『稲盛和夫一日一言』 1月21日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月21日(日)は、「仕事を好きになる」です。
ポイント:自分の仕事を好きになるということ。その一事で人生は決まってしまうと言っても過言ではない。
2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)「2章 仕事を好きになるように働く」の中で、仕事の中に喜びを見い出すことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
人間は、好きな仕事ならば、どんな苦労も厭(いと)いません。そして、どんな苦労も厭わず、努力を続けることができれば、たいていのことは成功するはずです。つまり、自分の仕事を好きになるということ、その一事で人生は決まってしまうと言っても過言ではありません。
充実した人生を送るには、「好きな仕事をするか」「仕事を好きになるか」のどちらかしかありません。しかし、好きなことを自分の仕事にできる人は、そう多くはないでしょう。
また、希望する会社に入社することができたとしても、希望する職場に配属され、希望する仕事、職務に就ける人も、そんなにはいないはずです。
そう考えると、大半の人は、社会人としての門出を「好きでもない仕事」に就くことからスタートしていることになります。
しかしもっと問題なのは、多くの人が、その「好きでもない仕事」に不承不承、従事し続けているということです。
与えられた仕事に不平不満を持ち続け、愚痴や文句ばかり言っているようでは、素晴らしい可能性を秘めた自分の人生を、あたらムダにしているようなものです。
私は若い人たちに、「自分の好きな仕事を求めるよりも、与えられた仕事を好きになることから始めよ」と説いてきました。
自分の好きな仕事を求めて生きていくのは「青い鳥」を探しているようなものです。いつまでもそうした幻想を追いかけるよりも、目の前にある仕事を好きになることです。なぜなら、「仕事をやらされている」という意識を払拭できないかぎり、働くことの「苦しみ」から逃れることはできないからです。
仕事を好きになれば、どんな苦労も厭わず、努力を努力と思わず打ち込めるようになります。打ち込めるようになれば、おのずと力がついてきます。力がついてくれば、必ず成果が生まれます。成果が出てくれば、周囲から評価されるようになります。そして評価されれば、さらに仕事が好きになっていくでしょう。そうして、好循環が始まるのです。
しかし、「仕事を好きになる」「仕事を楽しむ」と言っても、あたかも修行僧が荒行(あらぎょう)をするかのような、苦しいことばかりでは長続きするはずがありません。やはり、仕事の中に喜びを見い出すことも必要です。
私の場合は、研究がうまくいくとそれを素直に喜び、人から成果を褒められると率直に感激し、そうしたうれしさを糧に、さらに仕事に打ち込んでいきました。
ぜひ、仕事の中で生まれたささやかな成果に喜びを感じ、感動する心を持って、素直に生きていただきたいと思います。
そうした小さな感動から湧き上がってくるエネルギーを糧に、さらに懸命に働き続ける。それこそが、長丁場の人生を強く生きていく最良の方法だと、私は確信しています。(要約)
私の場合、希望する会社には入社できませんでしたが、希望した「研究開発」という職務を与えられたことで、自分の仕事を嫌いになることなく、順調に社会人生活をスタートすることができたと思っています。
しかし50歳を目前に、京セラフィロソフィの継承・啓蒙を担当する経営研究部という部署への異動を打診されたときは、「長年エンジニアとして仕事をしてきた自分が、何でいまさら間接部門の、しかも経験もスキルもない分野で仕事をしなければならないのか」と割り切れない気持ちになりました。
結果として、その後定年までの10年間は、私の人生においてかけがえのない期間となり、私は今なお京セラフィロソフィの伝道者の端くれとして、こうして発信を続ける毎日を過ごしているわけです。
仕事に限らず、「人は好きなことならば、どんな苦労も厭わず、努力を続けることができる」というのは、まぎれもない真実だと思います。
目の前のやりたくないことに対して、「好きになれば、何かしらいいことが起こるかもしれない」といったかすかな期待を持って、まずは動き始めてみようではありませんか!