『稲盛和夫一日一言』12/19(月)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12/19(月)は、「強欲企業の限界」です。
ポイント:自社の利益だけを最大にしようとする経営が成功し続けることはあり得ない。
2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)「自利と利他」の項で、真の商いのあり方について稲盛名誉会長は次のように述べられています。
事業は「自利・利他」の関係でなければなりません。「自利・利他」とは、自分が利益を得たいと思ってとる行動や行為は、同時に他人、相手側の利益にもつながっていなければならないということです。自分が儲かれば相手も儲かる、それが真の商いなのです。
自利、利他の精神がなければ、たとえ短期的には成功することがあっても、長続きはしません。必ず軋轢(あつれき)が起こってうまくいかなくなってしまうものなのです。
常に相手にも利益が得られるように考えること、利他の心、思いやりの心を持って事業を行うことが必要です。(一部抜粋)
こうした考え方には、江戸時代に京都で商人道を説いた石田梅岩(ばいがん)の「まことの商人は、先も立ち、我も立つことを思うなり」という教えや、滋賀県の近江商人の間で昔から語り継がれてきた「三方よし」、つまり、「買い手よし」、「売り手よし」、「世間よし」という、商売をするものなら誰しも大切にしなければならない、といった教えが反映されています。
競合が群雄割拠し、弱肉強食がまかり通る資本主義社会では、適者生存の原理に従って、社会に適応できる企業だけが生き残って繁栄し、適応できない企業は世の中から淘汰されてしまうことになります。
そうした環境下で、利己の塊、つまりエゴだけで経営していれば、その思いが強ければ強いほど短期的には成功もしますが、決してそれが長続きすることはありません。利己的な欲望を際限なく募らせていけば、やがて失敗し、没落を遂げていくことになります。
一方、相手によかれかしと願う利他の心に基づく経営をしていけば、周囲の協力も得られ、長く繁栄を続けていくことができるでしょう。
今日の一言では、「もっと儲けよう」という自社の利益だけを最大にしようとする経営が成功し続けることはあり得ない、と言われています。
これは組織や人間関係においても当てはまることではないでしょうか。
例えば、「オレがオレが」というリーダーに引きずられて一旦は行動を共にしたけれども、誰も長続きしなくて、やがて組織自体が消滅してしまった。
一方、「みんなのために、組織のために」と無私の心で頑張ってくれるリーダーには、誰もが「あの人ならついていこう」「あの人をサポートしたい」という気持ちで行動を共にし、それがさらに大きな渦を巻き起こして、最終的には、それに関わった人はもちろんのこと、その周囲にまでハッピーをもたらした、そうした経験に心当たりはありませんか?
望ましくは、我欲に任せた行動を起こす前に、できなかったとしてもその行動が一段落してちょっとスローダウンしたときに、「自利・利他」という基準で我が身を振り返れるだけの修練を積んでおきたいものです。