足のクリック音と違和感がある症例
以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。
情報)
2年前に右足の内反捻挫を起こした。
その後、足関節を動かすとクリック音と違和感を生じる。
クリック音と違和感は、右足関節を内返しから外返しに自動運動させたときである。
クリック音時に震動する部位は、外果~アキレス腱外側あたりである。
また、違和感は外果前下方である。
Q) 原因は?
A) クリック音時に振動する部位にある組織は、腓骨筋腱や上腓骨筋支帯、そしてアキレス腱と屈筋支帯などである。
内返しから外返しに動かすことから、腓骨筋腱の移動時に音が鳴っている可能性がある。
Q) しかし、通常では音がしないが?
A) 腱の走行が変わった。
Q) どのように?
A) 腱が走行する箇所は後足部で、距腿関節と距骨下関節がある。
症例は、内返しから外返しに動かすと、クリック音と共に外果前下方で違和感を感じていた。
違和感は、関節の偏位からおこる。
ここで、症例は2年前に内反捻挫を起こしている。
そこで、内返しの可動域を見ると、左右差で右の可動域が大きかった。
内返しの可動域の左右差と内反捻挫から、前距腓靱帯の緩みの可能性がある。
それにより、距骨の偏位が腱の走行を変え、クリック音が生じたと考えた。
試しに、距腿関節の緩みを大きくして、どうなるか調べてみた。
方法は、下腿長軸に徒手で牽引しながら、動かしてもらった。
この時、違和感が増し、抜けるような感じで気持ち悪く、怖いと言っていた。
以上から
2年前の内反捻挫による靱帯の緩みが、距骨の過可動を生み、その偏位から症状が出現したと考えた。
Q) アプローチは?
A) 距骨の動きを押さえる。
Q) 方法は?
A) 距骨に付着する筋はない。
理由は、距骨は距腿関節、距骨下関節、横足根関節に関わる。
距骨は、3関節の動きを同時に賄うため、動きは微細に複雑になる。
筋が付着していると、その妨げになるからである。
ただ、間接的に長母指屈筋が距骨の内側結節を通り、距骨の動きを押さえる。
そこで、長母指屈筋の作用である足関節の内返しと母指の屈曲抵抗運動を5分間行なった。
Q) 結果は?
A) アプローチ後、クリック音と違和感は減少した。
その後、自宅で自主exを1週間実施して、クリック音と違和感はほぼ消失した。
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