霧の中の灯台~第4話:地下室の囁き③

3. 村の古い記録

翌日、アリシアは図書館のような村の資料室を訪れた。この小さな村では、過去の記録はほとんどが古い帳簿や日記に頼っている。灯台にまつわる記録を探すため、埃まみれの書棚を漁り始めた。

ようやく見つけた一冊の記録には、灯台と「霧」にまつわる異様な記述があった。

「1957年、村の灯台付近で濃霧が発生。行方不明者5名。その翌年も同様の霧が確認され、さらに7名が失踪。」
「灯台周辺に滞在していた者たちは、霧が『何かを呼ぶ』と証言。」

それを読んだ瞬間、アリシアの頭にズキリとした痛みが走った。霧が「何かを呼ぶ」という証言は、まるでレオが消えたときの状況を指しているように思えた。

さらに記録を読み進めると、奇妙な事実が書かれていた。

「1972年、霧が発生した際、失踪した子どもが1週間後に発見される。しかし、彼は自分の名前以外を覚えておらず、『霧の中で赤い影を見た』と証言。」

赤い影。その言葉にアリシアは凍りついた。

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