霧の中の灯台~第2話:灯台の秘密②
2. 村人たちの警告
灯台へ行くのをひとまず諦めたアリシアは、村の広場へと足を向けた。そこにはわずかに開いている商店と、古びた公民館がある。かつては村祭りで賑わった場所も、今ではすっかり静まり返っている。
商店で水を買おうとしたアリシアに、店主の老女が声をかけた。
「あんた、サトウさんとこの娘さんだね。帰ってきたんだって?」
「あ、はい。少しだけ滞在するつもりで……」
その言葉を聞くと、老女は急に真剣な顔になり、アリシアを見つめた。
「灯台には行かない方がいいよ。あそこは……悪いものがいる。」
「悪いもの?」アリシアが問い返すと、老女は視線をそらし、何も言わずに会計を済ませた。その後ろ姿には、何かを隠そうとするような気配が漂っていた。
村の人々が灯台に触れたがらない理由。それはただの迷信なのか、それとも本当に何かが起きたのか?アリシアの中で、幼い頃の記憶と現実が絡み合い始める。