『稲盛和夫一日一言』 6/2(金)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/2(金)は、「できない理由」です。
ポイント:できない理由を並べ立てているようでは、新しい事業を成し遂げることはできない。まずは何もないことを前提として、目標を達成するために必要なものをどう調達するかを考えてなくてはならない。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「できる」と無邪気に信じることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
新しいことを成し遂げるには、まず「こうありたい」という夢と希望をもって、超楽観的に目標を設定することが何よりも大切です。
私は創業当時から、「次はこういう仕事をしてみたい」「こういうマーケットに参入してみたい」などと、常に考えをめぐらせてきました。
そして、今までに経験したことのない、難しそうなアイデアが浮かんでくると、幹部社員を集めては「どうだろうか」と意見を聞いていたのです。
ところが、私がいくら情熱を込めて話をしても、彼らは必ずと言っていいくらい、冷ややかに聞いているわけです。「また身の程知らずなことを。資金も技術もないのに、うちの社長はとんでもないことばかり言い出して困ったものだ」という顔で見ている。
おとなしく聞いているから、分かってくれたのかなと思っていたら、突然「さっきから黙って聞いていましたが、それがいかに無謀なことか、社長はご存知ないのではありませんか。そもそも、そういうことは法律で禁止されていますから、やることはできません」などと言い出したりするわけです。
こっちは法律などろくに調べもせずに、ただ自分がやりたいと思ったことを話しているわけですから、そう言われて愕然(がくぜん)となります。結局、それ以上話が進まなくなってしまうことがよくありました。
私はある講演会で次のように話したことがあります。
「賢い人間ばかりでは、革新的なことはできないでしょう。なぜなら、それがどのくらい難しいかということを頭で先に考えてしまって、結局取りかかることができないからです。どんなことでも、やってみないことにはそもそも成功などあり得ない。成功するにしても失敗するにしても、まずは着手しなければ何も始まらないのです」
ますは「やれる」と信じて、難しいことは考えずに、超楽観的にとらえることが大事なのです。(要約)
今日の一言には、「(実際に事業に着手したら、)何もないことを前提として、目標を達成するために必要な人材や設備、技術をどう調達するかを考えなくてはならない」と、信じて踏み出した次のステップに臨む際の心構えについて書かれています。
できない理由を並べ立てて、新しいことにチャレンジしないように仕向ける。実際に事業や業務を遂行する際には、冷静な判断力を持っていて、勢いだけに任せて走り出そうとする組織全体にブレーキをかける、そうした人材も必要なのでしょう。しかし、ブレーキばかり踏んでいては、その組織にダイナミズムは生まれてきません。
できない理由を並べ立てることができる能力があるのであれば、一つでも二つでもいいから、同時にできる理由も考えてみる。何も、役割分担や向き不向きといったものを考える必要はありません。
自らの内に、「できる」と無邪気に信じる心を持つこと。まずは、人間には無限の可能性が与えられているということを信じ、「必ずできる」と自らに言い聞かせて、自らを奮い立たせることが大切なのです。