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『稲盛和夫一日一言』 7/27(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/27(木)は、「欲望から感謝へ」です。

ポイント:今あることに感謝の心を持つ。欲望から感謝へ。世の中には、そのような心の転換が必要なのではないか。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の「六つの精進ー4」の項で、今生きていることに感謝することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人生に悩みを持っている人はたくさんいます。ある人は病弱であったり、または不幸続きであったり、あるいは生活が苦しかったりします。しかし、生きていること、そのことだけでも感謝をすることが大切です。

 人は決して自分一人では生きていけません。空気や水、食料、また家族や周囲の人たち、さらには社会など、自分を取り巻くあらゆるものに支えられて生きているのです。

 そう考えた場合、そこに自然と感謝の心が出てこなければなりません。
 感謝の心が生まれてくれば、人生に対する幸せを感じられるようになります。生きていることに感謝し、幸せを感じる心によって、人生を豊かで潤いのある素晴らしいものに変えていくことができるのです。

 感謝をするということは他人に対してよいだけでなく、自分自身にもよきことをもたらしてくれます。嘘でもいいから、「ありがたいことだ」と生きていることに感謝すべきです。いろいろな不幸が続き、いろいろと問題はあるが、こうしてまだ生きている。それだけでもありがたいことだと思って感謝をするということが、たいへん大事なのです。

 苦境の中にあってさえも感謝をし、喜び、お祝いをする。この世の中で素晴らしい人生を生き抜いてこられた方々は、ほとんどが感謝をして生きていらっしゃいます。そして感謝して生きていらっしゃる方々は、明るい顔をしています。決してうっとうしい顔はしていません。

 心は顔に表れます。感謝の心が出たときには、必ず表情、人相が明るくなります。感謝の心で生きている人は、必ず明るくてよい顔をし、自分も周囲も幸せにしているはずです。「感謝をする」ということを大事にして、笑顔で過ごしていきたいものです。(要約)

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、感謝の心を持つことの大切さについて、名誉会長は次のように説かれています。

 困難があれば、成長させてくれる機会を与えてくれてありがとうと感謝し、幸運に恵まれたなら、なおさらありがたい、もったいないと感謝する。
 少なくともそう思えるような感謝の受け皿を、いつも意識的に自分の心に用意しておくことが大切です。

 物質的なものだけを追求して、いくら獲得しても飽くことを知らない人たちがいる一方、ミニマリストのように、身の回りの物が少なくても「足るを知る」を実践しているような生活をよしとする人たちがいるのもまた事実です。

 そう考えると、常に満たされない気持ちを払拭できずに欲望のままに生きていくのか、はたまた今あるもの、今生きていることに感謝しながら満ち足りた気持ちで生きていくのか、どちらを選択するかは、あくまでもその人の心の満足度の程度ということになります。

 欲望や煩悩(ぼんのう)というものは、人間が生存していくためのエネルギーでもありますから、それをいちがいに否定することはできません。しかし、それは同時に、人間を絶えず苦しめ、人生を台無しにしてしまいかねない猛毒でもあります。

 できるだけ欲を離れて感謝の心を持つ。それには、不平不満を持って生きていくのではなく、現状あるがままを、あるがままに感謝すること。
 そのためにも、「今自分は生きているんだ」ということを強く意識してみることが大事なのではないでしょうか。


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