電車乗り間違え陰謀論

自分の「数」は世間の「数」と比べてどれくらい差があるのだろう。

キスした数、喧嘩した数、職質された数

自分の数は多い方なのか少ないほうなのか。

自分の性格を知るために100問くらいの質問に答える性格診断をした事もあるが、
結局そんなものは「自分が思う自分のイメージ」を言葉にしているに過ぎない。
そりゃあ納得する。自分でそう答えているのだから。

そんな主観的なものに真実はない。
真実を知るには客観的な数字が必要だ。

全国民に今までしてきた事の数を聞く「全国民数調査」を実施し、その数と比較したほうがよっぽど自己について知ることができるだろう。

それでも一つだけ分かっていることは

僕は「電車を間違える数」が世間に比べて絶対に多いということだ。

もう、とにかく電車を間違える。
5回に1回は間違える。

大急ぎで駆け込んだ電車は逆走する。
5分待った電車も目的地を通り過ぎる。

大学時代、いつもより早く乗った電車が各駅ではなく快速だったため駅を通り過ぎて、次の駅で降りてそのままブックオフで立ち読みして『ひぐらしのなく頃に』を全巻買ってそのまま家に帰ったこともある。

電車を間違えて遅刻するという連絡をすると
「なにやってんだよ」
と言われる。

なぜみんな電車を間違えないのだろう。
なぜ僕だけこんなに電車を間違えるのだろう。
注意力が足りないのか、どこか脳に疾患でもあるのか。

考えてみた結果、一つの結論に至った。

「電車は、我々に乗り間違えをさせようとしている。」

考えれば考えるほど、
電車には我々搭乗者を乗り間違えさせるトラップが数多く仕掛けられていることに気づいた。
そして、それがわざとだとしか思えない。
「電車は、我々に乗り間違えをさせようとしている。」
この陰謀論が果たして世迷言か、次のトラップを精査して判断してほしい。

まず急かしすぎ。
電車は3分くらい待たせておきながら、到着後に扉が開いて乗り降りして扉が閉まって発車するまでの時間は10秒程度しかない。
しかも扉が開いたと同時に発車音を流している。
意味不明だ。
発射音は信号で言うところの黄色だ。
電車は青信号のない黄色と赤だけの信号なのだ。
その上、ゾロゾロと降りた人が肉の壁となって立ちはだかることがある。
この肉の壁を越えていかなければ乗ることができない。
そんな短い乗車の隙に正常な判断能力なんてあるわけがない。
不動産屋でこの家にしようか、、と迷っていると、「あと数分で他の人がその家に決めてしまいます」と焦らせて契約させると言う手法がある。
家を選ぶ時ですら人は焦ると判断できないのだ。電車はたくみにその心理を操って、逆方向に乗せているとしか考えられない。
なぜそんなことをする?そう、、
「電車は、我々に乗り間違えをさせようとしている。」

また、どちらに乗るか分かるための手がかりも少ない。
向かい合う二つの線路でどちらに乗るべきか迷った時に一番目立つ手がかりは「○○、○○方面」と書かれている看板だ。
ひとつ目の○○には近場の有名な駅、二つ目の○○は終点の駅を表していることが多い。
しかし、終点とは、そこから先は電車を走らせなくていいと決めたような駅だ。そんな駅知るはずがない。これはもう書いていないのと同じだ。
一方、一つ目の○○は知っていたとしても、近すぎて方向感覚を掴む手がかりにならない。
○○駅そのものに行きたい場合しか使えない。
つまりこの、「○○、○○方面」という看板は、何の手がかりにもならないのに一番目立つところに置くことで我々に混乱を招かせようとしているのだ。
なぜ?そう、、
「電車は、我々に乗り間違えをさせようとしている。」

その看板の代わりに今の駅を起点とした路線図を貼り付けるだけで乗り間違いは減るだろう。
それをしないのは陰謀のために他ならないが、

いやいや、路線図ならホームに書いてるじゃないか、と言う人がいるかもしれない。甘い。
確かに書いているが、まずそれは探さないといけない。路線図を見て目的の駅を見つけるまでに6秒かかるとして、路線図を見つけるまでに10秒かかる。
16秒。
電車がやってきて開いて閉まるのが10秒だというのに、16秒も使ってられない。
それに、電車の線路の奥に路線図があるパターン。
電車が来たら完全に隠れてしまう。
隠れてしまう?否、隠したいのだ。
もうここまできたらお分かりだろう。そう、、
「電車は、我々に乗り間違えをさせようとしている。」

乗ってからも油断大敵だ。
「次は○○駅」と告知する車掌、筆記体で喋っていて言葉が聞き取れない。なぜって?
「電車は、我々に乗り間違えをさせようとしている。」

目が覚めた。
電車は実は敵だったのだ。
今まで味方だと思っていたせいで、まんまと騙されても自分のせいだと思っていた。
何とも情けないことだ。
僕以外の人間はそれにもう気づいていたのかもしれない。
電車を間違えて言われた
「なにやってんだよ」と言う言葉は、
「そんな簡単なミスするなんてなにやってんだよ」という注意かと思っていたが、本当は
「そんな雑魚相手にやられるとかなにやってんだよ」
という激励だったのだ。

もう負けない。
もし次、電車を乗り間違えずにクリアした時は
改札で駅員を見てやろう。
きっと下唇を噛んで悔しがっていることだろう。

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