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『稲盛和夫一日一言』 7月22日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月22日(月)は、「非凡なる凡人 ②」です。

ポイント:継続が平凡を非凡に変える。安易に近道を選ばず、一歩一歩、一日一日を懸命、真剣、地道に積み重ねていく。そうすることが、夢を現実に変え、思いを成就させる。

 2004年発刊の『君の思いは必ず実現する 二十一世紀の子供たちへ』(稲盛和夫著 財界研究所)の中で、一つのことを継続することで愚鈍(ぐどん)な人が非凡になるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラ創業以来、たくさんの新入社員が入ってきました。できてまもないころは、こちらが欲しいな、と期待するような優秀な人はなかなか応募してきません。しかし、ときにはたいへん気の利いた賢そうな人も入ってきました。
 実際、そういう人と一緒に仕事をしてみると、期待していたとおり利発で、将来は会社を背負って立ってくれるのではないか、あるいは技術者として大成するのではないか、と思うことが何度かありました。

 その一方で、タイプとしては鈍な方で、いかにも賢くなさそうな人も入社してきました。そういう人は、指示を出しても反応が鈍く、あまり将来も期待できないな、と思いました。

 ところが、前者の見るからに利発な、いずれは会社を継いでくれるようになればいいな、と思うような人たちは、何年もしないうちに辞めてしまうのです。
 「なぜ、辞めるんだ」と引き留めても、賢くて利発なだけに、「京セラという会社には、あまり将来性がないと思います」と、先が見えているとでも言いたげな言葉が返ってきます。
 ところが、見た目はちょっと鈍で、普段は気も利かないし将来もあまり伸びないだろうな、と思っていたような人たちに限って、辞めずにいつまでも頑張っている。
 私は、そのような一見鈍に見える黙々と勤めている人たちのことは、「どこにも行くところがないから、うちの会社に残っているんだ」と思っていたのです。

 ところが、数十年経ってみると、若いころは愚鈍そうに見えた人たちが、実は素晴らしいリーダーに育っていました。入社当時は愚鈍そうに見えたのに、長い間一つのことを頑張って続けているうちに、優秀な人材へと成長していたのです。

 私はそういった人たちに対して、以前「ああいうタイプの人間は伸びないだろう」と思っていたことを、たいへん恥ずかしく思いました。また、そのように思っていたことに対して、「本当に申し訳なかった」と謝りたい気持ちになりました。

 現在の京セラには、一流大学を卒業した優秀な人材がたくさん入社してくれるようになりましたが、今まで京セラで重役を務めてくれた人たちの中には、高校しか卒業していない人たちもたくさんいて、そういう人たちが人間的に大きく成長し、リーダーとして社員の先頭に立って、会社を発展へと導いてくれたのです。

 つまり、継続は平凡な人を非凡に変えるのです。
 いろいろな分野で名人・達人と言われるような人たちも、そうなるまでに、地道な努力を続けてきたはずです。最初から賢くて、気が利いていて何でもできるという天才がそう多くいるはずはありません。
 一つのことに、飽きもしないで生涯を通じて努力をしてきた人たちが、やがて名人・達人と言われるようになっていくのだと思います。
(要約)

 以前にも引用したことがありますが、改めて2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の一文を紹介します。

 私たちが自分の人間性を向上させたいと思ったとき、そこに難しい修行など必要ありません。ただ、普段の暮らしの中で自分に与えられた役割、あるいは自分が行うべき営為、それが会社の業務であろうと家事であろうと、また勉学であろうと、それらを粛々と倦まず弛まず継続していくこと。それがそのまま人格錬磨のための修行となるのです。

 すなわち、日々の労働の中にこそ、心を磨き、高め、少しでも悟りに近づく道が存在しているということです。

 地道な精進なくして、名人・達人の域に達した人はいません。自分の仕事を心から好きになり、誰にも負けない努力を払い、精魂込めて取り組む。
 私たちは、ただそのことだけを通じて、生きることの意味や価値を学び、心を磨き、人格を練り上げて、人生の真理を体得することができるのです。
(要約)

 京セラ在籍40年の間、「自分はつくづく凡人だなあ」と気づかされて、落ち込んでしまうことも少なからずありましたが、「凡人なのだから仕方がない。しかしこれ以上他の人に迷惑をかけるわけにはいかない。もう少しだけ頑張ってみよう」と気を取り直して一歩前へ踏み出す。

 安易に楽な方を選択したりせず、一歩一歩、一日一日を地道に積み重ねていく。
 今後とも、「それが人生なんだよね?」と聞かれたとき、「そうだったね!」と迷いなく返せるような一生を過ごしていければと思っています。


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