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『稲盛和夫一日一言』 6月20日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6月20日(木)は、「知恵の蔵 ②」です。

ポイント:美しい心を持ち、夢を抱き、懸命に誰にも負けない努力を重ねている人に、神はあたかも行く先を照らす松明(たいまつ)を与えるかのように、「知恵の蔵」から一筋の光明(こうみょう)を授けてくれる。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、「知恵の蔵」にある大いなる叡知こそが人類を成長発展の方向へと誘導してくれるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「知恵の蔵」というのは私の造語ですが、宇宙の摂理、あるいは創造主の叡知などと言い換えてもいいものかもしれません。いずれにせよ、その大いなる叡知は、人類を絶えず成長発展の方向へと誘導してくれるのです。

 しかし、近年私は、人間は進むべき方向を見失っているのではないか、あるいは「知恵の蔵」から与えられた知恵の使い方を誤り、間違った方向に歩み始めているのではないかと危惧しています。その元凶はやはり、生きていくうえでの「哲学」を見失ってしまったことにあるのだと思っています。

 つまり、人類は科学技術に立脚した高度な文明を築いて、豊かな生活を享受することに成功しました。しかしその結果、精神や心の大切さといったものを忘れてきてしまった。そのため、例えば地球環境の破壊といった新たな問題を生み出しています。

 私はいま、人類は科学技術の進歩によって「神業」を手に入れ、自由に使い始めたものと理解しています。それまでは神のみが使うことを許されていた高度な技術、知恵を、人類はあたかも自分の所有物のように思い、それを自由放縦(ほうしょう)に駆使し始めた。その悪因が悪果となって現れたのが環境破壊ではないでしょうか。

 例えば、フロンガスによるオゾン層の破壊、農薬や肥料による土壌や河川の汚染、二酸化炭素の増加による温暖化、さらにはダイオキシンなどの環境ホルモンによる生体への影響などにより、私たちの生存の場である地球環境、ひいては私たち人類の存続そのものが脅威にさらされています。
 それは、本来生きとし生けるものすべてを幸せに導くための「叡知」を、誤った方向に使ってしまったからです。人間は自らを進歩させてきた武器によって、いま自らを傷つけ、滅ぼそうとしているのです。

 「人生方程式」で示したように、いくら技術や知恵(=能力)が高くても、また熱意を持っていたとしても、哲学、理念、思想(=考え方)といったものを高める努力を忘れたならば、それはこの地球に多大な災厄をもたらす結果となるのです。

 ですから、人間として正しい生き方、あるべき姿を追求することは、もはや私たち個々人の問題ではありません。人類を正しい方向に導き、地球を破滅への道から救い出すためにも、私たち一人ひとりが、自身の「生き方」をいま一度見直してみる必要があるのです。

 それには、人一倍厳しい生き方を己に課し、絶えず自身を律することが不可欠です。それを自分の哲学、生き方の根っこに据えて不動のものとすることです。
 人間として正しい生き方を志し、ひたすら貫き続ける。それが、いま私たちにもっとも求められていることなのではないでしょうか。
(要約)

 今日の一言には、「知恵の蔵とは、真摯に生きようとするすべての人に開かれている、私はそう信じています」とあります。

 地球上に存在する核弾頭は、推定12,520発とされていて、保有国は米国、ロシア、フランス、英国、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の 9カ国に上ります。
 また、映画『オッペンハイマー』上映に伴うさまざまな反応や反響、さらには相次ぐ月・火星への人類移住計画の発表など、現在の地球が置かれている状況は決して楽観視できる状況にはないように思います。

 私たち一人ひとりができることは限られているかもしれませんが、各自が「人間として何が正しいか」を考え、ひたすらその信じる道を貫こうと意識しながら行動することはできるはずです。
 一人ひとりが人類としての「王道」を生きていきたいものです。


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