患者さんを捉える -右手に痛みがある症例 前半-
以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。
情報)
右手関節を自動背屈すると
第三中手骨背面に沿って痛みが出現する。
但し、痛みは他動では起らない。
Q)原因は何か?
A)他動で痛まず自動運動で痛むので、総指伸筋腱やその腱鞘に問題がある。
Q)どのような問題か?
A)背屈自動運動で背屈筋腱にストレスをかけるとすれば、伸筋支帯で圧迫ストレスが加わったことが考えられる。
Q)伸筋支帯に圧迫ストレスが加わる原因は?
A)伸筋支帯の緊張が高くなっている。
Q)伸筋支帯の緊張が高くなる原因は?
A)手関節に偏位が起きている可能性がある。
調べると右手は左に比べて掌側偏位していた。
これにより伸筋支帯が伸張され総指伸筋腱の圧迫が起きた可能性がある。
Q)アプローチは?
A)背側の筋の緊張を高めて手関節を背側方向に移動させる。
Q)方法は?
A)手関節背屈運動を総指伸筋の使用を避けるため、指は屈曲位で行った。
Q)結果は?
A)痛みは軽減して、背屈角度と指の伸展が増した。
ここで、痛みの原因が手関節掌側偏位とわかったので、それをより減少させることを考えた。
Q)どのようにして?
A)手関節背屈作用のある総指伸筋は指背腱膜によって固定されている。
また、その指背腱膜は内在筋である虫様筋と背側骨間筋に繋がっている。
これにより、MP屈曲、IP伸展の動きが可能となる。
内在筋の低下があれば総指伸筋は安定せず、手関節背屈方向の機能も低下すると考えた。
そこで、内在筋の状態を調べた。
虫様筋は問題なかったが背側骨間筋の低下が確認された。
そこで、背側骨間筋の強化を行なった。
Q)結果は?
A)手の伸展角度が増し、痛みは最も減少した。
また、手関節の掌側偏位も減少した。
ホームexとして、2週間実施してもらった。
2週間後、痛みは減少したが、まだ、残っていた。
そして、そこからの変化がなかった。
そこで、手関節以外の影響を調べた。
次回に続く。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。