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高齢者の歩行維持に重要な筋
こんにちは、理学療法士のおかむーです。
今回は、「高齢者の歩行維持に重要な筋」について、お話しします。
歩行に関わる筋は多義にわたります。
また、歩容の改善には歩行分析から問題となる筋を割り出していきます。
それとは別に、臨床で高齢者が歩行困難に陥りやすい問題で、予防を前提とした内容です。
座位や臥位では歩行で重要な殿筋群、大腿四頭筋、下腿三頭筋がほとんど使用されないので低下していきます。
その中で重要な筋は大腿四頭筋です。
大腿四頭筋が低下している、膝関節が伸展しない、と歩行どころか立てません。
そうなるとハムストリングスの緊張が高まってきます。
理由の一つに、ハムストリングスは仙結節靱帯を介して脊柱起立筋につながります。
臥位では仙腸関節や椎間関節の形状からズレやすくなります。
それを押さえようと、体幹筋の活動を高めるためにハムストリングスが緊張します。
そして、筋の緊張による組織の短縮と関節拘縮で、膝関節伸展が不可能になります。
ですので、大腿四頭筋に合わせて、体幹筋、とりわけ仙腸関節や脊椎椎間関節安定化筋が重要になります。
また、高齢になると背中が丸まってきます。
これも原因の一つは脊柱起立筋の低下ですが、やはり、臥位や座位では起立筋はあまり使われない事が要因にあります。
この脊柱後弯は、立位で重心線を後方に位置させるため、それに対応しようと膝関節を屈曲させます。
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膝関節屈曲はLCLを緩ませるので、膝関節は内反し、内反変形が起こり、高齢者にありがちなO脚の変形性膝関節症を招きます。
ただ、この脊柱後弯ですが、腰椎から後弯している方は少ない印象です。
どちらかというと、胸椎からの後弯を多く見かけます。
これは、その部位の起立筋群が腰椎に比べて少ない事が一つにあります。
また、起立筋をカバーする僧帽筋下部は、上肢の最終域の挙上に関与します。
それは、この時、肩甲骨を後傾させて上肢挙上の可動域を助けるためです。
高齢になると、そのような挙上を行なわなくなりますし、猫背では肩甲骨後傾を阻害されます。
以上から
大腿四頭筋
脊柱、骨盤の関節安定化筋
胸椎伸展筋
が重要かと考えます。
ちなみに、僧帽筋下部と絡めると広背筋も当てはまりますが、片麻痺では緊張が高くなる場面を見かけます。
なので、広背筋については注視していません。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。