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メタルエッセイ︰夏に輝くオリオン座

https://youtu.be/TydZ4NAXMic?feature=shared 今年もサマソニの日がやってきた。 サマソニの開催日が来るたびに、私は2013年のサマソニでメタリカを観たことを思い出す。 “Orion”の演奏の出だし、ヴォーカルのジェイムズは星のない曇った夜空を見続けていた。 彼は何を見ていたのだろうか。 【主な登場人物】 ジェイムズ・ヘットフィールド (タイトル写真左) メタリカのヴォーカリスト&リズムギタリスト。ステージにおけるカリスマ性、扇動

    • パリオリンピックに思う〜美しき失敗:パティ・スミス

      https://youtu.be/941PHEJHCwU?feature=shared パリオリンピックが閉会した。 たくさんのドラマがあった。 素晴らしかったこともあれば、悲しかったことも。 とりわけ、ミスをした選手に対する誹謗中傷が今回も起きたことは大変悲しいことだった。 人は誰でもつまづく。 血の滲むような努力で鍛えに鍛えたアスリートでさえも。 でも人は、そこから立ち上がることが出来る。 それを明確な形で証明したミュージシャンがいる。 ボブ・ディランのノーベル

      • メタルエッセイ︰準備をしていた人

        「いまブレイクしているAKBのメンバーは、機会に恵まれない時でも自分の何かを一生懸命磨いて準備をしていた人たちだ」  ずいぶん前のことになるが、AKB48の全盛期に秋元康がそんなニュアンスのことを言っていた。メディアに出てこない、“その他大勢”のメンバー達に向けた言葉だったと思う。 ここで、KISSという大物ハードロックバンドの最終ラインナップに名を連ねていたトミー・セイヤーというギタリストの話をしたい。 KISSは、正式には既に活動を終えたバンドなのだが、今も昔もロッ

        • メタルエッセイ:寂しがり屋の暴君〜W・アクセル・ローズの本音

          ガンズ・アンド・ローゼズ(以下ガンズ)にオリジナルメンバーであるスラッシュとダフが復帰してしばらく経つ。 しかし今も、自分の中ではガンズ復活!という感じがしない。 それは多分、復帰メンバーの中にイジー・ストラドリンがいなかったからだろう。 イジーはガンズの元ギタリストで、バンドのメイン作曲者だった人物だ。 シンプルなロックン・ロールをこよなく愛するイジーは、バンドが急速に巨大化/ビジネス化していくことにモチベーションを失い、人気絶頂だった1991年にバンドを去った。

          カフカ:僕が一番うまくできるのは、◯◯◯◯◯でいることです

          「目標を掲げ、達成しよう!」 「自己の行動を変えよう!」 「物事をプラスにとらえよう!」 といったことを会社の研修などで何度も聞いてきた。聞くたびに、そうだよねと思う。 でも一方で、フランツ・カフカがラブレターに書いたというこの一文にも非常に心惹かれる。 「将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。将来に向かってつまづくこと、これはできます。一番うまくできるのは、倒れたままでいることです」 本当にそうだったのかは別にして、やっぱりカフカすげえなと。ラブレターに書い

          カフカ:僕が一番うまくできるのは、◯◯◯◯◯でいることです

          哀愁のポップコーン(「ペンゴ」BGM)

          セガのレトロゲーム「ペンゴ」の曲が大好きだ。 一度聴いたら脳内でいつまでも回り続けるキャッチーなメロディ。 でも何度聴いても飽きない。 この曲を聴くたびに、私は小さい頃によく行った駄菓子屋ゲーセンを思い出す。 野球帽をかぶったおじいさまが、その「ペンゴ」の曲をピアノで弾いている短い動画がある。 海外でもペンゴは有名なんだなあ、このおじいさまもペンゴが好きなんだろうなあと感心していたら、全く違った。 実は、この動画でピアノを弾いているおじいさまこそ、この曲(正式名称は“ポ

          哀愁のポップコーン(「ペンゴ」BGM)

          思いがけぬ再会:当世 悪魔の辞典

          自由な時間をもらうと、私は高い確率で古本屋街に行く。今日もそうしている。 とある本を探しに入った古本屋。 眼の前にある本の山に何気なく手を置くと、そこには別役実の「当世 悪魔の辞典」が置いてあった。これ、大学の時に読んだことがある。社会人になる時に、まさにこのあたりのどこかの古本屋で売ってしまったのだけれども。 久しぶりだな、待ってたぜ。 さあ買い直してくれ、今のあんたに必要だから。 と、本に言われているような気がして思わず買ってしまった。古本なので、500円。 本

          思いがけぬ再会:当世 悪魔の辞典

          メタルエッセイ:カーク・ハメット(メタリカ)と木根尚登(TMN)と金八先生(3年B組)

          3年B組の金八先生は、その最後の授業でこう言っていた。 「偉くならなくてもいい、感じのいい人になってください」 というわけで、とても感じのいいギタリストを二人紹介したい。 現在、この世で最も巨大なヘヴィメタルバンドであるメタリカには、カーク・ハメットというギタリストがいる。  天才的なギタリストだが素行が悪かったデイヴ・ムステインという人物の後任として、1983年にメタリカに加入して以来40年間リードギタリストの役目を務めている。 正直、カークのリードギタリストとし

          メタルエッセイ:カーク・ハメット(メタリカ)と木根尚登(TMN)と金八先生(3年B組)

          SNSは欲望を育てる

          私は、X(旧twitter)のアカウントは持っていても読むだけで、殆ど投稿はしていませんでした。 しかしある時、自分が参加したイベントや読んだマンガや遊んだゲームのことを呟いたら少しだけ反応があって、それが楽しくて投稿をするようになりました。 Xは「インプレッション数」という、自分の投稿が他人のタイムラインを流れた数が表示される機能があります。要するに、自分の投稿が他の人の目に入った回数のようなものです。 自分はフォロワーの数も少ない(増やし方がよく分からない)ので、イ

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          人智を超えたヴォーカリスト:人見元基

          https://www.youtube.com/watch?v=cHyulMUXBE8 人見元基氏(‟ひとみげんき“と読む。以下、敬称略)という人智を超えたヴォーカリストの話をしたい。かつて日本にVOWWOWというバンドがあった。メンバーはいずれも凄腕であり、常に高品質のアルバムを出し続け、やがて日本を飛び出してイギリスやアメリカでも活躍したが様々な事情から1990年に解散してしまった。 人見はそのVOWWOWのヴォーカリストだった。音域、声量、持続力、どれをとっても驚異

          人智を超えたヴォーカリスト:人見元基