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『稲盛和夫一日一言』 11月1日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11月1日(水)は、「事業の大義名分」です。

ポイント:集団が心を一つに事業に邁進(まいしん)するためには、どうしても事業の「大義名分」となる次元の高い目的が必要となる。

 2022年発刊の『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著 日経BP/日本経済新聞出版)の中で、「事業にはなぜ大義名分が欠かせないのか」ということについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 どのような事業であろうと、高尚な事業の目的、大義名分が必要です。
 事実、従業員みんなが共感できる大義名分を立て、それをもとに経営することで、素晴らしい会社経営をされているという実例は多数あります。

 それは事業の長であっても同様です。自分が責任を持っている事業において立派な大義名分を立てる。それができていれば、部下は「素晴らしい目的のためにこの事業があるのなら、私は粉骨砕身、頑張ります」と言ってくれ、「この事業は社会のためにもなるし、自分の家族のためにもなる。私個人のためにもなる。そういうことなら頑張るしかない」となるのです。

 京セラでは、それぞれの事業部で、採算表を基に月々厳しい追及が行われています。しかし、それはただ利益が出ていないことを追及しているわけではありません。そこでは、大義名分のあるこの事業に投資をして、社会のために貢献しようとしているのに、赤字を出していては、社会のためにという事業の目的を達成できるわけがありませんから、赤字の原因を究明し、早急に採算を改善して利益が出るよう指導しているわけです。

 「こんなに意義のある仕事はない。この仕事に生きがいを感じている」と思われるなら、それにふさわしい大義名分を打ち立てることが必要です。

 大義名分とは「公」のものです。事業の目的が私的なもの、自分自身のためなら、内心忸怩(じくじ)たるものがあるでしょう。それが、自分のことはさておき、公のためになると、人間は張り切ることができます。また、チームのためになら力を出して頑張れるのが人間です。
 誰しも「公」「正義」「公平」「社会のため」となれば、自然と力が湧いてくるものなのです。
(要約)

 稲盛経営12カ条の第1条は、「事業の目的、意義を明確にする ー公明正大で大義名分のある高い目的を立てる」です。

 同著の冒頭、「大義名分が人を動かす」として、名誉会長は次のように述べられています。

 まずは、自分が行う事業の「目的」や「意義」を明確にすることが必要です。なかには、「金儲けをしたいから」とか「家族を養わなわなければならないから」という人もいるでしょうが、それだけでは多くの従業員を糾合(きゅうごう)するのは難しいはずです。

 やはり、事業の目的や意義は、なるべく次元の高いものであるべきです。言葉を換えると、公明正大な目的でなければならないはずです。
 従業員に懸命に働いてもらおうとするなら、そこには「大義名分」がなければなりません。「自分はこの崇高な目的のために働くのだ」という大義名分がなければ、人間というものは心から一生懸命にはなれないのです。

 会社の使命、ミッションを確立し、その共有を図ることで、従業員一人一人のモチベーションを高めていく。
 経営者は、全従業員が共有し、モチベーションを高められる、公明正大で大義名分のある立派な会社の目的、意義を確立することで、組織を活性化できる人でなければなりません。
(要約)

 経営者でなくても、また事業部長でなくても、集団を率いる立場にある者には、集団のみんなが使命感とやりがいを持って仕事に邁進できるよう、公明正大な「大義名分」を示さなければならない責務がある、ということではないでしょうか。
 自身の反省も含めて、事業に関わっている限り、決して忘れてはならないことのように思います。


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