【渡部健人】柔よく剛を制すか
「柔よく剛を制す」という諺には、実は「剛よく柔を断つ」という続きがある。ここで言う剛柔とは人の性質を表しており、「柔軟なものが硬いものを制することもあり、その逆も然り」という意味である。つまり、どちらが正しい・誤りという基準はないのだ。
そこで、NPBの「剛柔」を代表するホームランバッター西武・山川穂高、中村剛也の2選手を比較し、そこから今年の西武ライオンズドラフト1位・渡部健人について考察していこうと思う。
「剛」:山川穂高
力で持っていくと言えばこの男だろう。今年3月のオープン戦のバックスクリーン弾は未だ衝撃的であり、大卒20代でプロ通算164発という成績も頷ける日本を代表するパワーヒッターである。
また、ホームラン後の「どすこいパフォーマンス」も彼のホームランの魅力の1つである。
「柔」:中村剛也
力感のないフォームからのコンパクトなスイングからは想像もできない飛距離を産み出す男、技術で打つと言えば中村剛也であろう。
彼のホームランは山川の豪快さとは対照的に、見る者にある種美しさを感じさせるようなアーチである。
また、現役であるにもかかわらず通算満塁本塁打数21本はNPB最多記録であり、パワプロで「恐怖の満塁男」という本来引退したレジェンドOBにしか持てない金特殊能力を現役選手の中で唯一持っていた男であった。(現在は宮西も所持)
彼の伝説の1つに、反発係数が基準値より低い違反球が用いられた2012年の、中村剛也のシーズン本塁打数48本>千葉ロッテマリーンズのチーム総本塁打数というものがある。その年の彼曰く、ホームランの秘訣は「メッシャミ~ン」らしい。よく分からない。
渡部健人は「剛」か「柔」か
タイトルですでにネタバレされているが、私は西武・渡部健人はどちらかというと「柔」、つまり中村剛也に近い選手であると思う。
当時のドラフト情報ではパワーはあるがまだまだ荒く素材型であり、1位という指名評価は、強打者の育成に定評のある西武ならではという意見が多かった。
しかし蓋を開けてみるとプロ初ホームランも放ち、現在イースタンリーグのホームランキング独走中と、想像以上に成長著しい選手ではないか。そう思いながら、時折流れてくる彼のホームランを見て魅了され、彼が大ブレイクする前にnoteに記事をまとめようと思い立つまでにそう時間はかからなかった。
2、3年後には、パ・リーグTVの動画が彼のホームランシーンで埋め尽くされるのも時間の問題だろう。
あとがき
これは完全に余談なのだが、私的に「剛柔」どちらにも区別できない選手が2人いる。西武・森友哉と阪神・佐藤輝明だ。
やはり彼らは本物の天才なのだろう。
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