霧の中の灯台~第3話:霧の中の囁き①
1. 奇妙な夢
灯台から戻った夜、アリシアはひどく疲れ果てていた。しかしその疲れにもかかわらず、眠りは浅く、不気味な夢にうなされた。
夢の中、彼女は霧の中に立っていた。足元にはレオの声が響いている。
「アリシア、助けて。ここから出して……」
振り向こうとしたが体は動かず、どこからか霧の中に赤い影が浮かび上がる。それは人影のようだが、異様に長い手足と、不自然なほど傾いた首をしていた。影はゆっくりとアリシアに近づいてきて、囁くような声でこう言った。
「また来るな……そうしないと、お前も飲み込まれる。」
その声に胸を締め付けられるような恐怖を覚えた瞬間、アリシアは目を覚ました。部屋は真っ暗で、冷たい汗が全身を濡らしている。
「夢……だよね?」
しかし、彼女の枕元には、灯台で見つけた日記が置かれていた。確かにそれはバッグの中にしまっておいたはずだ。