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『稲盛和夫一日一言』 11月6日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11月6日(月)は、「物事の本質に立脚する」です。

ポイント:未踏の領域で成功していくには、その場限りの判断をせず、常に原点を見すえ、物事の本質に立脚した判断を繰り返していくことが大事。

 1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす ー素晴らしい人生をおくるためにー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の「原点を見失わない」という項で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 山登りをしていて、ガスに包まれ視界ゼロという状況で、分岐点に行き当たるたびに進路を判断していては、ルートを見失って遭難してしまいます。このようなときは、再度ベースキャンプに戻ってやり直すことがいいといわれます。

 このような新しい領域では、何度も壁に当たり、行き詰まることを経験します。そのような局面では、当面の問題点の克服だけに終始してしまい、何とかクリアできたとしても、目標に対して若干のズレが生じることがあります。そして、何度もこの当面の解決を行ううちに、いつのまにか当初の目標からは大きく逸脱してしまうのです。

 本人はいくつもの障害を越え、「よくやった」と自らを慰め、「まあ、このくらいでいいだろう」と満足しているのですが、結果は成功とはほど遠いものになってしまっているのです。

 その場限りの判断をし、原点に立ち返らないために、このような結果を生むのです。原点を見すえ、物事の本質に立脚した判断こそが、未踏の領域で成功をもたらすのです。(要約)

 京セラフィロソフィには、「迷った時には原点に返る」という項があります。今日の一言と深くリンクする内容なので、以下紹介します。

 「人間として正しいことを貫く」という原理原則に基づいた、確固たる判断基準を持っていても、時と場合によっては、明確な判断をしにくい問題に遭遇し、誤った判断を下してしまうことがあります。

 そのときには、自分では正しい判断をしたと考えているのですが、結果として誤った判断をすることにより、当初の目標から大きく逸脱してしまうことがあるものです。
 登山に例えれば、霧で道がわからなくなったときに、分岐点ごとに確信が持てないままに間違った判断を下しては、頂上に到達できず遭難してしまう恐れがあるわけです。

 「迷ったら元の分岐点に戻る」が登山の鉄則であるように、不安に思ったら勇気を持って原点に返り、正しく判断し直すことが大切です。(要約)

 この項の紐解き解説で、名誉会長は次のように説かれています。

 「どうも判断を誤ったのではないか」と思ったときには、原点に返ることが必要です。強引に押し切ってはいけません。
 経営の判断だけでなく、技術開発、さらには経理、総務など、あらゆる仕事において、「迷ったら原点に返る」こと。誤った判断を正さなければ、会社の存続にも影響するくらい重大なことになるのだと、心していかなければなりません。(要約)

 何か事を成そうとするとき、とにかくがむしゃらに、強引に力ずくで達成しようとする人がいます。一方、あれこれ思案を巡らすだけでなかなか目の前の一歩を踏み出せず、下を向いて、いじいじしている人もいるでしょう。

 未踏の領域にチャレンジしようとする際には、昨今のAI将棋ソフトのように、次に指すべき一手の是非を確率で明確に示してくれるような便利なものはいまだ存在していません。
 かと言って、ひと昔前のように、根性とトライアンドエラーだけの体育会系的なアプローチで攻め込んでいけば、遠からず玉砕してしまうのは目に見えています。

 京セラでは、まずは「高い目標」を掲げ、次に「カラーで鮮明に見えてくる」まで考え抜いたら、しっかりと「山の頂上(ゴール)」を見すえつつ、「すさまじい集中力」を持って目の前の課題に取り組み、それでも「迷った時には原点に返り」つつ、「成功するまで諦めない」という強い気持ちを持って目標達成に至るまで粘って粘って粘り抜く、そうした姿勢を貫くことが今なお求められています。

 そのベースには、「思いは必ず実現する」、物事を成功に導こうとするなら、強い「思い」を持たなければならない、という名誉会長の信念が反映されているのではないでしょうか。


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