患者さんを捉える ー歩行時足底痛の症例(1)ー
以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。
情報)
20代の方である。
2週間前にハンドボールで足を回内方向で挫いた。
その後、歩行の左立脚期、特にTStで足底に痛みが生じる。
痛みを示す部位は舟状骨粗面で、視診でその部位の腫れが確認された。また、その部位で圧痛があった。
受傷直後は歩行できなかったが、徐々に痛みは減少している。
Q) 原因は?
A) 足を回内方向に挫いた、いわゆる外反捻挫で、舟状骨粗面に付着する組織への伸張ストレスによる組織損傷と考える。
根拠は、足を挫いた肢位、舟状骨粗面周囲の腫脹、その部位の圧痛からである。
Q) 組織として、何が考えられるか?
A) 後脛骨筋である。
Q) 歩行の痛みは?
A) 後脛骨筋はTSt で最も活動するので、この時に付着部への伸張ストレスにより痛みが生じた。
Q) アプローチは?
A) 後脛骨筋の収縮を減らし、損傷部位への治癒を促す。
Q) 方法は?
A) 後脛骨筋は内側縦アーチに関与する。
ここで、痛みはTStで出現する。
この時、前足部荷重なので前足部剛性と絡む。
内側縦アーチと前足部剛性をつなげるものは、ウインドラス機構である。
そこで、後脛骨筋以外の内側縦アーチ構成筋を強化して、後脛骨筋の負担を減らす。
各運動を休みを含めて5分間実施した。
Q) 結果は?
A) 歩行時の痛みは軽減した。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。