臨床実習で教えること
こんにちは、理学療法士のおかむーです。
今回は、「臨床実習で教えること」について、お話したいと思います。
ただ、これは私見ですので、参考までに。
プロフィールで書きましたが、私が実習指導者になったのは臨床10年目です。
当初は教え方がわからず、自身の体験を元に実施していました。
そこで、学生が苦しむ姿(目に輝きがなくなり、うつろぎだしてきた)や、レポートを頑張った割には、進歩があまり見られないことから、非効率性を感じ、その方式を止めました。
もちろん、学校の先生には許可を頂き、ダメなら指導者を断ろうと思っていました。
そこで、「学校で学べること、卒業して臨床で学べること、そして臨床実習でしか学べないことは何だろう?」と考えました。
学校で学べるのは知識です。しかし、臨床のように患者さんがいないので、イメージして障害と結び付けることができません。
臨床で学べるのは、目の前の患者さんに対して知識を使ってアプローチする実践が行えます。
しかし、一人の患者さんにかかる時間は限られており、日に何人も関わります。
臨床実習では、1~2人の患者さんを見ます。
学校で学んだ知識を使って、患者さんに対して考える時間は十分にあります。
そう、臨床実習でしかできないことは、患者さんについて考える時間が十分に取れることです。
それ以来、そのことに重きを置いて指導してきました。
実習生によっては、「多くの患者さんを見学させて下さい。」と言ってきます。
その学生にとって、多くの患者さんを見学することが経験につながると思い、それが無いと不安なのでしょう。
すると、学生に
「見なくていいよ。見学は1年生の時を含めて何度も見てきたでしょう。それで十分。臨床に出れば、たくさんの患者さんを何年にも渡って見るのだから。」
それでも不安げな顔をすると
「大丈夫! あなたはPTとして働いていけるから。今は、私の言う通りに行動して! 働いて何年かして、いろいろ見えてきたら、その意味がわかるよ。」
と、安心?させてあげました。
そして、ここからが指導者の腕の見せ所です。
当然、学生に考えろと言っても、何からどのように考えればいいか、わかりません。
最近の実習では、見学→模倣→指導者の担当患者さんの部分介入から介入を増やす
と言った、方法に変わってきました。
私も、当時、似たような方式をとっていました。
ただ、私の主たる介入は「考える」ことです。
違うところと言えば
まず、学生に私の患者さんをいきなり渡します。
そして、何も言わずに、「出来るところまでやってごらん」と言います。
当然、学生は戸惑います。
(今の実習形態では、そんなことは出来ません。
また、このやり方は、患者さんからの承諾、リスク管理等、指導者の指示に従わせるより、指導者はエネルギーを使います。)
それで、学生がどこまでできるのか? 学生は患者さんを見るための軸として、何が足りないのか? を見定め、どこから、何を指導するか目安を立てます。
臨床の力は、その学校での成績や過去の経歴、人柄だけでは判断できないからです。
当然、学生の考えた内容については、レポートではなく、口答でやりとりしました。
それは、書くよりも考えることに時間を使って欲しいからです。
学生の中には、レポートにまとめてくる人もいます。
すると、私は
「すごいね。でも大変だったでしょう。レポートにしなくてもいいんだよ。」と言うと
学生は、「私は、この方が整理しやすくていいんです。」と言います。
まあ、学生がやりやすいやり方が一番の方法なので、それに従いました。
しかし、私は、「ちゃんと寝てる?」と聞きます。
「寝てないな!」と雰囲気でわかると、学生との口答のやりとりで
「これとこれは削ろうか。理由は、~だから。なので、これだけを考えてみようか。」
と考える量や質を、できるだけ学生に悟られずに減らしました。
口答のやりとりと言っても、週3~4回、20~30分ほどです。
あとは
学生の振るまい、言動、発言内容、患者さんへの接し方や誘導、評価の仕方や、その時の姿勢や目線で
変化の度合いがわかるので
口答のやりとりでは、私が観察した変化が正しいかどうか、学生を評価する意味もありました。
まさしく、学生も患者さんも同じ捉え方です。
私の中では、指導するのが大事なのではなく
当然ですが
学生がPTとして、変化し、成長することが大事と位置づけていました。
そのため指導は、ひとつのツールに過ぎないと考えていました。
ですので、学生によっては
「この指導者は、あまり指導してくれない。」
と、不満をもらす人もいました。
それで成長しているのであれば
“その学生は自分に力がある”と思い
自信につながるケースもあるので、「それも有かな」と思っていました。
私の臨床実習指導者としての目標は
一人の患者さんに対してじっくり考え
現象と知識の結びつきとはどういうものかを感じ取り
臨床に出て、結果を出すための土台作りをすることでした。
それにターボを付ける意味で
臨床が楽しい、早く臨床に出たいと思ってもらうことです。
モチベーションは、何よりも力になります。
これは、実習に来たすべての学生の共通目標でした。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
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