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『稲盛和夫一日一言』 9月21日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月21日(木)は、「自己満足が成長を止める」です。

ポイント:自らの常識に基づいて経営目標を設定していると、その目標に達してしまったら満足して、それ以上の向上を望まなくなってしまう。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、「自ら持っている常識を破る」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 どんなに経済が激しく変動しても、常に利益率5%程度を維持している企業があります。それは経営者が、企業は一般にその程度の利益率を維持できればよいとの常識を持っているからです。だから、5%以下になると潜在意識が働いて、それを維持するために必要な対策を自然ととらせるのです。

 半面、5%程度の利益率で十分だという思い込みや常識があるために、利益率を15%、20%とより高く引き上げようとする意識にはなっていきません。それを破って高収益を実現するには、自らの常識を否定することが必要です。

 常識という枠にとらわれない、心の自由な人でなければ、独創的な発想をすることも、高収益を達成することもできないのです。(要約)

 「常識」には、「ある社会で、人々の間に広く承認され、当然持っているはずの知識や判断力」といった意味があります。もっと簡単に言えば、一般に「こんなものだ」と思われていることです。

 今日の一言では、「そうした漠然と自らが信じ込んでしまっている常識は、自ら壊していかなければならない」と説かれています。そこには、名誉会長の次のような思いが反映されています。

 私は京セラを始めてから、会社経営がうまくいくようにと必死に頑張りました。「会社がつぶれては従業員を路頭に迷わせてしまう。そんなことがあってはならない」という思いがありましたので、必死に努力をしました。
 
 しかし経営そのものをよく知らないころでしたから、他の企業はどういう経営をしているのか気になって、毎日のように新聞を見ていました。特に決算期になると、日本経済新聞を穴があくほどよく見ました。各社がどれほどの売上をあげ、どれほどの利益を出し、どのような経営をしているのか、勉強のために一生懸命に見ていたのです。

 大企業などの利益率はおよそ5%くらい、不景気になれば2~3%となり、中には赤字転落をする企業もありますが、景気が戻ってくればまた5%くらいに戻ってくる。しかし当時、10~15%をキープしている企業は皆無でした。
 利益が多ければ、「あの会社は市場に高い値段でモノを売りつけて暴利を貪っているのだ」と思われたくないといった配慮が働くのかもしれないなどとも思いましたが、一般には5%程度の利益が出ていれば、周囲からは「よい会社」だと評価されていた時代でした。

 私は「適正利益率といった常識のようなものが世の中にはびこっているが、それは思い込まされているだけであって、そもそもおかしいことなのではないか」と思い、「売上最大、経費最小」という大原則を、経営の根幹に据えることにしました。

 つまり、「利益率というものは、売上を最大に、経費を最小にして、その結果として出てくるものだから、何%が適正だという常識はないはずだ。絶えざる創意工夫をして売上を極大化し、経費を極小化すれば、利益率はいくらでも高くなるはずだ」と考えたのです。(要約)

 京セラは1959年創業以来、一度も赤字を計上したことがありません。現在は、常に「利益率15%」以上を目標としているものの、実績ベースでは、10±5%の範囲を推移しているのが実態です。
 名誉会長は、経営の一線を離れられた後も、うまくいっても15%前後の利益率でとどまっているのは、まさに常識にとらわれているからだと、激しく警鐘を鳴らされていました。

 経営に限らず、一度とらわれてしまった「常識」の呪縛から逃れるのは容易なことではありません。これぐらいならOKかな、と自己満足に陥ることなく、果敢に挑戦し続けるという気持ちをキープして、新たな世界を切り拓いていきたいものです!


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