新型コロナウイルス(COVID-19)をワクチンで根絶するのは無理だと思う話
↑前回までのあらすじ
最初に
前回の記事の最後に予想した通り、私は新型コロナウイルス(COVID-19)をワクチンで根絶することは不可能であり、インフルエンザのような共存形態、すなわち「with コロナ」を前提とした世界になると思う。
あらかじめ断っておくが私は反ワクチン主義ではない。が、私が生きている間にコロナウイルスの特効薬の完成を夢見るほどの楽観主義者でもないだけである。
以下に、なぜそう考えるようになったのか経緯をまとめようと思う。
ウイルスの増殖(複製)機構
ウイルスは、侵入した細胞のセントラルドグマを乗っ取り増殖する。
セントラルドグマとは、生物の遺伝情報はゲノムDNA→複製→DNA→転写→RNA→翻訳→タンパク質の順に情報が伝達されているという分子生物学の基本原則のことである。
つまり、ウイルスは寄生先の細胞に自身のDNA・RNA・タンパク質を合成させ複製していくのだが、ここに大きな問題がある。
ウイルスによって寄生細胞に造らせるモノが各々違うのだ。
(三菱総合研究所 ウイルス性感染症に関する基礎の基礎より)
上の表の通り、DNAだったりRNAだったり1本鎖だったり2本鎖だったりウイルスによって様々な分類がなされている。
ここで注目してほしいのがDNA、RNAによる危険度の違いである。
人類が唯一根絶に成功した天然痘ウイルスのようなDNA型は、ヘルペス、B型肝炎など比較的ワクチンが効きやすかったり治療できるものが多い。
これはDNAがRNAよりも安定しているため変異のスピードが遅く、ワクチンや予防接種による獲得免疫や、複製する際の乗っ取られているセントラルドグマのターゲットの阻害が容易だからである。
ではRNAウイルスを見ていこう(絶望)
コロナウイルスから始めデング熱、ノロウイルス、狂犬病、エボラ、インフルエンザ、白血病、HIV(前に私がなりかけた)
そう、危険性や治療の難しさからすれば圧倒的にRNAウイルスの方が厄介なのである。
RNAはDNAよりも不安定であり、またRNAを複製する分子はDNAを複製する分子よりも複製過程でミスを起こしやすい上に、RNA1本鎖の遺伝物質は、エラーが生じた場合に元の状態に戻すこともできない。加えて、ウイルスの増殖は極めて速い。このような特徴のため、特にRNAウイルスはかなり急速に変異する。
(ようこそゲノムの世界へ より)
現に、新型コロナウイルスは、2019年12月に発見されてから2021年8月までに「ラムダ株」までの変異体が発見されている。
変異のスピードが速いということは、薬剤耐性を持ったり全く新たな症状や強毒性の性質を持つ可能性が高まったりするため、ウイルスに対するワクチン開発スピードに人類が追い付かなければいけない。
しかし、国民のほとんどがマスクを着用し、インフルエンザですら消え去るほどの徹底した衛生管理を行っている今でも、新型コロナウイルス感染者数は増え続けている。
果たして、現在の状況を見て、今後の人生で一度も新型コロナウイルスにかからない自信がある人間はどれほどいるのだろうか?
最後にイギリスBBCニュースの記事を引用して終わろうと思う。
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