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就活の人気企業になるために必要な「採用ブランド」を構築する3ステップ

初めましての方も多いと思うので、簡単に自己紹介をします。

私はワンキャリアに中途で入社し、外資系企業/日系大手/ベンチャー企業など幅広く採用のコンサルティングに携わっています。

採用コンサルタントとして、100社近くの採用担当者と接する中で、「採用力が強い」と言われる企業には共通点があることが少しずつ分かってきました。
それは採用の市場において「ブランド」があることです。

採用活動における「ブランド」とは何か?
そもそもそれをどのように作ればいいのか。

就活の透明化を図る企業の一員として、私が日々考えていることをまとめました。
あくまで個人的な見解ですが、採用に関わる皆さんの一助になれば幸いです。

【目次】
1.  採用マーケットにおけるブランドの定義
2. ブランドが拡散されるメカニズム
3. ブランドを構築するステップ
4. まとめ
5. あとがき


1. 採用マーケットにおけるブランドの定義

そもそも、ブランドを構築するためには、その定義を理解しておく必要があるでしょう。

皆さんは「ブランド」と聞いてどのようなイメージが浮かびますか?

「吉野家」と聞いて”オレンジ色の店舗外観”や”牛丼の提供スピードに代表される見事なオペレーション”を想像しますか。
それとも、「ユニバ」と聞いて”ハリーポッターが有名な関西のテーマパーク”や”マーケティングに秀でた会社”を想像するでしょうか。

そのどちらもブランドであり、決して間違いではありません。
私自身は、ブランドの定義を下記のように考えています。

【ブランド】とは、「”A”といえば”Xである”」あるいは「”Xである”といえば”A”」のように、
社名/店名/商品名である「A」と、それが提供する価値やイメージである「X」が密接に結びついている状態、
即ち、特定のキーワードによって純粋想起されることで定義付けられる。

※ 純粋想起:ヒントなしで想起する状態を指すマーケティング用語(逆に、ヒントありで想起することを助成想起という)

では、ブランドはどのようにして生まれるのか。私は「信頼」と「クチコミ」の2つが必要だと考えます。
信頼を得て、市場にクチコミが集積された結果、ブランドが構築されるというわけです。
(通常、構築できるまでに3年以上はかかると言われています)

採用マーケットを例に説明しましょう。

私がかつて担当していた A社は、学生から「難関企業」というイメージを持たれており、高みを目指す学生はこぞってエントリーをする企業です。

このようなイメージを持つに至ったのは、同社が「難度の高いインターンシップを実施する」と宣言し、実行したことがきっかけでした。

A社のインターンシップは難しく、レベルの高い学生が集まるらしい」と聞いた学生は、
優秀な学生と切磋琢磨したい、という思いでインターンシップに参加します。
参加後、「確かに、ワークの内容も難しく、集った学生もみんな優秀だった。社員からのフィードバックも的を射ており、今後、就活を進めていく上で糧となった」とイメージ通りの体験ができたとしましょう。

聞いていた通り、A社のインターンシップは難しく、クオリティの高いものだった
このように、イメージと実体験が一致することで、信頼が形成され、
「A社=レベルの高い学生が集まる難関企業」という純粋想起の方程式が成り立ちます。

更に、そのインターンシップを経験した人は自らの体験を他の就活生や後輩に伝えていきます。
A社のインターンはマジで良かった。お前も行ってみたら?

これが「クチコミ」です。

このように、学生から信頼を獲得し評判がクチコミとして伝播することで採用ブランドが形成されます。

この逆のパターンもあります。企業ブランドに ”信頼損失→クチコミ→ブランド毀損”というネガティブなプロセスが存在するように、採用ブランドもちょっとした悪評で崩れていきます。

例えば、コンサルティングファームの社員は一般的に「仕事ができる」と思われているため、
「合否結果の連絡が遅い」だけでも学生に幻滅されてしまいます。

「イベントで会った社員がだらしない」ことさえ、全て見られています。
よく「信頼は一度失うと取り戻すのに時間がかかる」と言われますが、採用ブランドも同じです。

自分の行動がブランドを形成していることを社員一人ひとりが自覚し、学生の前で気を抜かないよう心がける必要があるでしょう。

2. ブランドが拡散されるメカニズム

ブランドが確立するためには、多くの人にそれが「認知」されなければいけません。採用マーケットであれば、ターゲットは就活生ですね。

結論から言うと、よくあるマーケティング手法と同じく、「インフルエンサー」を狙うのが鉄則です。
では、就活におけるインフルエンサーとは誰なのでしょうか。

採用担当者と話していると
「うちは外コンや難関ベンチャーに行くような優秀な子は必要としてないんで...」や
「弊社はMARCHがターゲットなので、東早慶は狙いません」という声を頂くことが少なくありません。

しかし、ブランドを構築するためには、
採用ターゲットの学生だけではなく、インフルエンサーとなり得る学生を「ブランドターゲット」として狙うべきだと私は考えます。それは、就活を始める時期が早い学生たちです。

就活を始める時期について「超早期層/早期層/準早期層/...」とレイヤーを分けたピラミッドをイメージしてみてください。
もちろん早くに始める人の方が少ないので、超早期層がピラミッドの上位になります。

就活マーケットにおいては、準早期層は早期層を、早期層は超早期層を追随しようと試みます。

超早期層はひとりでに面白い企業やインターンシップを見つけて、自分の意志を持って参加し、クチコミを生みます。

そのクチコミを聞いた早期層はその企業へ応募し、インターンシップへの参加を望みます。
(早期層 ⇢ 準早期層も同様です)

つまり、影響力のあるクチコミを生みやすい超早期層は採用マーケットにおいて、インフルエンサーになるのです。
現状では、(学歴も高い)優秀な学生が早期に動き出す傾向にあります。
まずは彼らにイメージを植え付けなければ、ブランドは立たないと言っても過言ではありません。

超早期層に「あの企業のインターンは面白くない」と思われてしまうと、超早期層以降の学生にも同様のイメージを持たれてしまいます。

ピラミッドにおける上位レイヤーの就活生を押さえ、クチコミとして広げられるような経験価値を与え、インフルエンサーとして機能させる。

こうして採用ブランドは伝播していきます。

3. ブランドを構築するステップ

ここからは、ブランド構築のステップをざっくりと説明します。
(具体的な戦術については、後日公開します)

先ほど、ブランドを構築するためには「信頼を得て、クチコミを集める」と説明しましたが、具体的には、採用活動において「1. 発信する」「2. 出会う」「3. 提供する」の3ステップを継続すること、が重要です。

===

1. 発信する

採用ターゲット像とそのインサイトを考察した後、メディアやSNSなどでメッセージを発信しましょう。

「ブランドターゲットが採用ターゲットにどんなクチコミを残すか」を想像しながら練ると良いでしょう。
例えば「早慶の理系学生でメーカー志望の層が、インターン参加後に〜と感じ、後輩に......と伝える」といった具合です。

2. 出会う

学生が「話を聞きたい」と思ったときにいつでも会えるような仕組みを用意しておくべきです。
それは自社のイベントでも、合同企業説明会でも、個別の面談でも構いません。いくつかの選択肢を用意し、面を張ることが重要です。

3. 提供する

出会った場面において、「学生が求める価値」をしっかりと提供しましょう。
例えば、わざわざ説明会に足を運ぶからには「Web上には載っていない情報」を学生は求めています。

彼らの期待値にミートすることで、信頼やクチコミが生まれ、ブランドとなります。

また、最も注意すべきなのが、「発信した内容と提供する体験の一貫性」です。
これが担保されなければ、信頼は築けません。
弊社で経営企画・人事を担っている寺口はこれを以下のように表現しています。

<SAYとDO>
・SAY(言ったこと)とDO(やったこと)が一致していること

例えば、「優秀者の集うインターンシップ」と銘打っておいて、
インターンシップの面接官である社員が優秀でなければ、「え、大丈夫?」となってしまいます。

接点までも緻密にコントロールしなければ、強いブランドは生まれません。

===

以上、簡単に3ステップを紹介しました。

「発信して、出会って、価値提供する」の継続によりクチコミが集積することで、ブランドが構築される。

※ 参考:電通報のデータを見ると、企業の魅力を知る手段としてクチコミが重宝されていたり好きになった企業のクチコミは周囲の人に広めたり、とクチコミの重要性が分かります。

4. まとめ

◎ 採用マーケットにおけるブランドの定義
  ブランドとは、特定のキーワードで企業名が純粋想起される状態を指す。
◎ ブランドが拡散されるメカニズム
  就活マーケットのインフルエンサーを通してブランド(≒クチコミ)が拡散される。
◎ ブランドを構築するステップ
 「発信する」「出会う」「提供する」

5. あとがき

冒頭に簡単に挨拶しましたが、改めて経歴や想いを記載します。

▼経歴
・大学時代、教員免許を取得するものの、就職活動を実施。
・新卒でレバレジーズへ入社。エンジニアの中途採用支援業務に従事。
・ワンキャリアへ中途入社。さまざまな業界の採用支援に携わる。

今回、このnoteを書いたのは「新たな出会い」を生みたいからです。

今の学生は比較的自由度の高い就活ができるにもかかわらず、
盲目的に人気企業に注目してしまっており、食わず嫌いというか、選択肢が少ないように思います。

あまり知られていないが、優良な企業に少しでも目を向けてほしい。
そんな想いで書きました。

他にも採用やキャリア関連の話も少しずつアウトプットしていこうと思います。
ディスカッションも好きなので、何か話したい!ということがあればいつでも連絡ください!

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