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『稲盛和夫一日一言』 1月4日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月4日(木)は、「反省と努力」です。

ポイント:反省があるから、また努力しようと心がけることができる。人生においては、そうした反省と努力の繰り返しが大切。

 月刊『致知』2003年7月号【巻頭の言葉】「反省ある日々をおくる」の中で、反省と不断の努力の大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は洗面をするときに、猛烈な自省の念が湧き起こってくることがあります。例えば、前日の言動が自分勝手で納得できないときに、「けしからん」とか「バカモンが!」などと、鏡に映る自分自身を責め立てる言葉がつい口をついて出てくるのです。

 最近では、朝の洗面時だけでなく、宴席帰りの夜などにも、自宅やホテルの部屋に戻り、寝ようとするときに、思わず「神様、ごめん!」という「反省」の言葉が自分の口から飛び出してきます。

 「ごめん」とは、自分の態度を謝罪したいという素直な気持ちとともに、至らない自分の許しを創造主に請いたいという、私の思いを表しています。一人になったときに、思わず口をついて出てくるこの言葉が、私を戒めてくれているのではないかと思うのです。

 そのことを私は、自分自身の「良心」が、利己的な自分を責め立てているのだと理解しています。
 人間は、理性を使って利他的な見地から常に判断ができれば、いつも正しい行動がとれるはずです。しかし実際にはそうなっていません。往々にして、生まれながらに持っている、自分だけよければいいという利己的な心で判断し行動してしまうものです。

 それは、例えば自分の肉体を維持するために、他の存在を押しのけてでも自分だけが食物を独占しようとするような貪欲な心のことですが、そのような利己的な心は、自己保存のために天が生物に与えてくれた本能ですから、完全に払拭することはできません。だからといって、この本能にもとづく利己的な心をそのまま放置しておけば、人間は人生や経営において、欲望のおもむくままに、悪しき行為に走りかねません。

 「反省」をするということは、そのように、ともすれば利己で満たされがちな心を浄化しようとすることです。私は「反省」を繰り返すことで自らを戒め、利己的な思いを少しでも抑えることができれば、心の中には、人間が本来持っているはずの美しい「利他」の心が現れてくると考えています。

 仏教で「一人一人に仏が宿っている」と教えるように、人間の本性とはもともと美しいものです。人間は、「反省」をすることで、この本来持っている、美しい心を開花させることができるのです。

 ただこの「反省」は、一度すればいいというものではありません。繰り返し行うことが不可欠です。なぜなら、「反省」を繰り返さなければ変わることができないほど、人間は頑迷固陋(がんめいころう)な存在でもあるからです。私にとっても、毎日「反省」をするということは、最初は理屈で考え行っていたものが、次第に習い性になってきたものと思っています。

 このような習慣を持つことは、禅寺で修行をするのと同じような効果があるのではないでしょうか。「反省」を重ね、心を純粋にする努力を不断に続けることによって、次第に高い精神性を身につけることができると思うのです。

 私自身を含め、人間は誰しも完璧ではあり得ず、ときに間違いを引き起こしてしまいます。しかし、そのたびに素直に「反省」し、再び同じ誤りをしないように懸命に努めていく、その日々の繰り返しが、少しずつ人間性を高めてくれるのではないでしょうか。

 私は、そのような「反省ある日々」を通じて勝ち得た「人格」こそが、最も堅固であるばかりか、何にも増して気高いものであり、それこそがわれわれをして、素晴らしい人生へと導いてくれるものであると固く信じています。(要約)

 今日の一言には、「ほとんどの人は、心の大切さに気づかず、心を立派にしようなどということに関心を持たない。まずは、心を高めなければならない、心を美しくしなければならない、と思わなければならない。そうしても、われわれは煩悩(ぼんのう)、欲にまみれた人間であるから、なかなかそうはなれない。なれないけれども、『ならなければならない』と思い、反省することが大切である」とあります。

 毎日の生活の中で、「自分の心を高めよう」と思う瞬間がどれほどあるでしょうか。ほとんどの人は「そんなこと、思ったことも考えたこともないよ。聞いてどうするの?」といった反応をするでしょう。

 だからこそ、自分の言動を戒める、厳しく自省することが必要になります。反省があるからこそ、今度は反省しないで済むようにさらに努力しようという気力が湧いてくるはずです。
 生涯を通じて「反省と努力」というサイクルを回し続けることで、知らず知らずのうちに自らの心も高まっていくのではないでしょうか。


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