない

もっと
2人の時間を
楽しみたいのに

上手く
伝えられない

自分自身が
もどかしい


離れていると

会いたい気持ちが
増していくから

100パーセント
楽しみきれないよ

明日
目覚めたら

急いで
彼の元へ
帰ろう

温泉で
ピカピカ
ツルツルに
なった
艶肌の
私に

もっと
夢中に
なってね

だって
大好き
なんだから




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?