『稲盛和夫一日一言』4/3(月)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/3(月)は、「満は損を招き、謙は益を受く」です。
ポイント:古来、満ち足りて驕(おご)り高ぶる者は大きな損失を被り、常に謙虚に、「相手に善かれかし」と考えている者は、素晴らしい幸運を勝ち取る。それはまさに時代を超えた世の道理。
2010年発刊の『六つの精進』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、謙虚であることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
謙虚であることは、人間の人格を形成する資質の中でもっとも大切なものではないかと思います。我々は「あの人は立派な人格者だ」と言ったりしますが、人間性の中に謙虚さを備えている人を、我々はそういうふうに表現しているわけです。
これは成功して驕り高ぶっている人に対してだけ謙虚になれといっているわけではありません。どんな状況下であれ、一貫して謙虚でなければならないと、私は思っています。
若いころ、私は中国の古典にある「ただ謙のみ福を受く」という言葉を知り、謙虚でなければ幸福を受けることはできない、幸福を得られる人はみな謙虚でなければならないのだと思い、まだ京セラが中小零細企業であったころから、謙虚さを大事にしてきました。
ましては会社が立派になり、大きくなっていけば、人はみな自然と傲慢になり、有頂天になっていくものですから、そういうときにこそ、決して謙虚さを忘れてはならないと、自分に言い聞かせてきました。
世の中では、他人を押しのけてでも、という強引な人が成功するようにみえますが、決してそうではありません。成功する人とは、内に燃えるような情熱や闘争心、闘魂をもっていても、実は謙虚で控えめな人なのです。
謙虚な振る舞い、謙虚な態度は、生きていくうえでたいへん大切な資質です。しかし、人は往々にして成功したり地位が上がったりすれば、謙虚さを忘れて傲慢になりがちです。そうしたときにこそ、「謙虚にして驕らず」ということが、なおのこと大切になるのではないでしょうか。(要約)
今日の一言では、中国の古典『書経』にある「満を損を招き、謙は益を受く、時(こ)れ乃(すなわ)ち天の道なり」という言葉が紹介されています。古来、満ち足りて驕り高ぶる者は大きな損失を被り、一方、常に謙虚に、「相手に善かれかし」と考えている者は、素晴らしい幸運を勝ち取る、これはまさに時代を超えた天の道理である、と解説されています。
「満」は慢心。自分の地位や権力に任せて相手をねじ伏せる、自分の能力に増長して人を見下し、上から目線で接するといった態度は、すべて「満」に他なりません。そうした尊大な性格の人は、周囲の反発を受けて避けられるばかりでなく、自身も今以上の進歩・向上が望めません。
一方、「謙」は謙虚。こちらが謙虚な態度に出ることで、かえって他の人から慕われ、周囲の支持を集めることにもなります。特に、権力のある人、上司や能力の高い人が謙虚な姿勢に徹すれば、そのメリットは最大限に生かされるでしょう。
古代中国には、「宥坐(ゆうざ)の器」という水汲み容器があり、水が空のときは傾き、半分ほど入るとまっすぐに立ち、満杯になると転覆する仕組みになっていました。人々は、この器を自分の席の右側に配置することで、自身の戒めとしました。それが「座右の銘」の語源だとも言われています。
人は社会的地位や名誉、権力、知識などを手に入れると、満ち足りて驕り高ぶってしまいがちです。謙虚な気持ちを忘れ、慢心してしまう人は、やがてひっくり返り、苦労して得たものを失ってしまうでしょう。
改めて「謙虚」の意味を確かめてみました。「謙虚」とは、控えめでつつましく、謙(へりくだ)って素直な態度で人と接し、出しゃばったり驕ったりしない、そんな人やその様子を指す。
常に謙虚さを失うことなく、日々精進していきたいと思っています。