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『稲盛和夫一日一言』10/6(木)

こんにちは!
『稲盛和夫一日一言』 10/6(木)は、「人事の要諦」です。

ポイント:人事は公明正大、公平を旨とすること。そこに私心をはさむことがあってはならない。

2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「経営のこころ」の章で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

会社は利益をあげなければ成り立ちません。利益をあげることは恥ずべきことでもなければ人の道に反したことでもありません。公明正大に事業を行い、正しい利益を追求し、社会に貢献していくのが京セラの経営です。どのような環境であれ、世間一般の道徳に反しないよう、道理に照らして判断を下さなければなりません。「人間として何が正しいか」という原理原則にしたがって判断することが大切です。(一部要約)

創業以来、京セラでは「透明な経営」が行われてきました。それは稲盛名誉会長が、心をベースにした経営、つまり社員との信頼関係に基づいた経営を進めていくためには会社の置かれている状況を包み隠さず社員に伝える必要があると感じられたからです。同時に、株式上場以降は一般投資家の方々からの信頼を得ることも大切だと考え、ディスクロージャーを徹底されてきました。それが経営を衆人環視の下に置くことにもなるからです。

こうした「透明な経営」の考え方は人事面にも反映されています。人種も違えば言葉も違う京セラグループの全従業員が、公明正大な態度で正しいことを正しく貫いていくのは至難の業です。各自の努力に任せるだけでは、不正が起こってしまうような脆弱な組織にもなりかねません。

それを防ぐためには、まずはグループ内の全リーダーが「公明正大に利益を追求する」「フェアプレイ精神を貫く」ということを率先垂範し、組織全体にそうした風土を浸透させることが必要です。それは人事においてもしかりです。

人はとかく、自分の利益となるほうに偏った判断をしてしまいがちですが、「私心」が真っ先に出てしまうと、周囲の協力が得られず、仕事はスムーズに進まなくなります。そうなってしまえば、組織全体のモラルが低下し成果も出なくなってしまいます。

誰がみても納得できる人事を行うことは容易なことではありませんが、少なくともそこには私心をはさむ余地などありません。「私心のない判断を行う」ということは、自分というものを無きものとして考える、極端に言えば、自分を犠牲にして物事を考えるということです。

私も責任者(=アメーバリーダー)になって初めて人事考課という業務を経験しました。全社共通の人事考課システムに従って各メンバーの評価を行うのですが、すべての業務を数値化することは不可能ですから、どうしても自分の感情に左右される余地が残ります。そうしたときに問われるのが、リーダー自身の人間性、人格です。「人間として正しいか、私心を差しはさんではいないか」、常に自問自答しながらより間違いの少ない判断を行うことが求められます。

組織改編などの場合もしかりです。よく「組織はつくった瞬間から腐り始める」などと言われますが、そこに私心が入ってしまえば、変えること自体が即改悪につながりかねません。何事であれ「公明正大、公正を旨とする」、「後ろ暗さのない」判断を心掛けていきたいものです。


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