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『稲盛和夫一日一言』2/13(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2/13(月)は、「もっといいやり方はないか ①」です。

ポイント:どんなに小さなことにも、工夫改良の気持ちを持って取り組んだ人とそうでない人とでは、長い目で見ると驚くほどの差がついている。工夫の余地は無数にある。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「創造的な仕事をする」の項で、改良改善を続けることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 わずかな改良改善を続ける。これは私が京セラを初めてから今日までやってきたことを表現しています。創業当初は技術レベルも低く、当然ながら企業規模も小さかったのですが、今では二兆円の連結売上となる企業グループに成長しています。
 
 では、元々私にそのような創造性が備わっていたのかというと、そうではありません。今日我々が手がけている事業の中で、私自身が技術的によく分かっている分野は限られており、ほとんどは社員の技術力、また努力の結果なのです。

 私は技術系の出身であるせいか、「同じことを繰り返す」ということが性に合いません。そのため、「昨日よりは今日、今日よりは明日、明日よりは明後日」と、毎日工夫を積み重ねていく努力を怠らぬよう、常に心がけてきました。

 科学する心と言いますか、「なぜこうなるのだろう」「もっといい方法はないだろうか」と、あらゆることに疑問を投げかけ、また自分で考え、工夫しようとしてきました。そういう目で見れば、雑用ひとつとっても、そこに工夫の余地は無数にあるものです。
(要約)

 「改善」の英語は”improvement”ですが、そのまま“kaizen”と訳されるほど海外では認知されるようになっています。トヨタでは、2001年に発表された「トヨタウェイ」に「知恵と改善」というキーワードで明記されており、今でも経営の根幹に据えられています。

 そこには、豊田家の「お金をかけずに知恵を出せ」という家訓が生きており、「改善は知恵とお金の総和である」、つまり無限の可能性を持っている人間の力を最大限に活かすため、全員で知恵を絞って常によりよい方向に進んでいこう、との思いが込められています。

 「改良改善の延長線上に革新(イノベーション)はあるのか」という命題については議論の分かれるところですが、京セラでは「昨日よりは今日、今日よりは明日」という言葉からも分かるように、創意、工夫、改良、改善といった言葉は少しでも前に進もうとするための思考、行為として、あまり区別されることもなく日常的に使われています。

 2022年発刊の『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(藤尾秀昭監修 致知出版社)の2月13日の欄に、70歳のときに東京タワーの設計を担当され、「耐震構造の父」と称される、建築家 内藤多仲(たちゅう)さんが晩年にしたためられた揮毫(きごう)が紹介されています。

 「積み重ね  つみ重ねても  またつみかさね」

 そこには、改善か革新かといった言葉の上での定義を超えて、「もっといいやり方はないのか」「もっとよいものをつくりたい」という疑問や思いを生涯持ち続けられた内藤さんの生き方が凝縮されているように思えてなりません。習い性にすべき心がけのひとつではないでしょうか。


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