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わたしが市長選挙に出た本当の理由

去年の今頃、わたしは極めて慌ただしく日々に追われていました。江別市長選挙告示まで、残り3ヶ月。自分がやらなければならない。義を見て為さざるは勇なきなり。その抱いた決意を大きな炎に変えていきながら、闘いに突入していったあのときを、いま、少しずつ冷静に振り返られるようになってきました。

記者会見で述べた立起理由

2019年1月11日、わたしは、立起表明の記者会見を開きました(動画に字幕も付けておりますが、原稿も置いておきます)。ここで、お伝えしたことは、もちろん嘘ではありません。

それは、財政問題です。いま、江別市は、財政危機に陥っています。この問題を解決しなければ、根本的な、本質的な江別のまちづくりが果たせないのです。財政の危機は、市民生活の危機です。市立病院の経営問題や庁舎の建替問題はもとより、基金の減少、歳入の縮小、公共施設の維持管理など、江別市の財政課題は山積しております。歳出を抑制し、歳入を増強する。そのことで、まだ叶えられていない、市民の方々の願いを実現したいのです。

記者会見では、このように述べております。これは、当然のことで、どんな素晴らしい計画や政策を立案しようとも、お金がなければ、それは絵に描いた餅です。戦略(政策)には、戦術(事務事業)と兵站(経営資源)の具体的な運用が明らかになって、はじめてその政策に実効性が生まれます。議席をいただいているからこそ見える危機を、わたしは政治家としての責任感として、見過ごすことはできませんでした。

江別市の自治体経営は、政策を実行するための基礎となる経営資源がそもそも疲弊しているため、市長という経営マネージャーの変更が必要だというのが、わたしの立場です。ただ、本当は、お金以上に重要だと思っている経営資源があったんです。しかしそれを、記者会見のときになっては、それほど大きくは取り上げませんでした。

でも、本当は言いたかったこと

記者会見から遡ること、10ヶ月前。はじめて自分の決意を、会派の先輩である本間議員に打ち明けました。2018年3月8日(先輩からは、さんぱち事件と言われております笑)、「岩見沢に、良い飲み屋さんを見つけたんですよ」と酒場好きの先輩に本意を告げず、となりまちまでわざわざ出かけ、市長選挙へ立起しようと考えていることを告白しました。

なぜ、2018年3月なのか。このときわたしは、平成30年第一回定例会一般質問(市政全般について議員各自が質す機会)の読み原稿を書いていました。ここで、わたしはこんな主張をしています。

労働環境の改善をもって、市民奉仕の向上を図ること。このことが経営の根幹である。

さらに、質問をこんなふうに結んでいます。

時代の困難に立ち向かえる人材の確保と育成、市民福祉を向上させようとする職員の使命感に応えられる人事制度の整備、そして働く人が幸せになる職場づくりのより一層の進展を願い、わたしからの質問を終わらせていただきます。

しかし、議員が質問をすると、担当課は残業がほぼ確定します。構造の闇が深いなと思います。しかも組織開発は、制度だけつくっても機能しません。日頃の取り組みの積み重ねで、改善がなされていくのです。ここに、議員の壁を感じました。

議員は、市のなかで最も政策研究ができる立場です。むしろ、政策をつくるのであれば、議員の方がやりがいがあるかもしれません。大都市でもない限り、議会は唯一のローカル・シンクタンクであるという側面があるのです。しかし、江別市に足りないのは、政策ではなく、政策を具体化していくための経営マネジメントであることに、わたしは気づいてしまいました。

経営は、「ヒト/モノ/カネ」と言われておりますが、このなかで最も重要なのが「ヒト」です。なぜなら、人がいなければ、物や金を使うことも、生み出すこともできないからです。人は、最も基礎的な経営資源なのです。つまり、わたしがやりたかったのは、人事(異動だけでなく、研修/採用/福利厚生を含めた、いわゆるヒューマン・リソース領域)だったということです。

いまの時代、人の力を最大限引き出すことで、労働と経営の相乗効果を出すというのはあたりまえのことです。何より、わたしもずっと労働によって不条理な思いをしてきました。だから、目の前にある不幸な職場を、一つひとつなくしていきたいと率直に思ったんです。

それでは、なぜそれを全面に出さなかったのか。それは端的に言うと、支持されない場合が多いからです。市民じゃなくて、公務員の味方をするのかという反応です。二項対立ではないと思いますが、それも現時点においての現実でもあります。そういうことに、ようやくそのころ気づきました。つまりわたしは、「行政としての政策」と「選挙としての政策」は、調理法が違うということに気づくのが、少し遅かった。これは、敗因の大きなものの一つなんだろうと思っております。

地域が、2020年代にやらなければならないこと

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わたしが、2020年代の行政がやらなければならないことを、このように整理しております。移民の受け入れをしない限りは、「人口減少超高齢社会」が前提となり、その環境下における「自治体経営の持続可能性」と「まちづくりの方向転換」を探らなければならない。つまり、行政が絶対にやらないとならない(市民の生命財産に関わる/割り勘効果がある)行政の「持ち場」を死守し、民間活動との協働によるまちづくりに舵を切るということです。

このとき重要になるのは、人口の呪縛から脱することと、発展のものさしを変えることです。どんなまちづくりをすれば良いのかは、その地域の課題が教えてくれます。「地域の課題を価値に変えるにはどうすればいいのか」という問いが、まちづくりを導いてくれるのです。

さて、この図にもあるように、また民間活動と行政活動の協働とお話したように、2020年代のまちづくりは、行政だけではできません。じゃあ、どんな協働の仕方が良いのだろうということになります。

わたしは、NPOとゲストハウスに一筋の希望の光を見ております。現在は民間人でありますので、わたしはその現場で実践活動をしております。詳しいことは、またの機会に記そうと思いますが、NPOの現場では、自ら設立したNPO法人北海道冒険芸術出版(今年10周年節目に、「NPO法人21世紀のつくりかた」へ名称変更予定)の共同代表理事と、NPO法人北海道NPOサポートセンターの事務局員として、下記の人材育成事業を主に担当しております。

ゲストハウスの現場では、共同出資で合同会社を設立し、物語担当執行役員(と名乗っていますが、マーケティングやら宿直やら調整やら会計やら謝罪やら雑用やら、NPO的に言うなら事務局長的なこと)をやっております。「ゲニウス・ロキが旅をした」という名の宿です。現在、クラウドファンディングを実施しているので、ぜひこちらもご覧いただけるとうれしいです!

2020年代、数字だけ見れば、絶望的な風景が広がっております。だけど、だからこそ、「後世にこの世界を本気で引き継ぐ」という覚悟の決まった人たちも多く見かけます。険しい道を暗く受け止めるのではなく、むしろこの難問に立ち向かえることにワクワクしながら、清々しい時代を創造していこうとする一味に、わたしも加勢するつもりです。

#2020年代の未来予想図

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