『稲盛和夫一日一言』 10月29日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月29日(日)は、「成功と失敗の分水嶺」です。
ポイント:損をしてでも守るべき哲学、苦を承知で引き受けられる覚悟、それらが自分の中にあるかどうか。それこそが本物の生き方ができるかどうか、成功の果実を得ることができるかどうかの分水嶺となる。
2008年発刊の『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫著 致知出版社)の中で、「試練を通じて人は成長する」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
人生を終えるときに、立派な人格者になった人もいれば、そうでない人もいます。その違いは、人生を歩む中で、自らを磨き人格を高めることができたかどうか、ということにあると私は考えています。
このことは、次のように例えることができます。「人間はこの世に生を受けたときは原石のようなものであり、後天的に磨き上げることで初めて、光り輝く宝石のような、素晴らしい人格者になることができる」
では、どのようにして自分を磨いていけばよいのでしょうか。
私は「試練」を経験することが、人間を大きく成長させてくれるチャンスになると考えています。実際、偉大なことを成し遂げた人で、試練に遭ったことがないという人はいません。
苦難に直面したとき、打ち負かされて夢をあきらめてしまったり、いい加減なところで妥協をしてしまうのか、それとも郷土の偉人である西郷隆盛のように、苦労を苦労とも思わず、ひたむきに努力を重ねることができるのか、そこに人間的に成長できるかどうかの分岐点があります。
人生は、大小さまざまな苦難や成功の連続であり、そのいずれもが「試練」です。そして私たちの人生は、その人生で織りなす「試練」を、どのように受け止めるかによって大きく変貌していきます。
私たちは、苦難あるいは僥倖(ぎょうこう)、そのいずれの「試練」に遭遇しても、決して自らを見失わないようにしなければなりません。
つまり、苦難に対しては真正面から立ち向かい、さらに精進を積む。また成功に対しては謙虚にして驕らず、さらに真摯に努力を重ねる。そのように日々たゆまぬ研鑚に励むことによってのみ、人間は大きく成長していくことができるのです。
現代の混迷した社会を思うとき、私たち一人ひとりが、どのような環境に置かれようとも、自らを磨き、人格を高めようとひたむきに努力し続けることが、一見迂遠(うえん)に思えても、結局は社会をよりよいものにしていくと私は信じています。(要約)
運を引き寄せる考え方として、次のようなものが提唱されています。
・ポジティブ:自分は「運がいい」と強く思い込む
・チャレンジ:現状維持がいいことだと思わない(=向上心を忘れない)
・利他的:常に感謝の気持ちを忘れず、進んで損をする
・自己肯定:身の丈に合わない高望みはせず、今の自分を肯定する
京セラフィロソフィに「自己犠牲を払う」という項目があります。
物事を成し遂げるには、代償が必要です。京セラの今日の発展も、創業当時から、全従業員が「誰にも負けない努力」を続けてきた成果なのです。
遊びたい盛りの若いころから、仕事一筋の生き方をしてきた。その代償として今日の発展がある。いわば自分の遊びたいという欲望を犠牲にすることで、それに見合う成功を勝ち取ることができたのです。もし成功できないとすれば、それは自己犠牲をしていないからです。
「大きな成功を望むなら大きな自己犠牲を、小さな成功を望むなら小さな自己犠牲を」(ジェームズ・アレン)というように、人生で成功を願うなら、それ相当に自分の欲望を犠牲にしなければなりません。(要約)
しかし自己犠牲は、心の奥に自分がそうしたいという気持ちがなければやれないことです。 自分の気持ちを捨ててまで誰かのために頑張ろうということでは、そう長続きはしません。
最近では、どちらかというと「自己犠牲はよくないことだ」とする考え方が一般的になりつつあるように感じますが、いずれにしても、心の中に確固たる哲学や覚悟といったものがあって初めて、成功が現実のものとなっていくのではないでしょうか。
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