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メタルエッセイ:寂しがり屋の暴君〜W・アクセル・ローズの本音

ガンズ・アンド・ローゼズ(以下ガンズ)にオリジナルメンバーであるスラッシュとダフが復帰してしばらく経つ。

しかし今も、自分の中ではガンズ復活!という感じがしない。

それは多分、復帰メンバーの中にイジー・ストラドリンがいなかったからだろう。

イジーはガンズの元ギタリストで、バンドのメイン作曲者だった人物だ。

シンプルなロックン・ロールをこよなく愛するイジーは、バンドが急速に巨大化/ビジネス化していくことにモチベーションを失い、人気絶頂だった1991年にバンドを去った。

また、イジーはヴォーカリストのW・アクセル・ローズの幼馴染で、一番の理解者でもあった(恐らく、今でも)。

幼い頃に受けた虐待などの影響で精神的に不安定だったアクセルに、イジーは少年の頃からいつも寄り添い、理解を示し、二人で悪さをし、バンドを組み、山のように曲を書き、ついには成功を掴んだ。

それだけに、イジーがバンドを辞める時にアクセルは誰よりも反対し、怒りをあらわにした。

脱退理由の一つに「アクセルの気まぐれで何時間も観客を待たせる日がどんどん増えていったことに耐えられなくなった」ということもあったのだが、我を忘れて怒り狂うアクセルは聞く耳を持たない。
バンドに残るよう数時間に渡ってイジーを説得し慰留しようとしたのも、他ならぬアクセルだった。

イジーは「バンドのメンバーには戻れないが、作曲やツアーのことで困ったらいつでも呼んでくれ」と説明したが、アクセルの気持ちは収まらなかった。

「イジーは裏切り者だ。俺たちを裏切ったんだ」

アクセルはライブやインタビューでイジーを罵倒する発言を繰り返した。イジーの脱退以降は誰もアクセルの暴走を止められなくなり、作曲のペースも極端に落ちていく。

もう一人のギタリストであるスラッシュも優れたミュージシャンだが、性格的にクセが非常に強いアクセルと共作するのは至難の業だったのだろうし、アクセルも“イジー的な何か”を依然として求めていた。

イジー脱退後アクセルは、ことあるごとに「イジーが必要だ」と言っていたと当時のメンバーが証言をしていることからも、それを推察することができる。

一方、イジーもインタビューで「アクセルから助けを請われれば、いつでも行く。あいつは頑固だから、直接言ってくることはないだろうけどね」と語るようになった。

そのことをアクセルは知ってか知らずか、マネージャーを通じて(←ほんとに頑固)何度かイジーにライブの助っ人を頼んでいる。

そしてイジーもアクセルの呼びかけに応じ、何度かライブに参加している。今もって、二人の友情は確かに存在しているのである。

あの復帰劇にイジーが応じなかったのは、やはり巨大なビジネスに巻き込まれるのが嫌だったからと推測されるが、やっぱりアクセルの隣にはイジーがいてほしいと思う。

寂しがり屋の暴君、W・アクセル・ローズも本当はそう思っているのではないか。イジーの横で、イジーが書いた新しいガンズの曲を歌いたいと。

頑固者だから、絶対直接口にしないだろうけど。

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