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『稲盛和夫一日一言』 6月26日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6月26日(水)は、「成功への秘訣」です。

ポイント:企業が成功するための特別な方法はない。経営者を中心に、社員全員が誰よりも一生懸命働くようになれば必ず成功できる。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)の中で、成功の鍵となるものについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 自ら大きな目標を設定すると、エネルギーをそこに集中させることができます。それが成功の鍵となります。
 目標がなければ、毎日がただ無為に過ぎていってしまいます。明るく大きな夢、目標を描いてこそ、想像もつかないような偉大なことが成し遂げられるのです。

 創業以来、京セラでは独自の技術を確立して世界のセラミックメーカーの技術的リーダーシップをとるため、個性を生かし、人の模倣ではない独創性を重んじてきました。なぜなら、独創性を発揮してはじめて、企業の発展があると信じてきたからです。

 最近では、ようやくファインセラミックスの技術を使ったさまざまな開発が進められるようになり、世間でも当社の技術力が認められるようになってきました。しかし、今でもまだよその真似をしているところがあります。ですから、私たちはこれからもますます独創性を発揮していかなければならないと思っています。

 創業当時、私たちにはわずかな才能しかなく、経験や技術はありませんでした。しかも、先発メーカーが群雄割拠するなかで会社を始めました。そんななか、私は「我々は、人間の能力は無限であると信じ、自分たちの可能性を飽くことなく追求していく」と言い続けてきました。

 「神様はどんな人にも等しく、素晴らしい無限の能力を与えてくれている」という前提のもと、「自分たちには無限の能力があるのだから、もっと素晴らしい展開ができるはずだ」と信じ、これまで夢中になって仕事に取り組んできました。
 ひたすら自らの可能性を信じ、それを追求した結果、先発メーカーを一社、また一社と追い越し、今日の京セラを築き上げることができたのです。
 もし、理性だけで物事を判断していれば、世界一はおろか、創業の地である京都の西ノ京原町の一番にもなれず、会社は早々につぶれていたかもしれません。

 私たちはあくまでも技術屋ですから、科学する心を持たなければなりません。これは合理主義、理性主義ということです。しかし一方で、人間性も追求していかなければなりません。つまり、人間性という、合理性や理性とは違う「心」を持たなければならないということです。

 「人間には無限の可能性がある」といっても、理性で考えれば「実際はそんなものあるわけがない」「そんなバカげたことを考えてもできるわけがない」とつい思って、自ら限界をつくってしまいます。

 「人間には無限の可能性がある」と信じるのは、理性ではなく「心」の働きによるのです。この「心」の部分が、合理性や理性といった領域を超えて会社を発展させてくれるのです。(要約)

 2008年発刊の『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫著 致知出版社)の中で、「成功に特別な方法はない」として、名誉会長は次のように説かれています。

 私は盛和塾で全国各地の企業経営者の方々とお会いし、いろいろな相談を受けますが、その多くは「どうしたら京セラやKDDIのように成功できるのですか」というものです。彼らは、何か成功する秘訣があるのではないかと思っているのです。

 それに対して私は、「成功するための特別な方法はありません。あなたを中心に、社員全員が誰よりも一生懸命働くようになれば、必ず成功できるのです」と答えています。

 自分の会社の置かれた状況が悪ければ悪いほど、その中で成功しようとすれば、リーダーを中心に社員全員が誰よりも勤勉に、一生懸命働く以外、方法はありません。神様が「あの会社の社員はあれほどの努力をしているのだから、助けてあげよう」と思うほどの努力をしなければならないのです。

 しかし、社員みんなが自ら進んで一生懸命働こうとする雰囲気は並大抵のことではつくれません。そうなるためには、経営者自身が成功への燃えるような情熱を持ち、先頭を切って誰にも負けない努力を続けると同時に、私心を無くして自らの人格を高め、社員から信頼され尊敬されるようにならなくてはならないのです。(要約)

 「誰にも負けない努力」
 これは、京セラ入社以来ことあるごとに口にしたり、心に強く意識してきた言葉なのですが、これほど「言うは易く行うは難し」の代表のようなものはない、と私は思っています。
 
 仮に、目いっぱい頑張って「誰にも負けない」ような場を創り出すことができたとしても、それが「火事場の馬鹿力」的な瞬間風速であれば、その作用効果は限定的なものに終わってしまいます。
 個人でもそうなのですから、それを組織やチームの全員でやり続けるということがどれだけ難しいことかは想像に難くありません。

 後々振り返ってみてそうだったということでも一向に構わないので、残りの人生においても、そうした瞬間を持ち続けられる自分でありたいと願っています。


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