あーるどら

東京で活動する地下芸人 ファンができないのでいつも場代を払っている。 これでもプロなのかと自問自答しながら、エントリーシートはプロの欄にチェックを入れている。

あーるどら

東京で活動する地下芸人 ファンができないのでいつも場代を払っている。 これでもプロなのかと自問自答しながら、エントリーシートはプロの欄にチェックを入れている。

最近の記事

第2919回 IPPONグランプリ

また惰性で一本吸ってしまった。 火をつけた時の記憶もないまま、 思い出せないほどどうでもいいことで頭をいっぱいにして、とりあえず口から煙を出し入れしていた。 気づけば指先のタバコはとっくに短くなっていた。 あと二吸いほどでフィルターだけになりそうだ。 いっそこの一本は初めからなかったことにしようと灰皿に捨てかけるが、 やはり勿体無いのできっちり二吸いして捨てる。 次の一本こそ最高の一本にしよう。 そう心に誓って次のタバコに火をつける。 タバコを吸う人たちは皆、 このよ

    • ブックオフ•キックオフ

      最近ブックオフで本を3冊買った。 人生を豊かにするために本を読まないといけないことに気づいたからだ。 とはいえここ五年ほど読書と無縁だった僕にとって本選びはとても難しかった。 タイトルから選ぼうにも、単色の背表紙に並ぶタイトルは 『愛憎』『狐』『証人』『ドライヴ』など... 手に取って表紙を見ても 知らない人の顔とか、知らない街のイラストとか、光を浴びる謎の彫刻とか。 情報性がほとんどない これがYouTubeのサムネだったら再生回数10回いかないだろう。 本よ、

      • 焼さけハラミハラスメント

        亀有で空腹が限界になった。 亀有から徒歩25分の博物館までプラネタリウムを見にいくまでの道のりだったが、無計画に家を出たせいで朝から何も口にせずに14時になっていた。 そろそろ何か口に入れておかないと、こんな空腹で星空なんか見たら、脳が遭難していると勘違いして幻覚まで見えてくるかもしれない。 こんなことなら亀有駅で何か食べておくべきだった。 せっかく初めての土地に来たのだからここにしかない旨い店に入ろうと思い 線路の高架下には、そんな乙な店が並んでいるだろうと期待し

        • 電車乗り間違え陰謀論

          自分の「数」は世間の「数」と比べてどれくらい差があるのだろう。 キスした数、喧嘩した数、職質された数 自分の数は多い方なのか少ないほうなのか。 自分の性格を知るために100問くらいの質問に答える性格診断をした事もあるが、 結局そんなものは「自分が思う自分のイメージ」を言葉にしているに過ぎない。 そりゃあ納得する。自分でそう答えているのだから。 そんな主観的なものに真実はない。 真実を知るには客観的な数字が必要だ。 全国民に今までしてきた事の数を聞く「全国民数調査」を

          コインランドリーストーリー

          いよいよ明日履く靴下がなくなった。 スカスカになった棚を開けて洗濯カゴへと視線を落とす。 3週間分の洗濯物が、カゴの中に収まりきらず上へ上へと積み重なっている。 ラーメン二郎の野菜マシマシのようである。 ランドリーに行かなくては。はぁ、面倒臭い。 自炊、洗い物、掃除は苦じゃないのに、ランドリーに行く時間だけがどうしても面倒臭い。 面倒臭いという理由だけで新しい靴下を買いに行ったりするので、毎月靴下が増えていく。 買い足した靴下すら使い切った時には、洗濯物の山の中か

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          サウナ戦争

          銭湯に行き 体を洗って湯船に浸かる。 その日溜まった体の疲れがじんわりとお湯の中に溶けていく。 今日はサウナも入ってみようか、と 銭湯の角にあるサウナを見る。 湯船からサウナを見ようとしても 中の様子はほとんど分からないことが多い。 木の枠に囲まれた窓ガラスから見えるのは一人分の足元だけ。 しかし実際には、一人見えれば中には思ったより人がいるものだ。 ゴキブリのような言い方をしてしまった。 中が見えにくいことも相まって サウナは異様な雰囲気が漂っている。 湯船とは全く違

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          パラレルワールド

          エッセイを読んだ 日常の一幕を切り取って、その時感じたことから、 過去にあった出来事を振り返り、そこから新たな発見をして、自己について面白おかしく考察する。 それを読んで僕は感服した。 感動というより感服だ。 中学時代にどんな塾に通ったらこんな考え方ができるのだろう。 いい歌詞に触れた時も感服した。 ギターが弾けるだけで人としての能力は十分だというのに、人並外れた感性とそれを表現する言葉の力まで手にしてしまったら、不公平だ。 シンガーソングライターよ、自分が人類の能力の

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          12/15 話の早いマダムもいる

          みなさんおやすみなさい あーるどらです。 最近は少し寒くなってきましたね。 布団から出るのも億劫で少し起きる時間が遅くなってしまいますよね。 今日も起きるのが遅くなって、朝、顔を洗っていたら、うちのアパートの階段を登る足音が聞こえたんですよ。 その足音がね、自分の部屋の前でぴたっ、、と止んだんです。 そこからしばらく静寂が続いて 僕は覗き穴を見れなくてじっと固まっていたんですけど、 15秒くらい耳鳴りがしそうなほどの静寂が続いた後、ようやく階段を降りていく足音が聞こえたん

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          12/11 第一次世界大戦

          大阪から東京に来て1ヶ月が経った。 大阪に住んでいる人間は自分が大阪出身だということに謎のプライドがあり、東京に足をつけてまず最初に思うことは、東京に負けないぞ。という固い誓いである。 例えば「ありがとう」と言うところをわざと「おおきに」と言ってみたり、バイト先との会話で無理やりコテコテのなんでやねんツッコミをしてみたりといった具合である。 もし僕が大阪弁を喋ってることに気づいた東京の謎のばななづくめの組織が、僕を拉致監禁し、身動きを封じ、手で無理やり僕の口を動かして標

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