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『稲盛和夫一日一言』 6/27(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/27(火)は、「成功を持続させる秘訣」です。

ポイント:成功を収め、一旦は人々の羨望(せんぼう)を集めたとしても、謙虚さを失い、利己的な思いを抱いて自分勝手に行動するならば、それは宇宙の意志に逆行することになり、決して長続きはしない。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、利他の心に基づく経営こそが長く繁栄を続ける秘訣であるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 利他の心というのは、相手の人に喜んでもらったり、相手の人を助けてあげるということですが、弱肉強食がまかり通る資本主義社会にあって、そのようなヤワなことを言っていて、本当に経営ができるのでしょうか。
 貪欲なまでに利益を追求する、それが経済界の実像ではないかと思うのですが、本当に利他の心に基づく経営というものが成り立つのでしょうか。

 私はそうした質問に対して、次のようにお答えしています。
 努力をする人が生き残って、努力を放棄する人は淘汰(とうた)される。それが、自然界における適者生存の原理ではないでしょうか。つまり、社会に適応できる企業だけが生き残って繁栄していき、適応できないような、いわば努力をしない企業は世の中から退場を迫られる。

 経営者は、自分たちの従業員を守っていくために、また株主に対する責任を果たすために、必死で努力を重ねていくことが大事であって、何も競合する会社を潰そうとか、駄目にしてしまおうといった意図で競争をしているわけではありません。
 物事を判断するときに、自分だけよければいいという「利己の心」をベースに、戦略、戦術を考えるのではなく、社会に調和し、みんなが共存していけるような「利他の心」をベースに戦略、戦術を組むようにする。

 企業経営を利己の塊みたいにとらえておられる方もいらっしゃいますが、そういう方は、その思いが強ければ強いだけ成功もしますが、決してその成功は長続きするものではありません。利己的な欲望を際限なく募らせていき、やがては失敗し、没落を遂げていくことになります。
 一方、相手によかれかしと願う利他の心に基づく経営は、周囲の協力を得て、長く繁栄を続けていくことができるのです。
(要約)

 これは経営者に限った話ではないと思います。
 誰もが、己の心の中に頭をもたげてくる「利己的な思い」をできる限り抑えるように努め、「他によかれかし」と願う「利他の思い」が少しでも多く湧き出てくるように心がける。

 京セラフィロソフィでは、それを「自利と利他」という項目で、次のように説かれています。
 事業は「自利・利他」という関係でなければなりません。
 「自利」とは自分の利益、「利他」とは他人の利益です。つまり、「自利・利他」とは、自分が利益を得たいと思ってとる行動や行為は、同時に他人、相手側の利益にもつながっていなければならないということです。
 自分が儲かれば相手も儲かる、それが真の商いなのです。
(要約)

 ビジネスにおいては、WinーWinの関係だとか、お互いにハッピーな関係を構築していきましょうだ、などといった言葉でやり取りされることも多いのですが、それが単なる金銭的な損得勘定に留まらず、そこで働く従業員やその家族、また地域社会に至るまでの幸せの輪として拡がっていく。

 利他の心に基づく行為、行動こそが、そこに関わる周囲にまで良い影響を与え、みんなを長く幸せに導いていく。そう信じて、行動してみませんか!


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