『稲盛和夫一日一言』 9月22日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月22日(金)は、「現場を熟知する」です。
ポイント:社長は毎日現場に出て、現場の大ベテランとなり、社員からうるさがられるぐらいの存在にまでならなくてはいけない。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「現場主義に徹する」ことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
ものづくりの原点は製造現場にあります。営業の原点はお客様との接点です。何か問題が発生したとき、まず何よりもその現場に立ち戻ることが必要です。現場を離れて机上でいくら理論や理屈をこねまわしてみても、決して問題解決にはなりません。
よく「現場は宝の山である」と言われますが、現場には問題を解くための鍵となる生の情報が隠されています。絶えず現場に足を運ぶことによって、問題解決の糸口はもとより、生産性や品質の向上、新規受注などにつながる思わぬヒントを見つけ出すことができるようになります。
これは、製造や営業に限らず、すべての部門にあてはまることです。
例えば、企業での技術開発やものづくりには、経験則が不可欠です。理論だけではものはできません。経験則と理論がかみ合って初めて、素晴らしい技術開発やものづくりができるのです。
やはり、現場を見なければなりません。現場から学ぶことはたくさんあります。それはあらゆる業種、業務に共通して言えることです。
以前、弁護士の中坊公平さんにお目にかかったとき、「あなたは弁護士として素晴らしい仕事をされていますが、その秘密は何ですか」とお聞きしたことがあります。すると、中坊さんは「現場主義」と答えられました。
弁護士は机の上にある資料をもとに仕事をするものだと思っていたのですが、中坊さんが「私はすべて現場から教わります。現場には必ず解決の鍵があるのです」とおっしゃったのを聞いて、職種は違えども現場を重視するという姿勢は共通なのだと、改めて実感させられました。
毎日のように現場に出ていれば、現場で働いている人たちの言動から学んだり諭されたりします。現場から学ぶことはたくさんあるのです。(要約)
中坊公平さんは元日弁連会長で、「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」特別顧問などを務められる一方、森永ヒ素ミルク中毒事件や千日(せんにち)デパート火災の弁護団長、さらに豊田商事事件の破産管財人として長く尽力され、戦後日本を代表する弁護士、「平成の鬼平」と言われた方です。
その中坊さんが、2006年発刊の『現場に神宿る 千日デパート火災/被災テナントの戦い』(中坊公平+松和会著 現代人文社)の中で、次のように述べられています。
虚弱児に生まれ、落ちこぼれ組の一人として孤独と劣等感のなかで育ってきた私でしたが、それでも国立大学に入学し、司法試験に合格して弁護士となり、29歳で独立して事務所を持ちました。そして、生きる生活の智慧である現場主義、「現場に神宿る」を体得できたことで、たくましい人生を歩み始めました。
しかし、森永ヒ素ミルク中毒事件や千日デパート火災の弁護を担当したことで、世の中には自分とは比較にならないほどの不条理に泣いている人たちがたくさんいらっしゃるのだということに改めて気づき、弁護士という職業を通して、苦しんでいる仲間たちのために何かお役に立つことがあるのではないかと考えるようになりました。(要約)
事務所の机でパソコンと対峙している時間を極力減らし、無理やりにでも時間をつくって頻繁に現場に出ていくこと。京セラ在籍40年、その姿勢は私にも習い性となって沁みつき、今でも行動指針のひとつとなっています。
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